無人タクシー実用化？時代の変化に適応できる企業探そう

ニュースのポイント

　DeNAが無人タクシーを2020年代に走らせると発表しました。運転手のいないタクシーなんて空想未来アニメの世界だろうと考える人は少なくないと思います。でも、技術的にはほぼ完成の域に入っています。同じようにかつては夢物語と思っていた無人飛行機は、ドローンという名前を得て実際に日本の空を飛んでいます。どうも今、第三次産業革命が静かに進行していると考えた方がよさそうです。遠くないうちに夢物語が現実になることがもっと増えるでしょう。一方で、本当に必要なものなら、古いものも残るでしょう。就活では、これからの社会の姿を想像することが大切になります。（朝日新聞教育コーディネーター・一色清）

　今日取り上げるのは、経済面（9面）の「無人タクシー『2020年代目標』／DeNAが合弁設立」です。

　記事の内容は――DeNAは５月28日、2020年代に自動運転の「無人タクシー」を走らせる、との目標を発表した。自動運転技術を開発するベンチャー「ZMP」（東京都）と組み、合弁会社「ロボットタクシー」を設立。今後、政府などに法規制の緩和も働きかけていく。新会社の社長に就く中島宏DeNA執行役員は会見で、「2020年の東京五輪で（無人）タクシーを多数走らせたい」と語った。無人の車を走らせるにはまだ法規制が多いが、「技術的には準備できる。周辺環境も遅くとも2020年代後半には整う」との見通しも示した。ZMPは、昨年から公道での実証実験も始めた。

（東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から）

就活アドバイス

　社会の大きな変化が進行中のようです。インターネットの普及は情報の世界に大変化をもたらしましたが、それが実際の生活に及びつつあります。18世紀の蒸気機関の発明による第一次産業革命、19世紀の電気の活用による第二次産業革命に続き、21世紀の第三次産業革命のまっただ中にいるといっていいでしょう。

　自動運転の車は技術的にはほぼ出来上がっています。既存の自動車メーカーも力を入れていますが、最も力を入れて先頭を走っているのがアメリカのグーグルです。グーグルの自動運転車は、ここ6年ほどで地球40周分も公道やテストコースを走っていて、起こった事故は11件。それもすべて、追突されるなどの自動運転車には責任のない事故だといいます。グーグルは最短で2017年には実用化したいとしています。

　整理しておくと、自動運転車の開発目的は今の段階では二つに分かれています。ひとつは、既存の自動車メーカーが考えている目的で、運転手を補助して事故を減らすことです。もう一つは、グーグルや上記記事にあるZMPなどが目指す無人運転です。こちらはいわば、運転手を要らなくして利便性の向上やコスト削減を実現しようというものです。ただ、前者も最終的には後者に向かうでしょう。無人運転車が登場すると、経済界は運転手の必要な車を買わなくなると予測されるからです。

　運転手がいないと不安だとか、運転手という雇用が奪われると大変だとかいった反対論が出ることが当然予想されます。法律を作るのにも時間がかかりそうです。ですが私は、走りだした技術を止めることはできないと思います。

　まず、アメリカでグーグルが実用化に入り、日本でもこっそり輸入して走らせる人が出てきます。そこで大慌てで議論が始まり、法整備に入ります。そう、ドローンで起こっていることと同じような経過をたどって日本でも無人自動車が走り始めると思います。いつごろかと言うと、DeNAが目標としている2020年代はいい線ではないでしょうか。

　無人自動車だけではありません。今、IoT（インターネット・オブ・シングス）という言葉がキーワードになっています（１月15日の今日の朝刊「IoTってなんだ？　身の回りのモノがネットにつながる！」参照）。すべてのものがインターネットで結ばれ、これまでと全く違った機能を持つようになるということです。ロボット、生殖医療、再生医療などといった分野も、劇的に変化しつつあります。

　就活生のみなさん、将来を見通すのがとても難しく、とても大事な時代になっています。今隆盛を極めている自動車メーカーが将来も隆盛を極めているかどうか分かりません。自動車を作るのは、グーグルなどのIT企業になっているかもしれません。

　ダーウィンは、「生き残るのは強いものではない。変化に適応するものだ」と言いました。企業もその通りだと思います。みなさんは、変化に適応するために手を打っているかどうかを企業選びの尺度の一つにしてください。

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	２０２０年代に「無人タクシー」　ＤｅＮＡが目標
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