2013年07月24日

企業のコアってなんだ?

テーマ:政治

ニュースのポイント

 参院選の結果、「自民党1強」の時代が始まりました。例えれば市場で圧倒的なシェアをもつ大企業です。自民党の復活、共産党の復調、民主党の没落といった盛衰は企業選びのヒントになりそうです。企業も、大企業か中小企業かではなく、ぶれない芯、コアがある企業を探してみましょう。

 今日取り上げるのは、オピニオン面(17面)の「2013参院選 大きいことはいいことか」です。
 参院選で生まれた「自民党1強」という結果について、エッセイスト・動物行動学研究家の竹内久美子さんが生物的観点から、福井県立大学特任教授の中沢孝夫さんが経済的観点から、東京大学史料編纂所(へんさんじょ)教授の本郷和人さんが歴史的観点から、それぞれ分析しています。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 3人のうち、中沢さんの意見には企業のあり方を考えるヒントが詰まっています。まず記事を読んでみてください。中沢さんによると、市場で支配的な力をもった企業は慢心して守りに入り、組織が縦割り化し、経営陣と現場の距離が離れる「大企業病」に陥りがちです。大勝した自民党が「大企業病」に陥るかどうかは「組織としてのコアを維持できるか」にかかっています。長続きする企業は「自分たちは何をする集団なのか」という核心、コアが明瞭です。芯がぶれない会社は中小でも大企業でも、経営陣と社員の間で価値観が共有され、技術力や人材育成のノウハウが蓄積されているため、まねできない製品やサービスを提供できるというのです。

 記事には「大企業病」に陥った例として、ビールのシェアトップを「スーパードライ」でアサヒビールに奪われたキリンビールが挙げられています。最近では、経営破綻(はたん)した日本航空(JAL)や多額の赤字を出したパナソニックなどで「大企業病」との指摘が多くされました。どの会社でもある程度成功した場合、陥る可能性があり、どの組織にも常に危険性が内在しているのが大企業病です。JAL再生を指揮した稲盛和夫名誉会長は「指示待ちの社員が増える大企業病は、(JALに限らずどの会社にも)共通ではないでしょうか」と語っています。

 一方で芯がぶれない会社として、自動車のトヨタ、ファスナーのYKK、建設機械のコマツが挙げられています。あらゆる業界にこうした会社があります。「コアがあるかどうか」を見極めるにはどうしたらいいでしょう。興味のある企業について、理念や成り立ち、歴史を調べてみましょう。そして、必ず社員に会って直接話を聞いてみましょう。日本には約420万もの会社があり、「この分野では世界一」という企業もたくさんあります。会社の大きさにとらわれず、コアがあるかどうかを一つの軸に企業研究をしてみてください。

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