2022年06月13日

円安加速…日銀総裁、値上げ許容発言を撤回 経済を知ろう【週間ニュースまとめ6月6日~12日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 円安が進んでいます。この週には1ドル=134円台まで下落しました。円はユーロに対しても安くなっていて、円の下落は世界の通貨の中で目立っています。アメリカやヨーロッパでは物価上昇を抑えるために利上げを進めているのに対して、日本は超低金利のままにしています。お金は金利の低いところから高いところへ流れるので、円が売られドルやユーロが買われているのです。円安になると円建ての輸入価格が上がり、物価上昇につながります。実際、日本ではかなりの勢いで物価が上がっています。そうしたタイミングで日本銀行黒田東彦総裁が講演で「家計が値上げを受けいれている」と発言しました。家計のやりくりに苦しんでいる消費者の心を逆なでする発言だとして批判され、黒田総裁は謝罪して発言を撤回しました。黒田総裁の発言には、物価上昇に対して日銀が利上げなどの手を打っていないことを正当化したいという気持ちが表れていると思います。黒田総裁は安倍元首相の経済政策であるアベノミクスの推進者で、景気回復による物価上昇を目指して「異次元の金融緩和」をしてきました。日銀が利上げをしないのは、景気に悪い影響を与えるということだけではなく、アベノミクスへのこだわりがあると感じられます。金利や為替レートは経済に大きな影響を与えます。日銀は、今どうすればいいのでしょうか。それを考えることは、経済のとてもいい勉強になると思います。(ジャーナリスト・一色清)

【政治】揺れた「骨太」閣議決定 強まる財政出動色、示されなかった財源(6/7.Tue)

 政府は7日、今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を閣議決定した。5月末に示した原案に対し、自民党内から防衛費や財政運営をめぐって異論が続出。財政健全化の記述は後退し、財政出動の色彩が強まる内容となった。ただ、財源は示されておらず、夏以降の来年度予算案の編成に向け、財政規律のあり方などが問われることになりそうだ。方針では、首相がすでに「相当な増額」を打ち出している防衛費について「予算編成過程において検討し、必要な措置を講じる」と初めて明記。具体的な規模感は示されていないが、NATO(北大西洋条約機構)諸国が「国防予算を対GDP(国内総生産)比2%以上とする基準」をめざしていることを例示した。

【経済】日銀の黒田総裁、値上げ許容発言を撤回 「まったく適切でなかった」 (6/8.Wed)

 日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は8日、「家計が値上げを受けいれている」とした自身の発言について、「まったく適切でなかった」と撤回した。発言を巡っては、商品の値上げが相次いで家計の負担が増す中で、認識にずれがあるとして批判が高まっていた。黒田氏は6日の講演で、東京大学の渡辺努教授の家計への調査を引用。「なじみの店でなじみの商品の値段が10%上がったときにどうするか」との問いに、「他店に移る」と回答した割合が昨年8月に比べ、今年4月は減少したことなどを踏まえ、「家計の値上げ許容度も高まってきている」などと発言していた。

【経済】円安加速、一時1ドル134円台に 20年4カ月ぶりの水準(6/8.Wed)

 8日の外国為替市場で円相場が一時、1ドル=134円台に下落し、2002年2月以来約20年4カ月ぶりの円安水準となった。5月下旬からの約2週間で7円ほども円安が進んだ。米国の長期金利が上昇し、日米の金利差拡大が意識され、円を売って金利の高いドルを買う動きが広がった。円相場は4月下旬に一時1ドル=131円台まで円安が進んだ。その後、米国の景気減速を防ぐために米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げのペースを緩めるとの見方が広がり、5月下旬には一時1ドル=126円台まで円高に戻した。しかし、今月初めに公表された米国の雇用統計が改善するなど、米経済が想定より堅調でFRBが金融引き締めを急ぐとの見方が再び強まった。一方、日本銀行は金融緩和を続け、日米の金利差は広がっている。
 円安に歯止めがかからないことを受け、財務省金融庁、日本銀行の幹部が10日、臨時の会合を開いた。会合後、「必要な場合には適切な対応をとる」などとした異例の声明文を発表。財務省幹部は、対応策について「あらゆるオプション(選択肢)を念頭に置く」と、これまでより踏み込んだ発言で為替介入も辞さない姿勢をちらつかせ、市場を強く牽制(けんせい)した。(6/10.Fri)

 少し前の記事ですが、円安についてはこちらも読んでみてください。
「悪い円安」が進む? 今さら聞けない!円安のキホンのキ【時事まとめ】

【社会】ウニ・カニの限定商品「販売できないのに宣伝」 スシローに措置命令(6/9.Thu)

 ウニやカニを使った期間限定商品を販売できない店舗があるのにテレビCMなどでの宣伝を続け、客を誘引したなどとして、消費者庁は9日、回転ずし店「スシロー」の運営会社「あきんどスシロー」(本社・大阪府吹田市)に対し、景品表示法違反(おとり広告)で再発防止などを求める措置命令を出した。同社は昨年9~12月、商品ごとに「世界のうまいもん祭」「冬の大感謝祭 冬のうまいもん」などと銘打ってキャンペーン期間を設定し、テレビCMやウェブサイトで宣伝した。だが、全国約600店舗のうち9割超で販売できない期間があったという。景表法は、商品を準備していなかったり、提供の意思がなかったりする場合、宣伝して客を誘引することは「おとり広告」として禁じている。

【社会】「懲らしめ」から大転換 115年ぶり刑罰変更で「拘禁刑」創設へ(6/10.Fri)

 刑罰から懲役禁錮をなくし、新たに拘禁刑をつくる刑法改正案が10日、参院法務委員会で可決され、13日の本会議で成立する見通しとなった。再犯を防ぐため、刑罰の目的を「懲らしめ」から「立ち直り」に移す大転換で、拘禁刑では刑務作業を一律には義務づけずに指導、教育を充実させる。刑罰の種類が変わるのは刑法が1907(明治40)年に制定されてから初めてで、3年以内に導入される。現行法の刑罰には、生命を奪う死刑、自由を奪う懲役、禁錮、拘留のほか、財産を奪う罰金科料没収がある。自由を奪う刑のうち、懲役は木工、印刷、炊事などの刑務作業が義務づけられ、禁錮は義務づけられない。拘留は30日未満の収容で作業の強制もない。2020年に死刑と自由を奪う刑が確定するなどした受刑者のうち99.65%は懲役で、禁錮が0.32%。禁錮刑は過失による交通事故で適用されることが多いが、大半は希望して作業に従事しており、両者を区別する意味は薄れていた。

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