ニュースのポイント
「マイナンバー」って知っていますか? えっ、知らない? でも、ひとごとではありません。今年の10月には、あなたにも12桁の番号が届き、来年1月から利用できるようになります。民間企業も活用できるので、企業にとっても大きな関心事です。今日は「マイナンバーの基本のき」。就活に役立つ「語彙・読解力検定」も紹介します。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、総合面(7面)の「教えて!マイナンバー②暮らし、どう便利になるの?」です。昨日の朝刊から始まった連載記事なので、制度の概要をまとめると――
正式名称は「社会保障・税番号(共通番号)」。赤ちゃんからお年寄りまで、住民登録をしている全員に新たに12桁の番号が割り振られ、今年10月に「通知カード」が各世帯に届く。来年1月から、希望者は顔写真付きの「個人番号カード」を受け取ることができ、身分証明書として使える。
本格的な運用は2017年から。今、国民一人ひとりの情報は、住所や世帯については市区町村、税金は税務署、年金は「日本年金機構」など、さまざまな行政機関が管理している。このため、年金を申請したり、引っ越して生活保護などの手当を受けたりする場合、いくつもの役所回らなければならないが、同年7月をめどに国と地方自治体の情報システムが結ばれるため手間が省けるようになる。ネット上にも自分専用の「マイナポータル」を開設し、情報の確認や手続きができるようになる。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
マイナンバーのポイントを整理します。
【目的】税金や年金など社会保障に関わる情報をまとめて管理することで、行政の効率化や公正な給付と負担を実現し、手続きの簡素化による国民の負担軽減を図る
【国民のメリット】役所での手続きが簡単に。家のパソコンから自分の情報の確認や、税金の電子申告ができるようになる(2017年から)
【役所のメリット】一人ひとりの収入や社会保障の状況をつかむことで、年金の不正受給や脱税といった不正行為を防ぎ、本当に助けが必要な人に支援が届くようにできる。個人の資産や所得を今までより正確に把握できるため、お金持ちの社会保障給付抑制や、消費増税のときの低所得者への負担軽減策などがやりやすくなる
【課題】情報が漏れてプライバシー侵害や悪用が起きる危険性がある
個人番号カードで本人確認をする機能は民間企業も幅広く利用でき、インターネットバンキングや電子商取引での活用が想定されています。今日の記事に載っていますが、NECは引っ越したときの住所変更をカードで済ませるシステムを検討中。現金自動出入機(ATM)にカードを入れて、住所情報を電気やガス会社などに送れるようにする計画です。金融、IT、電機メーカーなどにとっては新たなビジネスチャンス到来です。就活では、自分のマイナンバーについてだけでなく、企業目線でマイナンバーについて考えてみるのも大事です。さらに、予防接種履歴などの医療情報や預貯金口座の情報ともつなげられるようにするマイナンバー法改正案が、すでに国会に提出されています。ただ、プライバシー保護の観点から医療情報に利用を広げていくことには慎重論も根強くあります。
「マイナンバー」のような新しい言葉は、筆記試験に出たり、面接で「マイナンバーが始まりますが、わが社のビジネスに結びつけてあなたの考えを述べてください」などと問われたりするかもしれません。今日の朝刊には、みなさんの「言葉の力」を問う語彙・読解力検定の問題が出ています。3月の就活イベントで私が講演をした際、就活生405人に協力してもらった正解率も載せています。気軽にトライしてみてください。語彙・読解力検定で合格すればESの資格欄に書くこともできます。6月受検のウェブ受付は5月24日(日)までです。ぜひチャレンジを!
※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。ぜひ登録してください。