ニュースのポイント
田中将大投手の米大リーグ・ヤンキース入団が決まりました。田中投手はヤンキースの先輩でもある松井秀喜さんのマスコミ、ファン対応を見習いたいと語りましたが、松井さんに学ぶことはほかにもあります。「自分にコントロールできないことには関心を持たない」という言葉です。みなさんの就活でも参考になりそうです。
今日取り上げるのは、スポーツ面(27面)の「EYE 西村欣也/田中にバトン 超一流の処世術」です。
記事の内容は――松井から田中に渡されるバトンがある。田中は「ずっと野球をやってきた中で松井さんのような選手になれと言われてきた。マスコミ、ファンに向けてしゃべる姿勢は大事。やらなきゃと思う」と話した。松井から学ぶべきはそれだけではない。「自分にコントロールできることと、できないことを分ける。コントロールできないことに関心を持ってはいけない」。ルーキーイヤーの松井の言葉だ。ヤンキース入団直後に不振だったころ、厳しいニューヨークのメディアについて聞くと、松井は「気になりません。記者が書くことは僕にはコントロールできません。コントロールできないことには関心を持ちません」と答えた。田中の同僚になるイチローも、打率争いについて尋ねたとき「愚問ですね。他の打者の成績は僕には制御できない。意識することはありません」と話した。田中もこれから厳しいメディア環境に身を置く。先輩からのバトンをきちんと受け取れば最初のハードルは乗り越えられる。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
松井さんは、かつて左手首骨折の大けがをしたときには「過去はコントロールできない。未来のコントロールをめざすことが大事でしょう」と語りました。大リーグ・レンジャーズのダルビッシュ有投手も常々「勝ちはコントロールできない」と言います。味方打線の援護がなければ勝てないし、自分の後に投げた投手が打ち込まれて負けることもある。勝敗は自分では決められない。だから自分が好投してマウンドを降りたあと、逆転されて負けたとしても、すぐに次の試合に向けて気持ちを切り替えるのだそうです。
自分の力でできることとできないことを分ける。できることに力を注ぎ、できないことは気にしない。今日の記事を書いた西村記者は、これを「超一流のアスリートが持つ共通の感情」と書きました。これができると、無駄に焦ったり、心を乱したりすることなく、やるべきことに集中できるから、よい結果が出せるわけです。
みなさんはどうでしょう。会社説明会に行ったら、学生の数の多さに怖じ気づいたり、鋭い質問をする学生を見て「とてもかなわない」と落ち込んだり、説明会の予約が取れず「もっと早く申し込めばよかった」とうじうじ悩んだりしている人はいませんか。でも、まわりの優秀な学生に圧倒されて沈んだり、終わったことをくよくよしたりしていても、何もいいことはありません。これから面接を受けるようになると、うまくいくこともいかないこともあります。反省は次に生かしましょう。他の学生の発言や振る舞いに感心したら、見習いましょう。さっさと気持ちを切り替えて、エントリーシート、WEBテスト対策、面接対策に集中しましょう。
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