2015年04月28日

「日米ガイドライン」ってなに?なぜ、どう改定?

テーマ:政治

ニュースのポイント

 「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)の改定に日米両政府が合意しました。防衛政策はとっつきにくいテーマですよね。でも、今回の改定は自衛隊の役割を世界に広げるという、戦後続いてきた政策の大転換。これからの日本という国のあり方をも左右する重大ニュースです。「基本のき」を押さえておきましょう。
 明日からゴールデンウィークが始まります。「今日の朝刊」(通常版)は30日、5月1日は休載し、7日に再開します。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、1面トップの「日米同盟の本質 転換/防衛指針 18年ぶり改定/地球規模に協力拡大」です。2、4、5、14、38面にも関連記事が載っています。
 記事の内容は――日米両政府は、米ニューヨークで外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を開き、ガイドラインの18年ぶりの改定に合意した。日本が集団的自衛権を使うことを盛り込み、米軍への後方支援の地理的制限もなくした。安倍首相が掲げる「積極的平和主義」を反映し、自衛隊の米軍への協力を地球規模に拡大する内容で、自衛隊のあり方が根本から変わる。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

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 指針は、「日米ガイドライン」「新ガイドライン」「日米防衛指針」「新指針」などとも呼ばれます。ポイントを整理します。
そもそも日米ガイドラインとは?
 日本が外国から攻撃されたときに自衛隊と米軍がどう協力するか、役割分担を決める文書。東西冷戦時代の1978年に旧ソ連の侵攻を想定した「日本有事」に備えてつくられた。冷戦後の1997年、朝鮮半島での戦争を想定し、日本が直接攻撃されていなくても自衛隊が米軍の活動を後方で手伝えるよう「周辺事態」を盛り込んだ。今回の改定が2回目。条約ではないため国会での承認手続きは不要。
今なぜ改定?
 軍備増強を進め海洋進出を活発化させる中国を念頭に置く。尖閣諸島を念頭に、離島防衛での協力を新たに盛り込んだ。共同発表では尖閣諸島が日米安全保障条約(日米安保条約)日米安全保障条約の範囲に含まれることを確認した。
改定ポイント①=切れ目のない対応
 平時から戦争までのあらゆる状況で「切れ目のない対応」をめざす。武力攻撃には至らないが敵の攻撃が予想される「グレーゾーン事態」でも日米が軍事協力できるようになった。
改定ポイント②=地球規模での日米協力
 自衛隊が米軍を後方支援できる範囲を日本周辺に制限していた「周辺事態」を削除し、日米協力の範囲を「アジア太平洋地域およびこれを越えた地域」とし、地球規模に拡大。宇宙空間やネット空間の安全を守るための協力も盛り込まれた。「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」の項目では、機雷除去、弾道ミサイル攻撃への対応、強制的な船舶検査などを盛り込んだ。

 日本政府はこれまで、「日本有事」も「周辺事態」も、「極東」の範囲を超えないと説明してきました。政府見解の「極東」は「フィリピン以北並びに日本およびその周辺地域」です。今回の改定は、日米協力の範囲を極東から地球規模に広げることになるわけです。カーター米国防長官は「日米同盟を一変するもの」と語りました。「日本と極東の平和と安全の維持」をうたった日米安保条約の事実上の改定とも指摘されます。ガイドライン改定は安倍内閣が憲法解釈を変えて集団的自衛権行使を認めた昨年の閣議決定を下敷きにしていますが、それを受けた安全保障法制の国会審議はこれから。民主党の岡田代表は「ガイドラインを国会にも国民にも説明なく、米国で合意してくる。憲法解釈の変更も含まれるというのは前代未聞。国民無視で理解できない」と批判。朝日新聞の社説(14面)も慎重論を展開しています。

 「積極的平和主義」を掲げる安倍政権は、ガイドライン改定や安保法制整備で、国際社会での日本の軍事的な役割を拡大する考えです。この政府の方針を、あなたはどう考えますか。こうした時事問題は、マスコミに限らず企業の面接などで聞かれることがあります。正解はありませんから賛成でも反対でも構いません。ただ、基本的なポイントや歴史的な経緯、背景を知ったうえで自分の考えをもつことが大切です。

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