2021年09月27日

不動産大手・中国恒大集団危機で世界株安 バブル崩壊?【週間ニュースまとめ9月21日~26日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 この週は金融関係のニュースが目立ちました。中でも注目されるのは、中国の不動産大手・中国恒大集団の経営危機です。中国の不動産市場は2008年のリーマン・ショックを乗り切った後、明らかにバブルとみられる値上がりを続けました。そのバブルにあわせて強気の投資をして、巨大企業となったのが恒大集団です。住宅価格は庶民には手が届かないところまで上がり、中国政府は価格を抑えようと不動産会社の負債に枠を設けるなどの政策をとりはじめました。恒大集団は膨大な負債を減らす必要に迫られ、経営危機に陥ったのです。放っておくと、恒大集団は社債の利払いができなくなったり、銀行に借入金を返すことができなくなったりして破綻する可能性が高いとみられます。そうなると、中国国内の金融機関がダメージを受けます。また、ほかの不動産会社の経営も危なくなります。中国経済はガタガタになり、世界経済にも大きな影響を与えることになります。かつて日本が経験したバブル崩壊が、中国で起ころうとしているのです。中国政府が公的資金を投入して救えば、当面はおさまるかもしれませんが、中国政府が救うとは限りません。経営危機になれば政府が救ってくれるということになると、放漫経営にお墨付きを与えることになります。こういう状況を「モラルハザード(倫理感の喪失)」といいます。最近の習近平政権は「共同富裕」というスローガンを掲げ、中国社会で大きくなった格差を是正することに力を入れようとしています。それを考えると、政府が「モラルハザードを許さない」として助けないことは十分考えられます。バブルの生成と崩壊は、経済の歴史の中で繰り返し起こっています。わかっていても膨らんでしまうのがバブルです。この恒大集団問題はバブル経済について学ぶいい教材だと思いますので、行方を注目していてください。(ジャーナリスト・一色清)

(写真は、深圳市にある中国恒大集団の本社が入るビル=2021年9月22日)

【経済】三菱UFJ、傘下の米地銀ユニオンバンク売却 8800億円(9/21.Tue)

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は21日、傘下の米地銀MUFGユニオンバンクの個人向けと中小企業向け部門を、米地銀大手USバンコープに約8800億円で売却すると発表した。ユニオンバンクはMUFGの米国事業の中核をなすが、金融のデジタル化が進む中、実店舗の運営コストが重荷になっていた。売却を機に利益率の高い事業への選択と集中を進める。MUFGはこの売却で約1兆9000億円を手にする。売却で得た資金は、デジタル化などの戦略投資や株主への還元に充てる方針だ。

【経済】日経平均660円安、終値3万円割れ 中国恒大危機、世界で株安連鎖(9/21.Tue)

 21日の日経平均株価の終値は2万9839円71銭で、先週末から660円34銭安の大幅下落となった。不動産大手・中国恒大集団の経営危機に対する不安から、投資家心理が冷え込んだ。日経平均の終値は9月8日以降、3万円台を保ってきたが、2週間足らずで再び3万円を割り込んだ。巨額の負債を抱える中国恒大集団は今週以降、社債の利払い日を相次いで迎える。予定通りに払えるのかどうか、金融市場では警戒感が高まっている。この問題に対する中国政府の対応や他国経済への波及などの先行きが不透明なことから、欧米の株式市場でもリスク回避のために株が売られた。前日の20日の米ニューヨーク株式市場は、主要企業でつくるダウ工業株平均の終値が3万3970.47ドルと前週末より614.41ドル下げた。20日の欧州や香港の株式市場も2~3%下げており、世界で株安が連鎖している。恒大集団は中国の不動産バブルを背景に急成長したが、強気の投資や事業の多角化で6月末時点で有利子負債が5700億元(約9兆7000億円)まで膨らみ、資金繰りが厳しい。
 中国恒大集団は22日、期日が23日の人民元建て社債の一部の利払いを実施すると発表した。利息は2億3200万元(約39億円)。負債総額1兆9665億元(約33兆円)を抱える同社が社債の利払いを実施できなければ、債務不履行に陥るとの警戒感が広がっていた。中国恒大は、29日にも4750万ドル(約52億円)分の利払いが必要になるなど今後も立て続けに利払い期日を迎えるため、債務不履行に陥る懸念はぬぐい去れていない。(9/22.Wed)

【経済】金融庁、みずほに業務改善命令 障害7回続き、異例の「応急対応」(9/22.Wed)

 金融庁は22日、みずほ銀行と持ち株会社みずほフィナンシャルグループ(FG)に対し、一連のシステム障害に関する業務改善命令を出した。2月末のATM停止から障害が7回続き、金融庁は検査を続けている。検査が終わる前の改善命令は異例だが、社会インフラの安定を損なわないように応急対応が必要と判断した。検査継続中に異例の改善命令を出す背景には、トラブルが止まらないみずほへの不信感がある。4000台超のATM停止など2~3月の計4件のトラブルを受け、みずほは6月に再発防止策をまとめた。しかし、その後の8月以降も障害が立て続けに起きた。監督する側として金融庁が十分な対応をしてきたかを問う声も出ている。金融庁はみずほのシステム管理への関与を強めることで、安定稼働を最優先させる構えだ。

【国際】台湾がTPPへの加盟を申請 地元メディアが報道(9/22.Wed)

 台湾環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請したと、台湾の通信社「中央社」が22日に報じた。蔡英文(ツァイインウェン)総統はこれまでも再三、加盟に意欲を示し、日本など各加盟国と調整していた。中央社によると、台湾の経済部(経済省)関係者が22日、加盟申請したことを明かしたという。TPPをめぐっては、蔡政権と対立する中国が今月16日に加盟を申請したと発表。TPPに入るには、加盟国すべての同意が必要で、中国が先行加盟した場合、台湾は拒まれる可能性が高い。

【国際】中国、仮想通貨を全面禁止に 違法として刑事責任を追及、市場は急落(9/24.Fri)

 中国人民銀行(中央銀行)は24日、暗号資産(仮想通貨)の決済や取引情報の提供など関連するサービスを全面的に禁止すると発表した。違法な金融活動として刑事責任を追及する。中国国外の取引所がインターネットを通じて中国に住む人に暗号資産のサービスを提供することも禁じ、関連する一切の行為の監視を強化していく。人民銀行が同日までに、中国国内の各省や自治区、直轄市などに対して通知を出した。通知では、暗号資産について「経済や金融の秩序を乱し、賭博や詐欺、マネーロンダリングなどの犯罪活動を引き起こしている」と指摘。「ビットコイン」や「イーサリアム」などの具体的な暗号資産名を挙げ、市場で流通させてはならないと明記。今後は各当局が監視や取り締まり活動を強化するとした。

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