ニュースのポイント
都道府県に本店を置き、その地域を営業エリアとする地方銀行。東京で営業している地方銀行の東京都民銀行と八千代銀行が経営統合することで合意しました。地域経済に大きな役割を担っている地方銀行ですが、貸し出しが低迷し、人口減少で将来の伸びも見込めないため、今後、再編が加速するともいわれています。地元で就職しようと考えている学生にとって、地方銀行は有力候補の一つだと思います。生き残りをかけた各地銀の動きに注目してください。
今日取り上げるのは、経済面(10面)の「都民銀と八千代銀 統合合意/地銀の再編 続く可能性」です。
記事の内容は――地方銀行の東京都民銀行と第二地方銀行の八千代銀行は経営統合で合意し、来年10月に持ち株会社をつくり傘下に2行を置くことになった。それぞれの預金残高は地銀・第二地銀105行のうち50位前後だが、統合で約4.4兆円になり23位に浮上する。地方の金融機関は貸し出しが低迷し、売上高にあたる「経常収益」が年々減る傾向にある。貸出金利を低くする競争が激しく、もうけも減っているため、両行は「スケールメリットを追求しないと勝ち残れない」と判断した。地銀はバブル後の不良債権で経営が悪化し、再編で1990年の132行から105行に減った。金融庁も再編を促す姿勢だ。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
東京都民銀行は東京都が地盤の地方銀行、八千代銀行は東京都西部と神奈川県が地盤の第二地方銀行です。銀行にもいろいろあります。三菱UFJフィナンシャルグループ(FG)、みずほFG、三井住友FGの3メガバンクをはじめとする「大手銀行」、各都道府県で主に営業している「地方銀行」、地域住民や中小零細企業が顧客の「信用金庫」や「信用組合」、資金や土地を預かって運用する「信託銀行」、近年急成長しているSBIネット銀行、ソニー銀行などの「ネット銀行」、スーパーやコンビニを基盤にしたイオン銀行やセブン銀行などの「流通系銀行」などです。
地方銀行はさらに、全国地方銀行協会加盟の64行(地銀)と、第二地方銀行41行(第二地銀)に分けられます。地銀の多くは地元自治体の指定金融機関であり、地元の有力企業のメーンバンクですから、よく「一番の就職先は、県庁か○○銀行」などと称され、地元での就職をめざす学生にとっては憧れの企業です。第二地銀は、中小企業との取引が多く、より地域に密着した営業を展開しています。ただ、地銀・第二地銀は収益が低迷しているうえ、人口減少による地域経済の縮小で中長期的には一層厳しくなるとみられており、自民党も金融庁も再編を後押ししています。
今日の記事には、最近の主な地銀再編の一覧表が載っています。自分の出身地の地方銀行についても、経営状況などを各行のホームページなどで調べてみてください。
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