ニュースのポイント
2040年までに全国の900近い自治体が「消滅可能性都市」になるという試算を民間研究機関が発表しました。このままでは日本の姿が変わってしまうというショッキングな内容です。
今日取り上げるのは、1面の「若年女性、896自治体で半減/民間機関試算 2040年には/県庁所在地も 人口減加速」です。3面には関連記事「『消滅』自治体に衝撃」があります。
記事の内容は――有識者らでつくる民間研究機関「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務相)が2040年までに全国の計896自治体で、20~39歳の「若年女性」が半減するとした独自の試算をまとめ発表した。東北の県庁所在地も含まれる。若年女性が減ると産まれる子どもも減るため、半減した自治体は介護保険や医療保険などの社会保障の維持が困難で、雇用も確保しづらい「消滅可能性都市」になるという。東京などの大都市に若者が吸い込まれて人口減が加速しているとも指摘。①地方に拠点都市をつくり周辺自治体を支える仕組みづくり②都市から住み替える人への税制優遇③出生率を2035年までに2.1に引き上げること――などが必要と訴えた。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
「896」といえば、全国の自治体のほぼ半数。「消滅可能性都市」とはずいぶん刺激的な呼び方ですが、子どもを産む世代が半減してしまうというのですから、けっして大げさな訳ではなさそうです。試算結果を公表した増田氏は「危機感を共有してもらうことが一番大事。一日でも早く対策を取らなければならない」と語っています。
地方都市が縮小していくと、日本の経済はどうなっていくでしょう。人口減少は、人手不足や過疎など経済、社会に様々な影響を与えます。3面の記事にあるように、中核市の中で若年女性の減少率が最も高かった北海道函館市の幹部は「函館の夜景は将来も大丈夫なのか」と心配しています。人口減で家庭や企業などの照明が減れば観光の目玉である夜景が寂しくなり、市の経済に影響しかねないからです。今回の試算は、大都市で医療・介護分野の求人が増えるため、地方から都市への人口流出が続くと仮定しています。人口減少とともに高齢化も進むため、大都市では医療や介護関連の産業はむしろ盛んになっている可能性があります。
26年後、みなさんは40代の働き盛りです。そのころの自分が働く姿を想像しながら、日本のあり方、企業への影響などを考えてみてください。人口減少、大都市への人口集中、少子高齢化が進む中で、志望する業界はどうなっているか。志望企業が生き残るにはどんな戦略がありうるのか。将来のことを考えることも、企業研究を深める方法のひとつです。
今日の2面には「いちからわかる! 生まれる子どもの数に目標を決める?」も載っています。4月22日の「【GD対策】子ども産む数に目標、あなたは賛成?反対?」でも書いた少子化対策の議論をまとめた記事です。
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