2014年05月22日

社会貢献とビジネスが両立 「エシカルファッション」とは?

テーマ:文化

ニュースのポイント

 衣服をつくる過程で環境への負荷や社会貢献に配慮する「エシカル(倫理的な)ファッション」。ユナイテッドアローズが新ブランドを立ち上げるなど日本でも広がっています。アパレル業界に興味のある人には注目の動きです。

 今日取り上げるのは、ファッション面(31面)の「環境配慮や社会貢献 エシカル 日本でも機運」です。
 記事の内容は――ユナイテッドアローズは、今春夏から新ブランド「テゲ ユナイテッドアローズ」を立ち上げた。7月に売り出すコットンジャケットの生地はアフリカ・ブルキナファソ産の手織り。ビーズ付きのトートバッグやかごバッグは、ケニアのマサイ族の女性らの手作りだ。国連機関・国際貿易センターのプロジェクト「エシカル・ファッション・イニシアチブ(EFI)」での協同事業。ファッションを通じた仕事を作ることで貧困女性の経済的自立をめざす。同社の担当幹部は「社会貢献もあるが、アフリカの手仕事が好きだったし、何より消費者に胸を張って出自が説明できる物作りができる。エシカルの要素はもはや不可欠」と言う。4月に東京で「エシカルファッションショー」を開いた「エシカル ファッション ジャパン(EFJ)」は、エシカルな取り組み例として「不当な労働と搾取をなくす」「捨てられるはずだった物を活用」「地域に根ざす物作り」など九つの分類をあげる。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 エシカルファッションは、自然環境を汚さず、服作りの作業環境に配慮し、素材調達についても適正な価格で発展途上国の産品を買い取る「フェアトレード」も含む広い概念です。英国で生まれ、日本でも2000年代後半から広まりました。すでに国内外に多くのブランドがあります。今回のユナイテッドアローズの新ブランド誕生は、アパレル大手にもエシカルが浸透してきた新しい動きと言えそうです。

 「御社で社会貢献したい」。就活でよく見聞きする志望動機です。「社会貢献」は今の学生のみなさんがよく使うキーワードの一つですが、会社はボランティア組織ではないので、それだけを強調する学生を企業は欲しがりません。そんな中でエシカルファッションは、社会貢献とビジネスが両立する動きです。アフリカ女性に仕事をしてもらって自立を促すのですが、記事で取り上げられた天然のユーカリ素材やコーヒー豆の麻袋も含め、そもそもアフリカ産などの素材や手作業そのものがファッションとして魅力的だからこそ成り立つのです。

 昨年4月、バングラデシュの衣料品工場が入るビルが崩壊し1000人以上が亡くなる事故が起きました。劣悪な労働環境も問題視され、同国を生産拠点とするファストファッションなどのブランドに労働環境の改善を迫る署名活動が世界で広がりました。これを受けて、H&Mやベネトン、ZARA、ユニクロなど多くが昨夏までに改善に向けた協定に同意しました。この出来事もエシカルへの関心を高めたようです。ファッション・アパレル業界では、「エシカル」や「フェアトレード」といった言葉がこれからもっと重みをもってくるかもしれません。

 ちなみに、ユナイテッドアローズの新卒採用の会社説明会は明日から6月初めにかけて開かれます。

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