あきのエンジェルルーム 略歴

2015年12月03日

オフィスも社風も「オープン」&「フラット」 ♡Vol.59

 いつも心にエンジェルを。

 注文したら「明日来る(届く)」から社名は「アスクル」、ネーミングだけでも、なんだかほっこりしますね。受け付け奥には巨大「アスクル坊や」が、稲穂をもって待ってます(下写真)。この稲穂は「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」という俳句から、「アスクル社員は常に謙虚でいることを忘れないようにしよう」という思いを込めたものなのだそうです。
 同社はもともと事務機器メーカー「プラス」の、法人向けのオフィス通販を担当する一事業部門としてスタートしました。1997年に「アスクル」として分社・独立。2000年にはJASDAQ市場に上場、2004年には東証1部に上場と、成長を続けています。2014年度の年商は約2700億円、2015年度は3000億円を突破する勢いです。
 社員数は約600人、そのうち女性社員は3割強とけっこう多めです。
 「女性の視点が欠かせない会社なので、自然にこういう割合になりました」と広報室の中川英樹さん。

 文具、家具、電化製品から水や洗剤まで、オフィスの必需品を幅広く扱ってきました。2012年にはBtoC(一般消費者向け)通販事業の立ち上げを目的に、ネット大手のヤフーと業務・資本提携し、個人向けのネット通販サービス「LOHACO」をスタートしました(下は商品ラインナップの一部)。
 「LOHACO」のメインターゲットは30~40歳前後の働く女性です。同社はしばらく中途採用しかしていなかったのですが、「LOHACO」の立ち上げと同時に新卒採用もスタートしました。採用するのは毎年20人前後ですが、その6割以上が女子学生です。
 そんなこともあって、女性にとって「働き続けやすい」制度が整っています。子育てのための育児休業、短時間勤務制度はもちろん、介護休業や介護時短も設けています。子どもの看護休暇も、小学校在学中は必要な日数を制限なしに取得できます。勤続3年以上の従業員を対象にライフサポート休職制度もあります。目的別にエデュケーションサポート休職(MBA取得や海外留学など)、ボランティアサポート休職(社会福祉活動など)、セカンドライフサポート休職(対象50歳以上、将来の人生設計など)の三つがあります。
 どんな会社にも企業理念に「お客様第一」というのはありますが、同社のマインド(価値観)のポイントは「お客様に、社会に、働く仲間に、最高のHAPPY(価値)を」です。だからこそ、社員そのもの、社員の生活、社員同士のコミュニケーションを大事にしようという姿勢が徹底しています。

 仕事と家庭の両立のため、2008年からノー残業デー「早帰りDay」を毎週水曜日(本社)に設定、長時間労働の緩和にも取り組んでいます。年に1回、従業員満足度調査が実施され、調査結果やコメントが社内に公表、共有されています。

 2フロアあるオフィスには、フロアの真ん中にぶち抜きの階段を作りました。これも社内の部署間の行き来をよりスムーズにするための決断です。
 ダイバーシティに取り組む先進企業では、徐々に当たり前になりつつありますが、社長室は個室ではありません。しかも、低いパーテーションで仕切られただけの丸見えの空間(上写真)です。通りがかりの社員が社長の姿を見て、話しかけるのもアリだそう。
 仕事と家庭の両立支援や社内のコミュニケーション活性化には以前から取り組んできた同社ですが、ダイバーシティ推進を大きく打ち出したのは実は最近です。
 2014年10月に専任部署を作り、2015年4月に「アスクルダイバーシティ宣言」を行いました。今秋には「イクボス企業同盟」にも加盟しました。

 人事統括部長で、初代のダイバーシティ推進部長でもある新井久美子さん(冒頭写真中央)によると、現在の取り組みの核になっているのは三つの「ファースト」(最優先)です。
 一つ目は「女性ファースト」、女性の活躍をどう推進していくか、二つ目は「仕組みファースト」、多様な働き方など制度の整備です。そして三つ目は「風土ファースト」で、組織風土の要である管理職の意識改革です。
 「企業理念である『お客様のために進化する』という思いを真剣に語り合う場では、だれも役職など気にせず意見を言います。そういう意味では風通しの良い会社だと思います」(新井さん)。
 採用を担当するタレントマネジメントマネジャーの中村力さん(冒頭写真左)は「入社2、3年目の社員でも採用のフロントに立って社内や社外に主体的に働きかけています。それには社員一人ひとりが志、自分の思いを持つことが重要です」と話します。

 社員間のコミュニケーションも活発。社員に貸与されているiPhoneでは、つながりたい社員をすぐ検索でき、また共通の趣味の人を探すこともできます。金曜日の夜には社内カフェが夜間営業し、お酒の飲めるバー(Barタイム)になります。社内交流や気軽な議論の場として活用されているそうですが、「結局、社外で2次会もしちゃうんですけどね」(中川さん)とのこと(右写真は社内カフェ)。

 昨年は若手社員が発案して、Barタイムに、社内でハロウィンパーティーを開催、今年は、スターウォーズの新作映画公開前に、前作を鑑賞するイベントが開かれました。もちろん参加は自由。仕事が終わったらすぐに帰りたいという人もいるでしょうが、部署が違う社員が仲良くなれるきっかけとして好評なんだそうですよ。

 入社2年目で採用を担当している勝田翔子さん(冒頭写真右)は言います。
「お客様だけでなく、社員みんながハッピーというのを徹底しているので、社内イベントも盛り上がります。早帰りの日には、外で刺激を受けて、それを業務に活かす。メリハリをつけた働き方をしたい人にお勧めの職場です」

 “BtoB”から“BtoC”へ。知名度が急上昇中の同社、今のうちが狙い目かも、です。

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