2014年07月09日

日豪EPA署名 TPP、FTAとの違いは?

テーマ:国際

ニュースのポイント

 安倍首相はオーストラリアのアボット首相との会談で、両国間の経済連携協定(EPA)に署名しました。国と国との経済協定では「TPP」「FTA」もよくニュースに登場します。どう違うんでしょう。

 今日取り上げるのは、1面の「日豪首脳、EPA署名/防衛装備の共同開発 協定」です。総合面(4面)には「日豪蜜月/防衛装備開発の協定署名」と「TPP交渉 米以外と加速/包囲網作り譲歩促す狙い」も載っています。
 記事の内容は――オーストラリアを訪問中の安倍首相はアボット首相と会談し、EPAと、防衛装備品及び技術の移転に関する協定にそれぞれ署名した。安倍首相は会談後の記者会見でEPAについて「両国の関係の緊密化にとって歴史的意義がある」と評価。両国は早ければ年明けの発効を目指す。主な内容は、日本は冷凍牛肉の関税(現在38.5%)を協定発効後18年目に19.5%へと段階的に半減▽豪州産ワインは7年目に関税ゼロに▽豪州は日本製の中小型ガソリン車の関税5%を発効後すぐに撤廃、など。防衛関連の協定は、防衛装備の共同開発を進めるためのもので、海洋進出を強める中国を牽制する狙いもある。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 FTA、EPA、TPPは、いずれも国と国の間で、輸入品にかける関税をなくしたり、税率を下げて貿易を活発にしたりするための協定です。それぞれの国は、関税の税率を自由に決められる「関税自主権」を持っていますが、実際には世界貿易機関(WTO)や2国間の条約などで決められます。

【FTA】(自由貿易協定、Free Trade Agreement)国と国との間で、モノの貿易にかかわる関税撤廃を目指す協定
【EPA】(経済連携協定、Economic Partnership Agreement)関税に加え、人の移動や投資、知的財産、労働など幅広い分野で共通のルールを作り、「非関税障壁」の撤廃も目指す、より幅広い協定。日本はシンガポール、スイス、インドなど13カ国・地域とEPAを結んでいる
【TPP】(環太平洋経済連携協定、Trans-Pacific Partnership)太平洋を囲む国々による多国間のEPA交渉で、現在、日本を含む12カ国が交渉中→今日の朝刊「オバマ大統領来日を機に復習です『TPPってなに?』」(4月24日)、一色清の世の中ウオッチ第8回「TPPも怖くない『食材製造業』の未来」も読んでみてください。

 表(2013年11月1日に紙面掲載)にあるように、日本はTPP、日中韓FTA、日EU・EPAなど八つの交渉を同時に進めていました。このうち日豪EPAについて、いったん中断していた交渉を再開し署名にこぎ着けたわけです。

 日豪EPAで、豪州産の牛肉、ワイン、ミナミマグロ、オレンジ、チーズ、アイスクリームが安く買えるようになります。消費者としてはうれしい話ですが、就活生は貿易関係の会社や食品業界、小売業、外食産業といった業界にとってのメリットを考えてみてください。4面の「日豪蜜月」の記事には、イオンや、ワインを輸入するサッポロビール、牛丼チェーン「すき家」の運営会社の歓迎の声が紹介されています。豪州に輸出している自動車業界にも朗報です。こうした業界では面接で話題にのぼる可能性がありますし、時事問題の筆記試験にも出るかもしれませんよ。

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