森川さんは筑波大学を卒業後、1989年に日本テレビ放送網に入社、理系社員ということで、財務システムや視聴率の分析システムなどを作ってきました。音楽が好きで、エンタメ志望だった森川さんは、「つまらない」「早く辞めたい」と思っていたそう。上司には「石の上にも3年」「3年経ったら、好きな部署に行かせてあげるから」と言われていたそうですが、上司のほうが先に異動し、約束を反故(ほご)にされたといいます。サラリーマンにはよくあることですね。
我慢の限界になり、辞表を出したら、転職する数日前に、慰留と、これまでの会社への貢献の見返り(?)として、会社が森川さんのために新しい部署を準備してくれたのだそう。デキる人は違いますね。
部下は1人だけでしたが、社内でインターネットのプロバイダーを作って、メールサービスを始めたり、BSデジタルの動画配信や海外輸出をしたり、新規事業を積極的に立ち上げてきました。しかし、相変わらず社内からの反応の多くは「余計なことするな」「こんなことやってもらったら困る」といったネガティブなものが多かったそうで、その後、2000年にソニーに転職します。
テレビやオーディオをネットにつなぐ機能をつけるなど、新規事業を立ち上げる要員として、当時の社長に採用されたのですが、実際に出勤すると、直属の上層部が「そんなこと必要なの?」と反対します。納得できず辞令もないまま違う部署に勝手に席を移して、新規事業を始めたそうです。後で前の部署の上司に「森川くんは全然会社に来ない」と怒られたそうですが、すでに新しい部署で売り上げなど実績を上げていたので、前の部署に戻されることなく働き続けられたといいます(上写真はLINE画面©LINE Corporation)。