ニュースのポイント
今日は朝刊がお休みなので、日曜日の紙面から「読書面」の記事を紹介します。読書面は毎週日曜日、話題の本を紹介したり、新刊本の傾向をもとに世相を論じたりするページです。ここにも、就活のヒントがたくさん詰まっています。
今日取り上げるのは、14日の読書面(9面)の「ニュースの本棚/ヘイトスピーチ/『規制か自由か』を超えて」です。
記事は社会学者の明戸隆浩さんが、ヘイトスピーチについて、師岡康子著『ヘイト・スピーチとは何か』(岩波新書)▽前田朗編『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか』(三一書房)▽奥平康弘著『「表現の自由」を求めて アメリカにおける権利獲得の軌跡』(岩波書店)▽反差別国際運動日本委員会編『今、問われる日本の人種差別撤廃』(解放出版社)――の4冊を紹介しながら論じています。ヘイトスピーチを法律で規制すべきかどうかが議論になっていますが、すでに「イエスかノーか」の次の段階の議論が必要で、「表現の自由」をめぐる議論を踏まえたうえで、「人種差別禁止」の理念を法的に確認することが出発点だと主張しました。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
「ヘイトスピーチ」は、今春の朝日新聞社の入社試験で小論文のテーマになりました。昨春は「デジタルデバイド」(パソコンやインターネットを活用できる人とできない人との間に生じる雇用の機会や収入などさまざまな格差)でしたが、「言葉自体を知らなかったので、頭が真っ白になって何も書けませんでした」と嘆いた学生がいました。新聞には日々新しい言葉が登場しますが、読書面にも世の中で議論になっている言葉やテーマがよく取り上げられます。就活の面接やグループディスカッション、小論文などのヒントや材料になりますよ。(写真は、ヘイトスピーチなど差別的な動きへの反対を訴えた昨年9月の「東京大行進」)
ヘイトスピーチは人種差別を扇動する憎悪表現のこと。「朝鮮人は出て行け」「殺すぞ」など在日韓国・朝鮮人を中傷するデモが問題になり、国連の人種差別撤廃委員会が法律で規制するよう日本政府に勧告しました。政府は表現の自由を理由に法規制には慎重ですが、与党・自民党からはヘイトスピーチ規制とあわせて国会周辺のデモ規制も議論するという話が出るなど、論争になっています。紹介された本を1冊でも読めば、知識や問題の背景などがわかり、視野が広がるはずです。
読書面には、さまざまなジャンルの最新刊の「書評」が並んでいます。「書評委員」と呼ばれる作家や評論家、学者らが、気に入った本や気になった本を、個人的な視点で紹介・批評しています。新聞の書評を張り出してPRする書店もあり、書評をきっかけに急に売れ出す本もあります。ほかにも読書面には、「売れてる本」や「週間ベスト10」など売れ筋の書籍の紹介、著者にインタビューする「著者に会いたい」、著名人の「思い出す本 忘れない本」などのコーナーがあり、コミック本も毎週紹介しています。
気になる本を見つけたら、書店や図書館に行って手に取ってみてください。読書面に載っている本全部に目を通すことはできないでしょうが、書評だけでもその本の中身を少し知ることができるし、話題の本のタイトルを知ることも大事な情報収集です。出版業界をめざすみなさんはもちろん、それ以外のみなさんも、読書面に目を通してみてください。
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