言葉マイスター ナカハラハラハラ 略歴

2015年06月10日

「自己分析」の大切さ ~第7回AKB48選抜総選挙:指原莉乃さんのスピーチから学ぶ

 こんにちは。アイドルネタ連投ですいません(苦笑)。でも時期的にも、内容的にもぜひ触れたかったので、ご容赦下さい。

 6月6日に福岡・ヤフオクドームで開かれたアイドルグループ・AKB48「第7回選抜総選挙」。HKT48の指原莉乃さんが19万4049票を獲得し、2年ぶり2回目の1位を獲得しました。

 極めて個人的な事を言わせてもらうと、今年の総選挙は、私がAKBグループに関心を持つようになったここ約5年くらいのなかで、正直一番関心がなかった……というか熱が上がりませんでした。理由は簡単。一推しが不出馬だったからです(誰かは伏せます。苦笑)。しかし、かえっていつもよりも「客観的に」眺めることができました。そして改めて思ったのは、壇上に上がる彼女たちの「アピール力」の高さ。特に「選抜」である上位16人ともなれば、それぞれ年齢・経験の差こそあれ、それなりに人生経験を積んできた(はずの)私でさえ、

 「かなわないなぁ……」

と舌を巻くような言葉がポンポン出てきます。

 「総選挙はお祭りとは思いません。私にとって、年に1回チャンスをつかむ場です」
 16位で初選抜入りしたAKB48・武藤十夢(とむ)さん。「大島優子魂」を継承する、と常々言っているからこその言葉。

 「世間からも態度が悪いとか、悪く思われがちになることも多いけど、私を応援したいと思っている人がたくさんいることを感じられてありがたい」
 9位は「塩対応」で有名なAKB48・島崎遥香さん。自己評価をきちんと受け止めた上での感謝。そしてここでは省きましたが、この後に同期であり次期総監督の横山由依さん(AKB48・10位)に対して涙ながらに送ったエールは、普段感情をあまり表に出さない彼女だからこそ、強い説得力を持っていました。

 ……とまあ、書き出したら16人全員触れたくなるのですが、この辺で止めておきますね(苦笑)。
 そんな中、やはり圧巻だったのは1位の指原さん(写真)です。少し長くなりますが引用します。

 「私はAKBグループの中でも特殊な存在です。そんな私でも、大分県で学生をしているときは、自分のことをまあまあかわいいと勘違いをしていました。ですがAKBに入って、なかなかセンターになれない私は、どうやったらセンターになれるんだろうと、ずっと考えていました。どうやったら前田敦子さんや大島優子さんのようになれるのか、考えたけどなれませんでした。私は開き直りました。私は指原莉乃をやり通そう、そう決めました」

 「前田敦子や大島優子に“なろうとした”が“なれなかった”」というところに、キモがあります。SMAPの歌ではないですが、「ナンバーワンよりオンリーワン」。しかしそれはややもすると「逃げ」や「甘え」にもなる恐れがあります。やはりまずは「目標」に近づこうとする、そして考えて考え抜いて、やれることをやり切って「やっぱりそれでもダメだった」ところから「オンリー」が始まるのです。

 指原さんが世間に知られ始めたのは2009年。レギュラー番組の企画でバンジージャンプが全く飛べなくて「ヘタレ」というポジションを得たころからです。「努力」を是とするAKBのコンセプトからすれば、ある意味真逆です。その後も「ブログ一日100回更新」などというムチャ振りを受けるなど、とても「アイドル」らしからぬいじられ方をすることで人気を集めます。自分の「立ち位置」を知り、多少無様であっても全力を尽くす。それが結果的に評価につながる……という良い連鎖を生んできたのです。スピーチは更にこう続きます。

 「私はブスで貧乳で、いいところは本当に少ないです。いいところのない私は開き直って、2年前1位になることができました。でもその1位は、スキャンダルからの大逆転、HKT48の立役者、AKBのストーリーに支えられての1位だとずっと思っていました。いつか私もみんなみたいに指原莉乃として評価されたい、そう思っていました」
 「AKBグループにはかわいい子がたくさんいます。今年はこんなに自分に自信のない指原が1位になることができました。全国の自分に自信のないみなさん、私のようにいじめられてひきこもりになって、親にたくさん迷惑をかけてしまったみなさん、私は、もう一度1位になることができました。奇跡の1回ではなく、自分が1年がんばってきたことを評価されての1位だと信じています」

 あまりに自虐的な前半はさておき、ここで注目したいのは「2年前の1位はまぐれ」と冷静に自己分析していることです。自分の力(キャラクター)で取ったものではない、「ストーリー」が取らせたものだと言い切っている。でもだからこそ裸の自分、「指原莉乃」としての評価が欲しかった。それがまさに今年である、と高らかに言っている。過去に卑屈になり過ぎるでもなく、栄冠におごり過ぎるでもない。このバランス感覚は見習うべきものがあります。

 ESや面接で、「長所」「短所」を書く(語る)ことは定番です。その際「長所でおごらず自分を突き放して」「短所でいじけず客観的に」表現できるか。簡単なようで難しい。そのひとつの在り方を、指原さんのスピーチが示してくれているように思います。

今週のおまけ ~ありがとう、たかみな~

 あまりに長くなるので泣く泣く割愛しましたが、年内の卒業を決めているAKBグループ「総監督」こと高橋みなみさん(AKB48・4位)のスピーチも、指原さんとは全く違うベクトルでしたが胸を打つものでした。「違う」と書いておきながらなんですが、高橋さんも「前田敦子、大島優子にはなれない」ことについて言及しているのは示唆的です。

 彼女の(時にネタ扱いもされる)「努力は必ず報われる」というおなじみの名セリフ。過去何度も繰り返されたこの言葉は、今回のスピーチでこそ真の「答え」を示してくれたのではないか……と個人的には感じています。

 就活中の皆さんも、心折れそうになることがたくさんあると思います。そんな時、ぜひ彼女のスピーチを読んでみて下さい。下にリンクを張っておきます。