2014年11月04日

新しいニュースの届け方、楽しみ方を考えよう

テーマ:メディア

ニュースのポイント

 あなたはニュースを主にどこから入手していますか? 新聞、テレビ、ネットと様々でしょうが、最近はスマートニュースやグノシーといった最新のニュースアプリからという人も増えていると思います。さらに新しいニュースサービスを考えようと、朝日、日経、毎日、読売、産経の全国紙5紙が協力してイベントを開きました。ニュースの伝え方、楽しみ方はこれから大きく変わっていきそうです。

 今日取り上げるのは、特集面(16面)の「メディアラボはいま/ニュース 私はこう見せる/開発競うハッカソン 5紙で共催」です。
 記事の内容は――東京・渋谷で開いたイベント、ハッカソン「新聞5紙 NEWS HACK DAY」は、主催の朝日新聞社と共催の4社が記事データベースを提供し、技術者、起業家、学生らと連携して新しいニュースサービスを開発する試み。「ニュースの新しい読み方、楽しみ方」をテーマに49人が参加し12チームが成果を競った。最優秀賞は、親が子に読んでほしいニュースを毎日届けるスマホアプリ「べんとータイムズ」(写真)。審査委員長の藤村厚夫・スマートニュース執行役員は「新聞社は遠くのたくさんの人にニュースを届けようとしてきが、受け手のことを考えながら一人のために届けようとする、ニュースの価値を再発見させるような試み」と評価した。ほかにも人間らしい「温かみ」がにじむサービスの提案が目立った。競合5紙が一つのイベントで集まるのは珍しく、「紙の新聞」という単一のビジネスモデルに頼ってきた社内のアイデアだけでは限界があるとの危機感は各社に共通している。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 秋になって、就活や業界研究に向けたガイダンスなどで大学にお邪魔して講演する機会が増えてきました。「就活に役立つ新聞の読み方」をテーマに話すときには、集まった学生がどのくらい新聞を読んでいるか最初に尋ねます。「A ほぼ毎日読む」「B ときどき読む」「C ほとんど読まない」のどれかに手を挙げてもらうのですが、マスコミ志望者向けの講義を除けば、たいていCが一番多く、Aは数人です。自宅生でも新聞を購読していない家庭もあるなか、新聞を読む習慣がない学生が増えています。

 「就活には新聞が必須」と説きながらも、ほとんど新聞を手にしたことがない学生に読む習慣を今から身につけてもらうのは難しいのかもしれないと、弱気にもなります。でも、そんな学生にもニュースは必要でしょう。彼らが世の中に関心がないわけでもなさそうです。グノシーやスマートニュース、LINEニュースといった無料ニュース配信サービスが広がっているのはその証拠だと思います。

 そこで今回のイベントです。主催は朝日新聞社のメディアラボ。最先端の技術による情報発信を研究し新規事業に取り組む昨年できたばかりの部署です。ライバルの4紙に呼びかけたら、各社すぐに賛同し参加してくれました。5紙の危機感はイベントの開催概要にある「時代を見つめる報道機関が、時代に取り残されてはいけない」との言葉にも表れています。

 今日の記事の見出しにある「紙の新聞の次へ」が業界にとって最大の課題です。どんな時代にもニュースは必要ですし、現場で取材し記事を書く記者の仕事は変わりません。ニュースコンテンツを担う新聞社の存在意義も変わらないのですが、伝える手段は劇的に変化しつつあります。これからの新しい伝え方を考え実現できるのは、今回のイベントに参加した「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代、みなさんの世代です。マスコミの面接ではメディアの将来像や新たなアイデアについてきっと聞かれます。マスコミ志望ではない人も、自分ならこういう形でニュースを受け取りたい、こんなニュースなら読んでみたいなど、情報の受け手として考えてみてください。

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