2017年04月26日

辺野古埋め立て強行…沖縄の基地問題を考えよう

テーマ:政治

ニュースのポイント

 沖縄県の米軍普天間飛行場を移設するため、政府は名護市辺野古(へのこ)の海を埋め立てる工事を始めました。翁長雄志(おなが・たけし)沖縄県知事=写真=は強く反発していて、今後も曲折が予想されます。日米安保条約は日本全体が対象なのに、沖縄に負担が集中しています。本土に住む人もひとごとではなく、考えなければならない問題です。まずは基本を知ることから始めましょう。(編集長・木之本敬介)

今日取り上げるのは、1面の「辺野古差し止め提訴へ/沖縄県、埋め立てに対抗」、総合面(2面)の「時時刻刻・辺野古強行 迷走の末/沖縄の『分断』図る政権/翁長氏、限られる対抗策」、オピニオン面(14面)「辺野古埋め立て強行/『対話なき強権』の果てに」、社会面(31面)「何度も迫られた選択 無力感も/苦悩 なぜ沖縄ばかり」(いずれも東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。

「世界一危険」な普天間

 沖縄県宜野湾市にある米軍の普天間飛行場は、住宅密集地の真ん中にあり「世界一危険な基地」と呼ばれています。2004年には、すぐそばの沖縄国際大学のキャンパスに米軍のヘリコプターが墜落する事故がありました。またいつ大事故が起きてもおかしくない状況が続いています。

 日米両政府が、そんな危険な基地の返還に合意したのは21年も前のことです。1995年、米兵による少女暴行事件が起き、沖縄の世論は基地反対で結束します。この事件をきっかけに1996年、両政府は「県内移設」を条件に普天間返還で合意。移転先の建設候補地として、名護市辺野古沖に海上ヘリポートをつくる案が浮上しました。1999年に小渕政権が辺野古移設を閣議決定。2006年に小泉政権で、沖合とされていた計画が沿岸部埋め立てに変わりました。2009年に発足した民主党の鳩山政権は「県外移設」を掲げましたが、代わりの建設地が見つからず撤回。2012年末からの安倍政権は辺野古移設を推進してきました。

政府と沖縄県、真っ向対立

 政府は、核開発を進める北朝鮮や、海洋進出を強める中国を念頭に、安全保障上、沖縄の米軍基地は必要だと強調します。米トランプ大統領との首脳会談では「米軍普天間飛行場の辺野古移設は唯一の解決策」と確認していて、移設計画を「粛々と進める」(菅義偉官房長官)と言っています。埋め立ては5年間で完了する計画です。

 これに対し、沖縄県民の世論調査では6割が辺野古移設に反対しています。日本にある米軍基地の74%が沖縄に集中。「危険な普天間は一日も早く返還してほしいけれども、なぜ新たな基地を沖縄に造らなければならないのか」というのが多くの沖縄県民の気持ちです。

 加えて、辺野古沖はジュゴンやサンゴが生息する美しい海です。これまでは陸上工事や会場の浮き具設置でしたが、今回は埋め立て予定地を囲む護岸を造るため、大量の岩石や土砂を投入しますから、工事が進めば元に戻すことは難しくなります。翁長知事は今後、海底の掘削やくい打ちが行われた段階で工事差し止め訴訟を起こし、工事を止める仮処分を裁判所に申し立てる方針で、政府と真っ向から対立しています。

自分ごととして

 2面の記事で稲嶺恵一・元沖縄県知事は「最近の世論調査で『本土は沖縄の心をわかってくれていない』という人が増えている。昔の政治家には沖縄の人の気持ちや沖縄戦、歴史を理解しようと努めた人が多かった。今はそういうものを斟酌(しんしゃく)しない。『寄り添う』よりも、『甘やかすな』『粛々と進める』という言葉が出てくる。政府というのは国民、本土の意思でもある。国民のほとんどは日米同盟、日米安保は必要と言いながら『いくぶんか負担しましょう』とはならない。『沖縄は大変だけど、頼むね。ご苦労さん』が本土の風潮。安倍政権の姿勢は本土の姿勢だ」と話しています。

 何十年かけても解決できなかった難しい問題ですが、沖縄の基地は日本全体のテーマです。みなさんも、まず何が起こっているのかを知ったうえで、自分ごととして考えてみてください。
(写真は、工事が続く米軍キャンプ・シュワブの海岸。女性が船上から工事中止を訴えていた=25日、沖縄県名護市)

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