2015年01月06日

朝日新聞の問題で考えるメディアのあり方

テーマ:メディア

ニュースのポイント

 朝日新聞社は昨年の慰安婦問題の記事取り消しなど一連の問題について、「信頼回復と再生のための行動計画」を発表しました。マスコミ志望者だけでなく多くのみなさんに、この問題からメディアのあり方を考えてほしいと思います。

 今日取り上げるのは、1面の「ともに考え、ともにつくるメディアへ/朝日新聞社社長 渡辺雅隆/行動計画を発表」です。このほか1面に「池上さんのコラム再開します」、31面に行動計画の詳細や「信頼回復と再生のための委員会」の社外委員4氏のメッセージが載っています。
 渡辺社長のコメントは下のリンクから全文を読んでみてください。朝日新聞の「再生の理念」は以下のとおりです。
《公正な姿勢で事実に向き合います》事実に基づく公正で正確な報道に徹します。社外の声に謙虚に耳を傾け続けます
《多様な言論を尊重します》朝日新聞に対する異論や反論を含めて、多様な価値観や意見を掲載します
《課題の解決策をともに探ります》社会の仕組みや生活に密着した課題をともに考え、多角的な視点でともに解決策を探ります

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

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 一連の問題の経緯は31面に載っていますが、整理します。
①昨年5月20日付朝刊に掲載した東京電力福島第一原発事故にからむ「吉田調書」に関する記事を取り消したこと
②8月5、6日朝刊の慰安婦報道の検証記事で記事を取り消しながら謝罪しなかったこと
③それに関連して池上彰さんのコラム「新聞ななめ読み」の掲載を一時見送ったこと
 これらの問題で批判を受け、当時の木村伊量(ただかず)社長らが辞任しました。

 ①については朝日新聞社の第三者機関である「報道と人権委員会」(PRC)に、②③は社外の有識者らで作る「第三者委員会」に検証を依頼。並行して社会組織「信頼回復と再生のための委員会」(再生委)に4人の社外委員(ジャーナリスト・江川紹子さん、弁護士・国広正さん、日産自動車会長・志賀俊之さん、社会学者・古市憲寿さん)にも加わっていただき再生策について議論を重ね、新聞販売所や読者、取引先の意見を聞く会などを開き、2000件以上の提案が寄せられました。11月12日に示されたPRCの見解、12月22日に受け取った第三者委の報告・提言を最大限尊重してまとめたのが再生のための行動計画です。これを受けて、池上さんのコラム再開が決まりました。今後の「具体的な取り組み」と、今回の過ちの「原因分析と決意」については、行動計画をご覧ください。

 私も含め、社員一人ひとりが「ともに考え、ともにつくるメディア」をめざして日々努力していきます。私自身は、再生の理念にもある「謙虚」と「多様な意見」が最大のポイントだと思っています。これまでも記者として社員として尊重してきたつもりですが、なおいっそう大切にしていかなければと肝に銘じています。

 今回の問題についても様々な意見があると思います。どんな考えをもつかは人それぞれですし、正解はありません。メディアやジャーナリズムのあり方に関する根本的なテーマですから、マスコミ各社の採用試験で見解を問われることがあるかもしれません。メディアのあり方は社会全体にも影響します。マスコミ志望ではない人もぜひ考えてみてください。3つの検証委員会の議論の詳細は、以下の朝日新聞社の企業サイトで公開しています。

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