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江崎グリコの「ポッキー」は発売から50年近くたった今でも、新商品の開発や海外への進出など進化しています。細長いスティックにチョコをコーティングしただけの一見シンプルなお菓子ですが、「アナログの力」がロングセラーの秘訣のようです。
今日取り上げるのは、オピニオン面(18面)の「記者有論/ポッキー 『細い体』に込めたアナログ」です。
1966年の発売以来愛されてきたポッキーは、値段を5倍にした高級版発売や東南アジア進出など進化を続ける。江崎グリコグループの岡本浩之広報部長は「ポッキーには、まねされないノウハウが詰まっている。『アナログ』は強い」と言う。スティックは工場の従業員が朝、気温や湿度を確認し、まっすぐムラなく焼き上げるために生地を焼く温度を微調整する。インドネシアで現地メーカーの類似品を食べてみたが、ぱさぱさで食べるとぽろぽろ。「おいしく、安く」を熟練の職人技が支えていることを実感した。
「アナログ」とは何か。岡本さんは2年前まで三洋電機でデジタル家電の世界競争のまっただ中にいた。三洋は一時リチウムイオン電池で世界の先頭を走っていたが、あっという間に中韓のライバルに追いつかれた。デジタル家電は基幹部品をつなぎ合わせれば、経験の蓄積がなくてもそれなりのものを作ることができる。だからこそ数値に表しにくい「アナログ」が大切だ。ポッキーは真夏でも溶けにくいチョコ、女性が好む細さを追求したスティックなど、一つひとつのこだわりを最良の組み合わせにして作られている。日本の製造業の生きる道を示している。