2015年07月30日

デモ参加は就職に不利?えっ有利?

テーマ:就活

ニュースのポイント

 安保法案に反対する学生団体が注目され、デモにたくさんの学生が参加しています。みなさんの中にも参加した人がいるでしょう。一方で「デモに行くと就職に不利」との声がSNSで拡散しています。ホントのところは?(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、社会面(37面)の「ニュースQ3/デモに参加すると就職に不利…『いつの時代の話?』」です。
 記事の内容は――衆院の安保法案審議が大詰めだった14日以降、安保反対デモへの参加が「就職や結婚に響く可能性」などのツイートが次々投稿された。一橋大大学院の阪口正二郎教授(憲法学)は「デモに行くなどの政治的表現の自由は、憲法が保障する権利の中でも価値が高い」と話す。1999年の職業安定法改正で、企業が集める求職者の個人情報は業務に必要な範囲に限られた。厚生労働省は思想信条などに関わる情報収集を原則禁止する指針を出している。思想信条を理由にした採用拒否は不法行為との考えが多数派で、思想を理由にした内定取り消しは労働基準法違反で無効になる。ただ、誰を採用するかは「企業活動の自由」でもある。千葉商科大専任講師の常見陽平さんは「(デモ参加者は)社風によっては敬遠することもあるかもしれないし、不採用の理由は明かされないから分からない」と話す。一方で企業は近年「社会問題への感度の高さを評価する傾向にある」ため、「むしろ肯定的に受け取る可能性は十分ある」とも。大手化学メーカーで採用を担当する幹部は「デモが就職に不利なんて、いつの時代の話ですか」と一刀両断にした。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 今日の生活面(33面)には、「違法な質問 採用面接で注意」の記事が出ています。ここにも職業安定法の規定が登場し、外食の頻度、自宅の場所、愛読書、彼氏がいるか、などを聞くのは違法な質問だと解説しています。それぞれの理由は上の表を見てください。厚労省のNG質問には「尊敬する人」もあります。聞きたくなる質問ですが、これも思想信条に関わるからです。

 もちろん、思想信条に関わることを含め、これらのことを学生が話してはいけない訳ではありません。むしろ、自己アピールや志望動機につながるなら積極的に話すのが得策です。デモ参加についても、企業側から問われることはまずないでしょうが、「最近気になるニュース」を聞かれて安保法案を取り上げる人もいるでしょう。その際、デモに参加したことなどを自ら話すかどうかは、ケース・バイ・ケースです。記事で常見さんがコメントしているように、マイナスイメージをもつ面接官がいるかもしれませんし、逆に評価する人もいるかもしれません。会話の流れ、相手の反応などから個々に判断するしかありません。もしデモに話が及んだとしても、参加・不参加で採用・不採用を決める企業は多くないでしょう。企業が知りたいのは、なぜどのような思いで参加したのか、参加しなかったのか、だと思います。そこに、思想信条ではなく、あなたの人となりが表れるからです。

 そもそも、就職に不利だからデモに参加しない、有利かもしれないから参加しよう、というのは筋違いですよね。デモに参加したいなら誰にも遠慮せずに参加すればいいし、もしもそれを理由に採用しない会社があったとしたら、もちろん違法ですが、それ以前に行くべき会社ではないと思います。

 差別的な圧迫面接への対応については、「あきのエンジェルルーム・圧迫面接に負けない『自分を愛する心』をキープしよう ♡Vol.37」(5月28日)で詳しく書いています。読んでみてください。

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