2021年09月21日

「AUKUS」って何? 「TPP」に中国が加盟申請…国際ニュースに注目【週間ニュースまとめ9月13日~20日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 国内は自民党総裁選とコロナ関連のニュースでにぎやかですが、世界に目を向ければ、アメリカと中国の覇権争いを背景にしたニュースが増えています。「AUKUS(オーカス)」の創設がその一つです。AUKUSはオーストラリア(AU)、イギリス(UK)。アメリカ(US)の新しい安全保障の枠組みです。狙いは中国への対抗です。その中国も動いています。日本が中心になってつくった環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請しました。TPPはもともと中国へのけん制の意味を込めて日米でアジア太平洋の貿易のルールづくりをするという意図がありました。ところが、アメリカは抜け、そこに中国が入ろうとしているのです。中国の意図はわかりませんが、中国包囲網を経済の分野から揺さぶろうということではないかと見られています。AUKUSにしてもTPPにしても、アジア太平洋の問題ですが、どちらにも遠く離れたイギリスがかかわっているのも興味深いところです。イギリスは昨年末に欧州連合(EU)からの離脱を完了しました。ジョンソン首相は、これからは「グローバル・ブリテン」だとして、アジア太平洋に目を向けています。AUKUSを創設するのを主導したと言われていますし、TPPへの加盟申請も中国より先にしています。米中対立の舞台はアジア太平洋ですが、そこに欧州の国も関わってきています。日本はどうするのでしょうか。コロナで動けなかった世界が動き始めています。国際ニュースにも注目してください。(ジャーナリスト・一色清)

(写真は、米英豪の「AUKUS」についてホワイトハウスで発表するバイデン米大統領=15日、ワシントン)

【国際】米英、豪の原子力潜水艦保有を支援へ 中国念頭に新たな安保の枠組み(9/15.Wed)

 バイデン米大統領は15日、米ホワイトハウスで記者発表し、インド太平洋地域における米英豪3カ国の新たな安全保障協力の枠組み「AUKUS」を設置することを明らかにした。中国への対抗を念頭に安保協力を強化し、米英は豪州の原子力潜水艦の保有を支援する。豪州が力を入れる高性能の潜水艦能力をめぐっては「AUKUS」の最初の取り組みとして、米英が原子力潜水艦の技術を供与する。原潜はステルス性に優れ、長距離潜航が可能となる。最も機密性が高い軍事技術で、米国がこれまでに供与したのは英国のみだ。
 一方、ルドリアン仏外相は17日、フランスが豪州と結んでいた潜水艦の建造契約が破棄されたとして、抗議声明を発表し、米豪に駐在する自国大使を直ちに本国に召還することを明らかにした。(9/17.Fri)

【国際】中国がTPP加盟を正式に申請 関係者「交渉の道のりまだ遠い」(9/16.Thu)

 中国商務省は16日夜、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請したと発表した。昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC=エーペック)の首脳会議で、習近平(シーチンピン)国家主席が加盟の意向を表明していた。ただ加盟交渉が順調に進むかは見通せない。習氏は昨年11月、オンラインで出席したAPECの首脳会議で「TPPに加入することを積極的に考えている」と述べ、加盟する意向を表明した。米国がTPPから離脱する一方、中国は地域的包括的経済連携(RCEP=アールセップ)の署名にこぎつけた。さらにアジアで経済的な影響力を高めようと、次にTPPに狙いを定めたとみられる。

【政治】自民党総裁選が告示、4氏届け出 党員投票合わせ29日投開票(9/17.Fri)

 自民党総裁選が17日午前告示され、河野太郎行政改革担当相(58)、岸田文雄前政調会長(64)、高市早苗前総務相(60)、野田聖子幹事長代行(61)の4氏が立候補を届け出た。複数の女性議員が立候補するのは初めてだ。29日に投開票され、新しい総裁が決まる。新型コロナウイルス感染拡大に対応する緊急事態宣言が出されるなか、菅義偉首相の後任となり、次期衆院選の「顔」となる総裁選びがはじまった。総裁選は、衆参両院の議長を除く国会議員票(383票)と、同数の党員・党友票(383票)を合わせた計766票を取り合う。
 その後、竹下亘・自民党衆院議員の死去に伴い、国会議員票と党員・党友票はいずれも382票(計764票)で実施されることになった。

人気あっても勝てないの? 自民党総裁選のなぜ【イチ押しニュース】

【社会】ワクチン3回目接種、厚労省が容認 早ければ医療従事者で12月にも(9/17.Fri)

 厚生労働省は17日、「ブースター接種」と呼ばれる新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を認めることを決めた。2回目までと同じワクチンを使うことが基本で、2回目から8カ月以上あける方向。対象者は今後検討する。2月に先行接種が始まった医療従事者には、早ければ12月中にも接種が始まる見通しだ。他国の状況、今後出現しうる変異株への懸念などを考慮し、専門家の分科会で了承された。この日は、血中に含まれる抗体量(抗体価)が半年でピーク時の4分の1に低下する場合があるとの研究結果が報告された。ブースター接種すれば抗体価が増えるほか、先行するイスラエルでは高齢者に接種後、12日目以降から、2回接種者に比べて感染・重症化予防効果が10倍以上にのぼったとの研究結果も示された。

【社会】高齢者4人に1人が労働者 総務省推計、65歳以上人口が29%超に(9/17.Fri)

 総務省は20日の敬老の日に合わせ、2015年の国勢調査を基にした高齢者の人口推計を公表した。65歳以上の人口は前年より22万人増えて3640万人、総人口に占める割合(高齢化率)は29.1%となり、それぞれ過去最高を更新した。政府が「生涯現役社会」を目指す中、高齢者の就業率は25.1%と初めて「4人に1人」に達した。30%に迫る高齢化率は世界最高で、2位のイタリア(23.6%)、3位のポルトガル(23.1%)を大きく上回る。高齢者の就業者数は17年連続で増え、906万人と過去最多を更新した。就業率も9年連続で上昇して25%を超えた。日本は主要7カ国(G7)の中では最も高齢者の就業率が高い。就業者全体に高齢者が占める割合も、過去最高の13.6%になった。産業別に見ると「卸売業、小売業」が128万人と最も多く、次いで「農業、林業」が106万人、「サービス業(他に分類されないもの)」が104万人で続いた。

◆「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから

アーカイブ

テーマ別

月別