2015年09月01日

電力自由化、まとめ記事を活用しよう!

テーマ:経済

ニュースのポイント

 2016年4月に自由化される電力小売りに関する、異業種での提携が相次いでいます。今回発表されたIT大手の楽天と大手商社丸紅との提携は、「非電力」では日本最大級の発電事業者である丸紅と、同じく日本最大級のプラットフォームをもつ楽天とが手を組むという大きな話です。スケールメリットを生かし、顧客にとって一番の魅力である「安さ」をどう提供していくのか、お手並み拝見といったところでしょうか。(副編集長・奥村晶)

 今日取り上げるのは、総合面(3面)の「電力小売り異業種続々/楽天・丸紅提携/得意先に割引も」です。
 記事の内容は――IT大手の楽天と大手商社の丸紅が電力小売り事業で提携すると正式発表した。丸紅がつくる電力を、知名度の高い楽天を通じて販売する。2016年4月に自由化される一般家庭向け電力販売の参入に向け、「非電力」の各社が動き始めた。両社が電力を売り込む先は、通販サイト「楽天市場」の出店者4万2000店と、旅行予約サイト「楽天トラベル」に登録する約3万の宿泊施設だ。沖縄をのぞく全国が対象で、いずれは家庭向けにも手を広げる考えだ。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 楽天と丸紅の提携が注目されるのには理由があります。両社は2014年10月には、電力小売市場におけるエネルギー需要開発に関する業務提携を結んでいました。丸紅は、電力自由化が話題になる15年も前に「特定規模電気事業者」として電気事業を開始している「非電力」のパイオニアです。すでに全世界23カ国で電力事業を運営していて、国内でも新電力会社として、長野、山梨、福島県などで水力発電、福島県では海の上に風車を浮かべる洋上風力発電実証事業などにも着手。国内では約41万キロワットの発電容量があります。
 一方の楽天も、2013年には電力自由化をにらみ、エネルギー事業を立ち上げていました。今後、楽天の得意先である出店者には、電力契約と引き換えに出店料を割り引いたり、家庭向けには楽天の共通ポイントがもらえるサービスを提供したりするとみられます。両社の目標は2020年までに「業界シェア5%」です。

 今回の記事には、同じく小口の電力販売に参入する企業やそのサービス内容がわかりやすくまとめられています。電力自由化に限らず、規制緩和などによって新しい事業が生まれる時期には、次々と似たようなニュースが報じられ、頭がこんがらがることがよくあります。そんなときに役立つのが、記事に添えられた表や振り返り記事です。短い時間でその事業の全体像を把握できますので、業界研究などにぜひ活用してください。

 にあるように、すでに参入を申請した「非電力」にも、商社系と製紙会社が提携したり、石油会社がガソリンスタンドで電力販売したり、通信会社がガス会社と提携したり、さまざまな取り組みがあります。
 事業申請が認められると、それぞれ年末か年明けに詳しい料金メニューやポイントといった契約者への特典などを発表し、契約の受け付けを始める見通しです。
 大手電力も指をくわえて見ているわけではありません。東京電力はソフトバンクグループと、関西電力はKDDIなどと提携した、携帯と電気の「セット割」を検討しています。
 電力自由化に関する異業種参入については2015年3月5日の「今日の朝刊」でも、詳しく紹介しています。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」にはキーワード検索機能もありますので、「電力自由化」などで検索すると、これまでの流れが一度に把握でき、便利ですよ。

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