2017年04月27日

大卒求人倍率アップ! でも大企業は「買い手市場」…なぜ?

テーマ:就活

ニュースのポイント

 2018年3月卒業予定の今の就活生に対する民間企業の求人倍率(大卒求人倍率)は、推計で1.78倍となり、前年より0.04ポイント高くなりました。リクルートホールディングスが発表しました。みなさん一人ひとりが座る椅子は二つ近くあるということで、学生優位の「売り手市場」が続いています。ところが、大手企業は前年より「買い手市場」化が進んで、むしろ狭き門になっています。どうしてでしょう?(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、経済面(11面)の「大卒求人倍率 来春は1.78倍/6年連続上昇」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。

6年連続アップの1.78倍

 大卒求人倍率は、企業の求人数を就職希望者数で割ったもので、学生1人あたりの求人数です。就活を「椅子取りゲーム」にたとえれば、みなさん一人ひとりに座る椅子がいくつ用意されているのか、と考えると分かりやすいですね。全国の企業の求人総数は75万5000人と前年より2万1000人増える一方、民間企業に就職したい学生数は42万3000人で1000人増えただけ。このため、1人あたりの椅子の数は1.78と、前年より少しだけ増えました。単純に考えれば、全員が座れて、かなり椅子が余ることになります。

 上昇は6年連続。業績改善や人手不足を背景に企業は採用を増やそうとしています。2008年と2009年の2.14倍には及びませんが、リーマン・ショック後の「超氷河期」には1.2台だったことを考えると、みなさんは基本的には恵まれた環境にあります。
(写真は、多くの学生が訪れた合同企業説明会=3月1日、福岡市博多区)

大企業は年々狭き門に

 ところが、企業の規模別にみると話は違ってきます。従業員5000人以上の企業は0.39倍。前年より0.20ポイント下がりました。求人総数は4万9000人と前年とほぼ同じ水準だった一方、就職希望者数は前年より48.9%も多い12万4000人に増えたからです。「売り手市場」が続き、大企業に入りたいと思う学生が急増したんですね。いわゆる「大手志向」が強まったわけです。でも現実は厳しく、3人に1人強しか希望はかないません。この数字は、0.70倍→0.59倍→0.39倍と2年連続で低下。5000人以上の大企業は年々「買い手市場」になっているのです。

 従業員1000~4999人の企業も、前年より下がって入りにくくなりました。逆に中堅・中小企業は、人手不足で求人数が増える一方で就職希望者は減ったため、有効求人倍率は上がり、門戸は一層広くなっています。中堅・中小企業は「売り手市場」、大企業は「買い手市場」と、傾向がはっきり分かれました。

◆大手と中小で求人倍率こんなに違う!
従業員規模    2017年卒 2018年卒
300人未満    4.16倍 ↗ 6.45倍
300~999人   1.17倍 ↗ 1.45倍
1000~4999人 1.12倍 ↘ 1.02倍
5000人以上   0.59倍 ↘ 0.39倍

(リクルートホールディングス調べ)

金融は「買い手市場」

 業種による求人倍率の差も大きくなりました。人手不足が深刻な業界で大きく上昇し、「建設業」は9.41倍、「流通業」はなんと11.32倍になりました。「製造業」はややアップの2.04倍です。一方で、「金融業」は前年並みの0.19倍。希望者の5人に1人しか入れません。「サービス・情報業」は前年より少し下がって0.44倍でした。

 建設、流通業は「超売り手市場」ですが、金融、サービス・情報業はかなりの「買い手市場」と、二分されています。調査結果や業種の詳しい内訳はこちらで。

中小企業の見つけ方

 さあ、この結果を受けて、みなさんはどう行動しますか? 人気の大企業にしかエントリーしていない人は、6月になって慌てないよう、中堅・中小企業にも視野を広げることをオススメします。自分に合った優れた中小企業の見つけ方は、「君を欲しい中小企業たくさん!キラリと光る企業の見つけ方」(4月14日の今日の朝刊)をご覧ください。業種についても、選択肢を広げると可能性も大きくなりますよ。

※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから

アーカイブ

テーマ別

月別