言葉マイスター ナカハラハラハラ 略歴

2014年11月19日

「てんでばらばら」にならないように~読点の話1

 「句読点」という言葉があります。句点が「。」で読点が「、」ですね。句点が文章の終わりに来るのはご存じの通り。しかし改めて考えると、読点はどこに打てばいいのでしょうか。きちんと習ったことありますか?
 皆さんのESや作文・小論文を見ると「これは読みやすい」「いいこと書いているなあ」と感じるものには共通点がいくつかあります。その一つがこの「読点」の使い方がうまいこと。逆にやたらと読点が多かったり少なかったりすると、もうそれだけで読む気を無くします……。

 辞書で「読点」を引くとこう書いてあります。

 「文の意味の切れ目を示したり、文を読みやすくしたりするために、文中に施す記号」

 前者は何となく分かりますね。後者はどう言うことなのか。実例を挙げながらお話ししましょう。

 【私はアメリカにホームステイしました。】

 この文には読点は不要ですね。「ホームステイした」という一要素しかないからです。あえて入れるなら

 ☆私は、アメリカにホームステイしました。
 ☆私はアメリカに、ホームステイしました。

 上は「他ならぬ私が」、下は「イギリスではなくアメリカ」にホームステイしたことが明確になります。言い換えるなら、読点の入る前の要素が強調されています(声に出してみると、よりはっきり分かります)。これは意識しておきたいですね。


 【私は大学に入ってからアメリカにホームステイしました。】

 「ホームステイした」要素に加え「大学に入った」という要素が加わります。要素が複数あるとき、その区切りに読点を打つと読みやすくなります。

 ☆私は大学に入ってから、アメリカにホームステイしました。

 【私は大学に入ってから友人とアメリカにホームステイしました。】


 次は「友人と」という新しい要素。これは「ホームステイした」にかかるので

 ☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイしました。

 とした方が読みやすい。「友人と」の後に入れるとリズムが崩れます(上記したように、どうしても「友人と」という要素を強調したいなら別ですが)。


 【私は大学に入ってから友人とアメリカにホームステイして語学力が向上しました】

 「語学力が上がった」という新要素が入りました。それぞれを区切ると
 
 ☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイして、語学力が向上しました。
 
 これでも良いのですが、「語学力が上がった」要素はホームステイの「結果」なので、

 ☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイして語学力が向上しました。

 と後半は一続きにした方が、因果関係がはっきりして良いです。


 【私は大学に入ってから友人とアメリカにホームステイして語学力が向上したのでTOEFLで高得点を取れました】

 四つめの要素が増えました。読点を足しましょう。

 ☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイして語学力が向上したので、TOEFLで高得点を取れました。

 ところがこの「TOEFLで高得点を取った」ことも「ホームステイ→語学力向上」につながる一連の結果です。さっきと同じく二つめの読点を取りたくなります。

 ☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイして語学力が向上したのでTOEFLで高得点を取れました。

 しかしこれでは後半が重たすぎます。こういう場合は二つの文章に分けましょう。

 ☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイしました。語学力が向上したのでTOEFLで高得点を取れました。
 ☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイして語学力が向上しました。おかげでTOEFLで高得点を取れました。


 あくまで一つの目安ですが、ESや作文を書く際、「1文40字以内にする」ことを心がけると良いと思います。原稿用紙だと2行ですね。改善案の下、ひとつ目の文が38文字です。このくらいがスムーズに読める基準だと考えましょう。

 読点の話はもう少し続けます。

今週のおまけ ~名前に句読点がつくタレントといえば~

 句点がつく芸能人と言えば「モーニング娘。」が代表格ですね。読点の人は?と探してみたら、初代仮面ライダーとしておなじみの俳優「藤岡弘、」さんがいました。
 藤岡さんが「、」を芸名に付けたのは「自分が未完成だとの戒めで付けた」とのこと。深い意味があるんですね。

 さすがに両方は無いよね……と思いきや、「薫と友樹、たまにムック。」がいました。テレビドラマ「マルモのおきて」の主題歌で大ヒット曲「マル・マル・モリ・モリ!」を歌ったユニットです。懐かしいですね(って3年前だけど)。