ニュースのポイント
いま多くの大学や専門学校で、単に知識を学ぶだけでなく、就活や仕事に役立つ社会人基礎力やコミュニケーション能力を鍛える取り組みが進んでいます。就活に役立つヒントがたくさんありますよ。
今日取り上げるのは、進学特集面(23~26面)の「①自ら学ぶ 癖になる ②学ぶ楽しさ 引き出す ③就活「その先」まで ④職業人の土台をつくる」です。
記事の内容は――少子高齢化やグローバル化の進展、新たなテクノロジーの台頭などの荒波のなか、「新しい学び」に向かって積極的に挑戦している各地の大学を訪ねた。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
これから大学や専門学校をめざす高校生向けの記事ですが、そこに登場する学長や教授、学生の言葉には、就活や仕事に生かせる取り組みや言葉がたくさんあります。ピックアップして紹介します。
◆龍谷大学文学部・杉岡孝紀教授「卒論には、調べる力、読む力、考える力、議論する力、書く力、発信する力が求められます。こうした能力はあらゆる会社で必要とされるもの。社会人基礎力が鍛えられる」
◆福岡工業大学の就業力育成プログラム「コミュニケーション基礎」で、社会問題をテーマにディスカッションする授業を受けた学生「時事問題は『なぜ』を意識して調べるようになった」。プログラム担当の渡辺亮太・FD推進室長「就活の先にある、意欲的に働き続けられる力を学生には身につけてもらいたい」
◆新潟医療福祉大学では、様々な学科の学生が共に学ぶ「連携教育」を実施。現代の医療・介護の現場では、複数の専門職がチームで動くケースが多いため、学生時代から他の職種を理解し、尊重する訓練をすることで、現場で重視されるコミュニケーション能力を育てる。「立場の異なる人に考えを発表する機会が多いので、プレゼン力も高まる」(江原義弘副学長)。同校では就職センター(キャリアセンター)で模擬面接をしたり、個別にこまめな進路相談・指導をしたりしている。
◆専門学校ビーマックス(岡山市)・井上潔校長「経済が右肩上がりだった時代は、言われたことだけ真面目にできれば十分だったかもしれません。しかしグローバル化で地方も変化を求められている。自ら問題をみつけ、新しい取り組みを提案する力が必要とされています」。特に力を入れているのがコミュニケーション力。今の学生には、同年代とは話せても目上の人とは話せないタイプが多い。何を話題にしていいかわからないからだ。そこで新聞を教材にした授業を実施。週に一つ興味を持った記事を切り抜き、書かれている「事実」と、そのテーマに対する自分の「意見」をワークシートにまとめ、毎朝1人ずつテーマを決めて1分間スピーチ。TPP(環太平洋経済連携協定)から原発、アベノミクスまで、世の中で何が起きているかを把握し、意見が言えるようになるという。「就職活動の際、面接で求められる力を養うことにもなります」(井上校長)
キーワードは、考える力、コミュニケーション力、プレゼン力、時事力……といったところでしょうか。学生を鍛えるため、各大学や専門学校がさまざまな工夫をしていることがわかります。「自分の大学はここまでやってない」という人も授業やゼミでの発表や卒論はあるでしょうし、新聞は自分で読めます。キャリアセンターや就職課を利用しない学生が多いとの嘆きもよく耳にします。模擬面接やES添削のほか、親身になって相談に乗ってくれるところが多いはず。もっと使い倒しましょう。
「卒論やゼミ論の取り組みがアピールポイントになる」という話は、以前「大学で学んだこと、面接で語れますか」(2013年8月22日の「今日の朝刊」)で書きました。まだの人はぜひ読んでみてください。
また、朝日新聞社は就活で求められるコミュニケーション能力(読む、書く、聞く、話す)や考える力を磨き、社会への関心、理解を深めるための講座「朝日学生キャリア塾」の受講生を募集しています。「就活といっても何から始めたらいいかわからない」という人も歓迎です。詳細は下記URLからご覧ください。
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