2023年04月10日

日銀総裁、トヨタ社長…トップ交代ニュースに注目すべき理由【週間ニュースまとめ4月3日~9日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 大きな組織のトップ人事がニュースになるのは、それに伴って組織の方向性が変わることが想定されるためです。逆に言えば、トップが推し進めてきた方針をトップ自らが変えることはむずかしいということを示しています。この週には、そんなことを感じさせるニュースがふたつありました。ひとつは、日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁の退任記者会見です。黒田総裁は10年にわたって自らが推し進めてきた「異次元の金融緩和」について、「適切だった」と述べました。ただ、目標だった安定的な2%の物価上昇は実現できず、国の財政の国債依存体質が強まるなど、途中から副作用のほうが大きくなった印象があります。黒田総裁の任期中にどこかで政策の方向性を変えればよかったと思いますが、人はそんなに柔軟になれないようです。おそらく4月9日に就任した植田和男新総裁が徐々に方向を変えていくものと思われます。もうひとつは、4月1日に豊田章男氏から佐藤恒治氏に社長が代わったトヨタ自動車です。豊田氏は社長時代に電気自動車(EV)に傾斜した戦略を打ち出さず、どちらかというとEVに慎重な印象がありました。しかし、佐藤社長は早速、EV強化の新戦略を発表しました。豊田氏が方向転換を佐藤社長に託した形です。豊田氏は経営者として高い評価を受けていますが、そういう人でも自分で方向転換する道を選びませんでした。人事は組織の方向転換を伴うことがよくあるので、人事ニュースに注目してください。(ジャーナリスト・一色清)

(写真・退任に際して、拍手で送り出す職員らに手を振る日銀の黒田東彦総裁=2023年4月7日、東京都中央区、代表撮影)

【国際】フィンランド、NATOに正式加盟 大統領「スウェーデンも早期に」(4/4.Tue)

 北大西洋条約機構(NATO)は4日、ブリュッセルの本部で外相会合を開き、北欧フィンランドを31カ国目の加盟国として正式に迎えた。NATOの拡大は、2020年の北マケドニアの加盟以来。今後はトルコの反対などで手続きが進んでいないスウェーデンの加盟が焦点となる。この日、最後にフィンランドの加盟を批准したトルコとフィンランドの外相が、米国のブリンケン国務長官に加盟文書をそれぞれ寄託して手続きが完了した。その後の加盟式で、本部ビルの外にフィンランドの国旗を掲揚した。式典にはフィンランドのニーニスト大統領らが出席した。ニーニスト氏は加盟式で、「フィンランドの加盟は、スウェーデンの加盟なしには完結しない。スウェーデンの早期加盟のための作業は休むことなく続いている」と語った。

【社会】師団長ら10人乗った陸自ヘリ、宮古島沖で不明 海上に機体の一部か(4/6.Thu)

 防衛省は6日、沖縄県の宮古島の周辺空域で飛行中だった陸上自衛隊のヘリの機影がレーダーから同日午後3時56分ごろに消えた、と明らかにした。熊本県の高遊原分屯地に駐在する第8師団第8飛行隊所属の多用途ヘリ「UH60JA」で、隊員ら10人が乗って宮古島周辺の地形の状況を確認していたという。周辺の捜索を進めている海上保安庁の関係者によると、海保の巡視船が海上でヘリのローターとみられるものを見つけたほか、「陸上自衛隊救命浮舟」と書かれたオレンジ色の袋状のものを回収した。森下泰臣陸上幕僚長は同日夜に会見し、この時点までにヘリの燃料がもたないことや、周辺海域で機材らしきものが発見されていることなどから「総合的に判断し、航空事故と断定した」と語った。乗っていたのは、熊本県を拠点とする第8師団の坂本雄一師団長(陸将)を含む隊員6人、操縦士2人、整備員2人の計10人。坂本師団長は3月30日に着任したばかりだった。師団は全国に九つあり、エリアごとに数千人の隊員をまとめている。

【経済】黒田日銀総裁「緩和は適切だった」 歴代最長、10年の任期終え退任(4/7.Fri)

 日本銀行の黒田東彦総裁(78)は8日、歴代最長となった10年の任期を終えて退任する。7日に記者会見した黒田氏は「大規模な金融緩和は様々な効果を上げてきた。これまでの政策運営は適切だった」と述べ、緩和策が日本経済の改善につながったとの認識を改めて示した。黒田氏は2013年3月、第2次安倍政権に任命された。経済政策「アベノミクス」のもとで、日銀は物価2%上昇の目標実現をめざし、同4月に大量に国債を買い入れて世の中にお金を流す大規模緩和を始めた。日本経済は物価が持続的に下がる「デフレ」からは脱したが、賃金の上昇を伴う物価目標は実現できず、緩和は長期化。日銀が大量の国債買い入れを続けたため、市場の機能が低下したり、政府が借金を日銀に依存して財政規律が緩んだりしたとの批判が強まっている。昨年は緩和策が一因となって、歴史的な水準まで円安が進んだ。

【経済】トヨタがEV新戦略 26年までに10モデル投入、年150万台販売(4/7.Fri)

 トヨタ自動車は7日、今後の電気自動車(EV)の戦略について発表し、2026年までに新たに10モデルを投入し、年150万台の販売を目指すことを明らかにした。米国では2025年に、スポーツ用多目的車(SUV)のEVの現地生産を始めるという。佐藤恒治社長は2月の記者会見で「EVファーストの発想で、ものづくりから販売、サービスまで事業のあり方を大きく変えていく」と語っており、改めて具体策を示した形だ。トヨタは2021年末、EVを2030年に30車種そろえ、世界で年350万台販売する戦略を発表している。現時点では米テスラなどに先行を許しており、生産効率やコスト競争力を高めるためにEV専用の車台を開発するなど巻き返しを図っている。

【政治】維新、大阪・奈良の知事選で勝利 大阪以外で初の公認首長誕生 (4/9.Sun)

 9道府県知事選など第20回統一地方選の前半戦が9日、投開票された。大阪府知事と大阪市長のダブル選では地域政党・大阪維新の会がいずれも勝利。保守分裂となった奈良県知事選でも国政政党の日本維新の会が制し、大阪以外で初の公認首長を誕生させた。大阪ダブル選は、大阪府知事選で現職の吉村洋文氏(47)が再選を決め、大阪市長選では前府議の横山英幸氏(41)が初当選した。維新は2011年に両ポストを制して以降、今回で4回連続のダブル選での勝利となった。2020年11月に実施された大阪都構想住民投票の否決を受け、維新前代表で前大阪市長の松井一郎氏が市長の任期満了で政界を引退。横山氏は、松井氏の後継候補として立候補した。

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