皆さんのESや作文・小論文を見ると「これは読みやすい」「いいこと書いているなあ」と感じるものには共通点がいくつかあります。その一つがこの「読点」の使い方がうまいこと。逆にやたらと読点が多かったり少なかったりすると、もうそれだけで読む気を無くします……。
辞書で「読点」を引くとこう書いてあります。
「文の意味の切れ目を示したり、文を読みやすくしたりするために、文中に施す記号」
前者は何となく分かりますね。後者はどう言うことなのか。実例を挙げながらお話ししましょう。
【私はアメリカにホームステイしました。】
この文には読点は不要ですね。「ホームステイした」という一要素しかないからです。あえて入れるなら
☆私は、アメリカにホームステイしました。
☆私はアメリカに、ホームステイしました。
上は「他ならぬ私が」、下は「イギリスではなくアメリカ」にホームステイしたことが明確になります。言い換えるなら、読点の入る前の要素が強調されています(声に出してみると、よりはっきり分かります)。これは意識しておきたいですね。
【私は大学に入ってからアメリカにホームステイしました。】
「ホームステイした」要素に加え「大学に入った」という要素が加わります。要素が複数あるとき、その区切りに読点を打つと読みやすくなります。
☆私は大学に入ってから、アメリカにホームステイしました。
【私は大学に入ってから友人とアメリカにホームステイしました。】
次は「友人と」という新しい要素。これは「ホームステイした」にかかるので
☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイしました。
とした方が読みやすい。「友人と」の後に入れるとリズムが崩れます(上記したように、どうしても「友人と」という要素を強調したいなら別ですが)。
【私は大学に入ってから友人とアメリカにホームステイして語学力が向上しました】
「語学力が上がった」という新要素が入りました。それぞれを区切ると
☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイして、語学力が向上しました。
これでも良いのですが、「語学力が上がった」要素はホームステイの「結果」なので、
☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイして語学力が向上しました。
と後半は一続きにした方が、因果関係がはっきりして良いです。
【私は大学に入ってから友人とアメリカにホームステイして語学力が向上したのでTOEFLで高得点を取れました】
四つめの要素が増えました。読点を足しましょう。
☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイして語学力が向上したので、TOEFLで高得点を取れました。
ところがこの「TOEFLで高得点を取った」ことも「ホームステイ→語学力向上」につながる一連の結果です。さっきと同じく二つめの読点を取りたくなります。
☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイして語学力が向上したのでTOEFLで高得点を取れました。
しかしこれでは後半が重たすぎます。こういう場合は二つの文章に分けましょう。
☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイしました。語学力が向上したのでTOEFLで高得点を取れました。
☆私は大学に入ってから、友人とアメリカにホームステイして語学力が向上しました。おかげでTOEFLで高得点を取れました。
あくまで一つの目安ですが、ESや作文を書く際、「1文40字以内にする」ことを心がけると良いと思います。原稿用紙だと2行ですね。改善案の下、ひとつ目の文が38文字です。このくらいがスムーズに読める基準だと考えましょう。
読点の話はもう少し続けます。