ニュースのポイント
自民党の小泉進次郎衆院議員(写真)ら若手議員が「人生100年時代」に向けた社会保障政策の提言を出しました。さらに人口減少、少子高齢化が進む日本の社会を前向きにとらえるための改革提言です。みなさんの世代には100歳まで生きる人が多くなるでしょうし、中には22世紀を生きる人もいるでしょう。このテーマを「自分ごと」としてとらえて、小泉氏らと一緒に考えてください。面接でも使えますよ。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、オピニオン面(15面)の「インタビュー・若手政策の乱/自民党『2020年以降の経済財政構想小委員会』委員長代行 小泉進次郎さん/人生100年時代へ自分ごと』として責任持ち未来描く/先見えぬ転換期 政治の底力発揮 僕らの総力戦で」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
提言の内容は?
「人生100年時代の社会保障へ」と題する提言は、2016年10月、小泉氏ら自民党の若手国会議員20人がまとめました。表にあるように、「勤労者皆社会保険制度」「人生100年型年金」「健康ゴールド免許」が柱です。
たとえば、医療費を抑えるために、今は医療保険が使えるうがい薬や湿布薬を例に「軽微なリスクは自助で対応」とする一方、健康管理に努力している人は医療費の自己負担割合を減らして病気のリスクを長期的に減らすといった内容です。高齢者の自己負担を増やして、長生きに合わせて日本の社会保障制度を持続させるため、「
自助」を前面に打ち出しました。
シルバー民主主義に声あげる
この提言のきっかけは、1年前に議論された低年金の高齢者に1人3万円の臨時給付金を配る政策でした。日本の政治が「シルバー民主主義」と呼ばれているのは知っていますか? 少子高齢化が進んで有権者人口に占める高齢者(シルバー世代)の割合が増えて高齢者層の政治的影響力が高まることで、日本では若い世代の意見が政治に反映されにくくなり、高齢者向けの施策が優先されていると言われています。財源が限られる中、高齢者向けの社会保障は手厚いままで、若い世代向けの子育て支援策や教育関連の予算は低く抑えられる傾向が強いわけです。
日本は65歳以上の高齢者がすでに4人に1人を超え、医療・介護・年金といった社会保障費が増え続けています。このままでは、国の財政はいずれ破綻してしまいかねません。さらに、日本の人口は30年後に1億人、2100年には5000万人を割ると推計されており、人口減少も深刻です。改革は必須なのになかなか変えられずにずるずるきた中で、ようやく若手政治家が声を上げたのが今回の提言です。
みなさんの世代こそ当事者
小泉氏は「人生100年時代を政党が真正面から掲げて将来像を語る提言は、世界初ではないか」と言います。今の社会保障制度は人生80年が基本ですが、日本人の平均寿命は男女とも80歳を超えて伸び続けています。100歳超の人口も増え続けるでしょう。小泉氏は「いまの日本の10歳の半数は100歳以上生きるとの予測もある。100年生きても大丈夫な社会設計の準備は、次世代に対する責任です」「たとえ人口がいまの半分の6000万人になっても、未来に自信と楽観をもって生きられる国にしたい」とも語っています。
小泉氏は35歳。一回り下の世代のみなさんは、この「人生100年時代」の当事者です。人口減少社会や人生100年時代を悲観的にとらえるのではなく強みに変えていこうという「若手政策の乱」の今後の議論に注目し、自分のこととして、日本の社会保障をはじめ、政治のあり方を考えてください。
面接でも使える!
「人生100年時代」は、就活にも大いに関わるテーマです。あらゆる業界・企業のビジネスに影響しますし、新たなビジネスも生まれるでしょう。面接で「人生100年時代における御社の戦略について私なりに考えたのですが……」などと語れたらいいですよね。そんなときに、朝日新聞デジタルでも紹介している「ライフ・シフト」という本も参考になりそうです。「最近読んだ本」にあげて語ったら、印象がアップするかもしれません。
自分の意志で道選ぼう
もう一つ、今日の小泉氏のインタビューで注目してほしい言葉があります。小泉氏の父は小泉純一郎元首相ですが、「自分の意志でこの道を選んで本当に良かった。もし親から跡を継げと言われて政治の世界に入っていたら、おそらく途中で心が折れていたんじゃないかな」「いまも苦しいとき、自分の能力の限界を感じるときもありますよ。でも最後は自分がこの道を選んだという事実が力として返ってくる」
みなさんも就活で親に相談したり、アドバイスを受けたりすることがあると思います。とても大切なことです。でも、会社を決めるときには、自分が納得していないのに親の意向に従ってはいけません。仕事を始めればつらいこともたくさんあります。壁にぶつかったとき、自分で納得していないと、きっと折れてしまいますから。最後は自分で決める。これだけは忘れないでください。
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