2023年04月17日

「技能実習」廃止案の裏に「安いニッポン」 時代の流れ読み取ろう【週間ニュースまとめ4月10日~16日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 ニュースの背後には時代の流れが隠れています。それを読み取ることができるようになるとニュースへの興味が増します。この週の「政府が技能実習制度を廃止することを提案」というニュースからも時代の流れを読み取ることができます。技能実習制度ができたのは30年前です。名目は、「発展途上国の若者に日本で技能を身につけさせて母国に帰す」という人材育成を通じた国際貢献でした。しかし、実態は安い賃金の労働力として活用されてきました。外国人労働者の受け入れに否定的な人が多い中、名目と実態が乖離(かいり)していたのです。そんなおかしな制度が30年も続いてきたのは、日本で働きたい発展途上国の若者がたくさんいたからです。日本で安い賃金といっても母国に持ち帰ると十分高い賃金となり、日本は魅力的な労働市場でした。しかし、長く続いたデフレと円安で日本の賃金水準は海外に比べて相対的に低下していきました。アジアの中でも韓国や中国と変わらなくなっています。日本はだんだん選ばれない労働市場になりつつあるのです。一方で、人口減少の日本の人手不足はますます深刻になっています。正々堂々と外国人労働者に来てもらえる環境を整えなければ、立ち行かなくなる産業が出てくるでしょう。技能実習制度を廃止して新制度に変えようという政府の方針は、そうした時代の流れを踏まえたものです。外国人に選ばれる労働市場にするのは、日本人にとってもいいことです。「安いニッポン」からの脱却に知恵を絞らないといけません。(ジャーナリスト・一色清)

(写真・技能実習制度の廃止を求めるデモに参加する支援者や技能実習生ら=2022年6月、東京都内、)

【労働】技能実習は廃止、政府が提案 国内での「人材確保」明記した新制度へ(4/10.Mon)

 外国人が日本で学んだ技能を母国に持ち帰ることを目的とした「技能実習制度」について政府は10日、日本国内での「人材確保」と「人材育成」を目的にした新制度に改める案を有識者会議に示した。実習生が日本の人手不足を補う労働力になっている実態に即した見直しで、30年続く現行の技能実習制度は「廃止する」と打ち出した。別の企業への転籍を原則認めないという、人権侵害を招く温床だった制限も緩和する。一方、人手不足の分野で外国人を労働者として正面から受け入れる「特定技能制度」には組み入れず、特定技能にキャリアアップするための「人材育成」制度と位置づける。1993年に始まった技能実習制度は、実習生になる際に技能水準は求められない。87職種で最長5年働くが、開発途上国への技能移転という目的と、日本の労働力になっている実態が乖離してきた。多額の借金を抱えて来日する人が多い中、転籍は原則できず、賃金未払いや暴行などの人権侵害も絶えなかった。

【国際】北朝鮮ミサイルはICBM級1発 1000キロ飛行し日本海に落下(4/13.Thu)

 浜田靖一防衛相は13日午前9時ごろ、北朝鮮が同日午前7時22分ごろに北朝鮮の内陸部から少なくとも大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイル1発を高い角度で東方向に向けて発射したと発表した。「我が国領域内へは落下していないことを確認した。EEZ(排他的経済水域)への飛来も確認されていない」と語った。
 北朝鮮の朝鮮中央通信は14日、同国が13日に固体燃料を使った新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」を試験発射したと報じた。「国家の安全を守るうえで最も強い威力のある主力手段」としている。今回が初めての試射で、金正恩(キムジョンウン)総書記が現地で指導したという。(4/14.Fri)

【政治】大阪IR整備計画を認定 カジノ免許付与へ手続き 長崎は審査継続(4/14.Fri)

 カジノを含む統合型リゾート(IR)について、斉藤鉄夫国土交通相は14日、大阪府・市の整備計画を認定した。今後、カジノ免許付与などの手続きが進めば、日本で初めてのカジノ施設が誕生する。同時に申請していた長崎県の計画は、継続審査とする。大阪の整備計画は、大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」にカジノ施設や国際会議場などをつくり、来訪者数は年間約2000万人を見込んでいる。費用は初期投資で約1兆800億円に上る。2029年の開業をめざしている。審査では、国内外からのアクセスのよさや、訪日観光客の増加が見込まれることが評価されたとみられる。カジノ施設ができるため、ギャンブル依存症対策などの課題が残る。

【国際】米機密流出、空軍州兵の21歳男を逮捕 国防情報を不正送信の疑い (4/7.Fri)

 ロシアのウクライナ侵攻などに関わる米国の機密流出疑惑をめぐり、米連邦捜査局(FBI)は13日、機密文書の漏洩(ろうえい)に関わった疑いで、マサチューセッツ州の空軍州兵ジャック・テシェイラ容疑者(21)を逮捕した。ガーランド司法長官は同日の会見で、テシェイラ容疑者の逮捕は「機密の国防情報を不正に持ち出して保持し、送信した疑いをめぐる捜査に関連したものだ」と説明した。この問題をめぐっては、ロシアのウクライナ侵攻などに関わる米国の内部文書とみられる資料が流出した疑惑を、米紙ニューヨーク・タイムズが6日に報道。流出したとみられる資料には、ウクライナ軍の反転攻勢に向けた米国と北大西洋条約機構(NATO)による訓練計画や、ウクライナに防空ミサイルを大量に供給しなければ4月半ばから5月初めには完全に補給が途絶える、という見通しなどが含まれていた。イスラエルや韓国など同盟国からひそかに得たとみられる情報もあったという。

【社会】首相の演説直前に爆発、けがなし 筒?を投げた疑いで男を逮捕 (4/15.Sat)

 15日午前11時25分ごろ、和歌山市雑賀崎(さいかざき)の雑賀崎漁港で、衆院補選の応援演説で訪れていた岸田文雄首相の近くに筒状のものが投げ込まれ、間もなく爆発した。首相にけがはなかったが、現場にいた30代の男性警察官1人が左手を切るけがを負った。和歌山県警は、演説を妨害したとして、現場で取り押さえた兵庫県川西市けやき坂3丁目の職業不詳、木村隆二容疑者(24)を威力業務妨害の疑いで現行犯逮捕し、発表した。木村容疑者は事件について「弁護士が来てから話します」と話し、以後は黙秘しているという。岸田首相はこの日午前11時過ぎ、衆院和歌山1区補選の応援演説のために現地入りし、同漁港でとれる海産物を試食。その後、演台に歩いて移動し、演説が始まる前に爆発物が投げ込まれた。爆発物は弧を描いて、首相のそばに落下。異変に気づいた警護員とみられる男性が盾のようなものを取り出し、首相に覆いかぶさり、急いでその場から離れた。

◆朝日新聞デジタルのベーシック会員(月額980円)になれば毎月50本の記事を読むことができ、スマホでも検索できます。スタンダード会員(月1980円)なら記事数無制限、「MYキーワード」登録で関連記事を見逃しません。大事な記事をとっておくスクラップ機能もあります。お申し込みはこちらから

アーカイブ

テーマ別

月別