ニュースのポイント
米国ラスベガスで始まった世界最大の家電見本市で、モーターショーではないのに、自動車が「主役」のように目立っています。自動車メーカーと電機メーカー。日本を代表する産業のコラボは、今後大きなビジネスに発展することは間違いありません。
今日取り上げるのは、経済面(7面)の「家電の技 車に乗せる/米見本市CES/両業界 未来見据えコラボ/車載電池・画像センサー…開発急ピッチ」です。
記事の内容は――家電見本市「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」には、モーターショーさながらに「未来のクルマ」が次々登場した。IT機器で進化をはかる自動車メーカーと、テレビやスマホに続く花形商品を探る電機メーカーの相思相愛ぶりが強まっている。ネットとつながった自動運転車について独ダイムラー会長は「乗っている人は車内で貴重な時間を過ごせるようになる」と講演。米フォード・モーター最高経営責任者(CEO)は、車から集まるデータを元にした渋滞改善など社会貢献を強調した。自動車メーカーは、車の進化には電機メーカーやIT企業の力が不可欠だとつながりを求める。電機メーカーも歓迎しており、パナソニック、ソニー、JVCケンウッドなどが新技術をアピールした。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
上の写真はダイムラーのコンセプトカーです。なんと運転席は後ろ向き。後部座席と向き合っています。ドアにあるタッチパネルで車を操作すれば自動的に目的地に着くそうですから、ダイムラー会長が言うように車の中での過ごし方が決定的に変わりそうですね。
この自動運転を実用化するには、センサーやカメラ、ソフトウェアなど電機メーカーやITメーカーが得意な技術が欠かせません。フォードCEOが言うデータ収集のほか、電気自動車(EV)も同様で、各業界の距離がぐんと縮まっているわけです。昨日この欄で書いたトヨタの特許無償開放もCESの場で発表されました。カーナビ、エアコン、ライト、電動の窓、自動ブレーキシステム……などなど、自動車は今でも「電子部品のかたまり」と呼ばれますが、業界間のコラボが急速に加速しそうです。
記事からは電機各社の意気込みが伝わってきます。取り組みをまとめると――
【パナソニック】独自の車載情報システム「シンク3」や、パナソニック製のリチウムイオン電池を積んだ電気自動車(EV)など、3台の乗用車が展示ブースの主役
【ソニー】平井一夫社長はCES開幕前に開いた発表会で、高性能カメラで培った技術を生かし、数年以内に事業者事業に本格参入すると表明。自動運転に欠かせない画像センサーに狙いを定める
【JVCケンウッド】8台のカメラが周囲の情報を読み取るコンセプトカーを出展。運転席前面のモニターに車庫入れのときに真上からの視点などを表示する。2017年ごろの実用化をめざす
パナソニックは、赤字だったテレビやスマホ事業を縮小し、自動車部品など企業向けのBtoB事業にかじを切る「変身」を図ってきました。すでに車に積むリチウムイオン電池の生産で世界トップシェアを持っています。ここへ来てソニーも自動車分野に本腰を入れることを表明。苦境脱出のきかっけになるかどうか注目です。部品が多い自動車は極めて裾野が広い産業です。電機、ITをからめ、最新の動向から目を離さないでください。
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