2017年04月25日

伊藤忠の採用担当が語る「言葉の力」は「仕事の力」

テーマ:就活

ニュースのポイント

 大手総合商社・伊藤忠商事の採用試験は、文字数は少ないものの多項目のエントリーシート(ES)、自己PR動画、作文、面接と、個性的な選考方法をとっています。学生の総合的な能力を見るためですが、いずれにも必要なのが「言葉の力」です。同社の採用・人材マネジメント室長の甲斐元和さんに、就活で必要な「言葉の力」について聞きました。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、特集面(25面)の「『ことばの力』は『仕事力』/語彙・読解力検定 6月検定 申し込み受け付け中/伊藤忠商事・採用担当に聞く 聞き出す・伝える 効果的に/検定合格・社会人スタート」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
(写真は、「稼ぐ」「(無駄を)削る」「(リスクを)防ぐ)」という伊藤忠の標語の前に立つ甲斐さん=東京都港区の伊藤忠東京本社)

短いES、自己PR動画も

 最近、1項目400字とか、中には800字、それを何項目も書かなければならないESが多くあります。そんな中、伊藤忠のESは項目数は多いものの、1項目20~50字という珍しい形式です。甲斐さんはその理由を「限られた文字数で、学生が自分をどう表現するかを見るため」と言います。「楽でいい」と思う人もいると思いますが、短い言葉で端的に伝えるのは案外難しいもの。センスが問われます。伊藤忠の選考には作文もあります。こちらは論理的な思考力を見るため。さらに今年から、自己PRの1分間動画の提出も始めました。「思いを人に伝える力」を測るのだそうです。

 なぜ、こうした方法をとっているのでしょう。甲斐さんは、「言葉」に関わる力を重視していると言い、「『言葉の力』が『仕事の力』に直結するから」だと説明しています。商社の基本は「売りたいもの」ではなく「相手が欲しいもの」を売ることで、それには「顧客のニーズを聞き出す力」が欠かせません。また、世界中の膨大な情報から必要なものを取捨選択して、取引先や社内にわかりやすく「伝える力」も必要。こうした一人ひとりのコミュニケーション力が積み重なって商社の業績につながるのだというのです。「言葉の力」がいかに大切か、分かりますね。

結論ファースト

 甲斐さんは、新入社員には研修で「結論ファースト」を徹底して教えるとも話しています。上司に「報連相(ほうれんそう)」(報告・連絡・相談)をするときには、要するに何なのかを先に言ってから詳しく説明すべきだということ。このやり方は採用試験の面接にも通用します。学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)でも志望動機でも、経緯など詳しい説明から話し始める学生がよくいますが、話が迷走しかねませんし、聞いているほうもイライラしてしまいがちです。結論を先に言う。それだけのことで、話しやすくて聞きやすくなります。面接でぜひ実践してください。

 伊藤忠の甲斐さんには「人事のホンネ」のコーナーでもインタビューしました。他では読めない話をたくさんうかがいました。近日中にアップする予定です。

先輩新入社員も

 今日の記事には、日本テレビの技術職と大東文化大学の職員に就職した先輩の話も載っています。2人とも、就活に役立ちそうだと「語彙(ごい)・読解力検定」に挑戦し2級を取得しました。ESはもちろん面接でも、検定で勉強した語彙力が大いに役立ったと言います。大東文化大職員の若狭玲奈さんは「面接で質問されて、単にひとこと答えるだけでは説得力がありません。自分自身で付け足して説明することが必要です。それには言葉を知らなければなりません。検定に受かるために勉強したことが、自分の普段の生活や将来にもつながっていることを実感しました」と話しています。みなさんも、ぜひ語彙・読解力検定に挑戦してみてください。

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