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米国のおもちゃ販売大手トイザラスが19日、経営破綻(はたん)しました。アマゾンなどのネット通販(eコマース=電子商取引)に客を奪われたためです。米衣料品大手のギャップは約200店を閉めると発表、大手百貨店も今年だけで全米で約8600店が閉店するといわれ、「アマゾン・エフェクト」とも呼ばれています。日本でも百貨店の閉店が相次いでいますが、一方で大丸松坂屋百貨店を運営するJフロントリテイリングは「脱百貨店」をキーワードに攻めています。大変革期にある流通・小売業界の今とこれからを考えます。(編集長・木之本敬介)
(写真は、米ニューヨーク中心部に期間限定で出店したトイザラス=9月18日)
(写真は、米ニューヨーク中心部に期間限定で出店したトイザラス=9月18日)
米トイザラスの盛衰
ひろーい空間に数え切れないほどのおもちゃが並ぶ「トイザらス」のお店。小さいころに行ったことがある人も多いと思います。私も子どもが小さいころ、よく買いに行きました。日本の「トイザらス」は米国とは別法人のため、「手続きの対象外で、直接影響しない」(日本トイザらス広報)そうですが、その本家の経営が行き詰まりました。
大型専門店の先駆けだった米トイザラスは、メーカーから製品を直接大量に仕入れるビジネスを展開。豊富な品ぞろえや安さで、最盛期の1980年代には「街のおもちゃ屋」を次々と廃業に追い込みました。ところが、2000年ごろからアマゾンなどのネット通販が普及し始めます。通販は品数がもっと多く、お店を持たない分値段もより安くできるうえ、家まで届けてくれます。お店には親子でおもちゃに触れながら選べる楽しさがありますが、ゲームなどデジタル玩具は店舗で手に取る必要はありません。今度はトイザラスが追い込まれました。まさに時代の流れですね。
かつては「黒船」とも
米トイザラスが日本に進出したのは1990年ごろ。「黒船」と呼ばれ、国内の流通業の構造を変えました。当時の日本では小さな小売店を守る規制(大規模小売店舗法=大店法)が強かったのですが、米国政府の圧力もあって徐々に規制が緩和されました。この規制緩和が、その後のヤマダ電機、イオン、ニトリ、しまむらなどの大型店出店に道を開いたといわれています。こんな歴史があることも知っておいいてください。(写真は、日本トイザらス1号店の開店を待つ行列=1991年12月20日、茨城県稲敷郡阿見町)
減る書店、百貨店
日本ではいま、本屋が急減しています。全国の書店数は1万2526店で、2000年の2万1654店から4割強も減りました(書店調査会社アルメディア調べ、5月現在)。人口減や活字離れ、雑誌市場の縮小に加えて「アマゾン・エフェクト」もあるとみられています。百貨店も減っています。セブン&アイ・ホールディングス(HD)は、傘下のそごう・西武が運営する西武船橋店(千葉県船橋市)=写真、そごう・西武提供=と西武小田原店(神奈川県小田原市)の2店舗を、2017年2月末に閉店すると発表しました。日本の百貨店の売上高は、ピークだった1991年の9兆7000億円余から大幅に減り、2016年は6兆円を割り込みました。入れ替わるように、国内のネット通販の市場は8兆円になり、百貨店市場を上回りました。アマゾンジャパンや楽天のほか、衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」などが急伸しています。
流通・小売の「大転換点」
そんな中、「脱百貨店」をキーワードに、新たな事業展開を試みているのがJフロントです。東京・銀座に4月、複合商業施設「GINZA SIX」(写真)を開業。年間2000万人の来場と600億円の売り上げを達成しそうです。オフィスからの手堅い賃料収入もあります。1フロアの床面積6100平方メートルという都内最大級の広さを武器に、銀座でのオフィス需要を掘り起こしました。さらに9月14日には、松坂屋上野店南館を傘下のパルコ、シネマコンプレックス、オフィスが入る複合ビル「上野フロンティアタワー」に変身させて、11月4日に開業すると発表しました。京都では、歴史ある木造の町家を活用した「大丸京都店 祇園町家」を開店。通販大手の千趣会とも提携しています。Jフロントの山本良一社長はこう強調しています。
「明治時代に呉服商から百貨店に変わった時のような、大転換点にある。過去の成功体験ではやっていけない」
流通・小売業は今、百貨店から専門店、コンビニ、通販も入り乱れての大変革期にあります。だからこそ、面白い! 業界の最新の動向をチェックすることが大切です。
百貨店については、「高島屋社長が語る『百貨店の未来』は?」も読んでみてください。
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