ニュースのポイント
2012年度の朝日広告賞「広告主参加の部」に東京エレクトロンの「好奇心くすぐる元素たち」が選ばれました。同社は、半導体をつくるための機械を製造しているBtoB(企業間取引)企業で、一般にはなじみがありませんが、就活ではBtoB企業に目を向けることが大切です。
今日取り上げるのは、21面の「2012年度 第61回朝日広告賞/広告主参加の部」です。
記事の内容は――新聞広告の発展と、次世代を担う広告制作者の発掘を目指す第61回朝日広告賞の2012年度受賞作品が決まった。朝日新聞に掲載された広告作品の中から広告主が応募した「広告主参加の部」では、元素をモチーフにした東京エレクトロンのシリーズ作品が最高賞に選ばれた。見開き2ページに118個の元素記号を並べ、元素ひとつ一つが身の回りでどう生かされているのか、イラストとともにわかりやすく解説した。同社は一般消費者にはなじみが薄い分、「見えないところで日常の生活を支えている」という企業イメージを元素に託した。同社は「BtoB企業なので、一般消費者にいかにアプローチできるか苦慮した。読者から反響があったのは何よりも喜び」と話している。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
消費者を対象としたビジネスをBtoC(Business to Consumer)」というのに対し、企業間で取引するビジネスを「BtoB(Business to Business)」と呼びます。僕は大学での講義などで学生のみなさんに「1分間で知っている企業名をできるだけ書いて」というワークをすることがあるのですが、どの学生のノートを見ても、BtoCの有名企業がずらり。学生を対象にした人気企業ランキングでも、上位に並ぶのはほとんどがBtoC企業です。普段みなさんが企業に接するのは、消費者として商品やサービスを利用するか、新聞やテレビなどの広告を通じてでしょうから無理もありません。
でも、これから就活に臨むにあたっては、そのままではいけません。商社や広告会社はBtoB企業の代表格ですが、鉄鋼などの素材産業、機械、建設、化学、システム関係、設備管理、人材派遣などBtoBは非常に幅広いのです。実は日本の企業の99%以上が中堅・中小で、その多くは部品メーカーなどBtoB企業です。
東京エレクトロンは、半導体製造装置事業で日本一、世界3位の会社です。今回受賞した広告紙面には、どんな会社なのかといった情報はほどんどありません。企業の理念に沿ったテーマで展開し、広く話題になることをねらったイメージ戦略です。BtoB企業はめったに広告を出しませんが、企業の基本理念やイメージを伝えるために広告を出すことがあります。同社はテレビCMも流しているので見たことがある人もいるでしょう。電子部品大手・村田製作所や繊維大手・帝人のコマーシャルも有名です。こうした広告を見つけたら、その企業のことを調べてみましょう。
今日の記事では、アートディレクターの川口清勝さんが講評で「読者は記事を見ながら世の中の出来事を知り、広告を見ながら世の中の動きを感じている」と書いています。記事だけでなく、新聞広告からも企業の動きをキャッチしてください。
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