2014年06月24日

ヤジ問題で考える言葉の重み

テーマ:政治

ニュースのポイント

 東京都議会でのヤジ問題で、自民党の鈴木章浩都議が「早く結婚した方がいい」と発言したのは自分だと認めて謝罪しました。言葉には人格、人柄が出ますし、一度発した言葉は撤回はできても、なかったことにはできません。今日は言葉の重みを考えます。

 今日取り上げるのは、1面の「自民都議、ヤジ認め謝罪/辞職せず 『早く結婚』以外は否定」です。総合面(2面)には「時時刻刻・緩む自民 失言続き」、社会面(39面)には「『真実話す機会逸した』/鈴木氏、釈明15回」も載っています。1面の天声人語もこの問題を取り上げています。

 記事の内容は――都議会で晩婚化対策を質問していた塩村文夏(あやか)都議がヤジを浴びた問題で鈴木都議が謝罪した。鈴木氏は会見で「不適切な発言で多大なご迷惑をおかけした」と頭を下げた。謝罪を受けた塩村氏は「一つ進んだ。ただ少し遅かったのではないか」と話した。鈴木氏は当初発言を否定したことについて「逃げていたと言われても仕方ない」と述べた。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 鈴木氏だけでなく、もっとひどい「産めないのか」などのヤジもあったようです。今回のヤジは人権侵害、女性蔑視、セクハラなど様々な問題点をはらんでいます。オピニオン面(14面)の「声」には、高校生の「都議の発言はヤジではなく侮辱」との意見が載りました。2面には、「最後は金目でしょ」と発言した石原伸晃環境相が福島県の町長らに謝罪した記事など、最近の自民党幹部の失言が並んでいます。「ちょっと口がすべった」では済まされないものが多く、普段から思っている本音が出てしまったのだろうなと思います。

 今回はマイナスの言葉のオンパレードですが、言葉はプラスにも作用します。朝日新聞社は2006年、「ジャーナリスト宣言」を世に発しました。メディア環境が激変する厳しい時代を生き抜いていくために、社員の一人ひとりが真実と正義に根ざす「ジャーナリズム」の原点に立った行動をしていかなければならないという新聞人としての決意表明です。キャンペーンでうたった「それでも私たちは信じている、言葉のチカラを」のキャッチフレーズは大きな反響を呼び、多くの広告賞などを受賞しました。その中にこんな表現もありました。「言葉には人を救ったり、勇気を与えたりするポジティブな力もある。だから朝日新聞は言葉のチカラを信じている」

 「今日の朝刊」ではこれまで、米国のキング牧師、皇后美智子さま、メジャーリーグのイチロー選手や松井秀喜選手らによる、みなさんを勇気づける言葉を紹介してきました。

 「就活ニュースペーパーby朝日新聞」では、先週からサイト内検索の窓を新設しました。過去1年間の記事を、人名や企業名などで簡単に検索できます。社会では、世の中のさまざまな問題について考えを求められることがあります。そのためには新聞記事などで情報をしっかり把握し、考えて発言する必要があります。社会人になったらとくに責任を問われるわけですが、就活の面接も言葉の勝負です。過去の記事を検索して、「言葉のチカラ」を磨いてください。

※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。ぜひ登録してください。

アーカイブ

テーマ別

月別