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「ディスる」は使うけど、「阿漕(あこぎ)」の意味は知らない――今の高校生の傾向です。みなさんはどうですか? 朝日新聞社とともに「語彙(ごい)・読解力検定」を主催しているベネッセコーポレーションが「第1回現代人の語彙に関する調査(語彙調査)」を実施。本や新聞を読むことに加え、LINEやツイッターなどSNSをよく使う若者も語彙力が高いことがわかりました。就活で直面するエントリーシート(ES)や面接では語彙力が問われます。今からできる語彙力アップの秘訣を伝授します。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、特集面(36面)の「ことばの力 高めるカギは/『読み』『使う』人ほど 豊か/第1回現代人の語彙調査」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。
「新聞読むと語彙が一気に増える」
調査は7月に高校生以上の3130人にインターネットで実施。辞書語彙、新聞語彙に「新語」を加えた計540語について、意味を「知っている」と答えた割合を集計しました。
語彙力が高い人の特徴から、就活生がやるべきことをまとめます。
【言葉のインプット】
◆読書
◆新聞やネットでニュースを読む
1カ月の読書量が多い人、ニュースをよく読む人ほど、語彙力が高い傾向がはっきり出ました(
グラフ参照)。
「語彙力こそが教養である」(角川新書)などの著書がある明治大学教授の斎藤孝さん(写真)は記事の中で、「本を読むと、普段のおしゃべりよりも膨大な語彙に触れることになります。それが語彙力の差になる」「新聞はいろんな専門用語や新しい用語も出てくるので(中略)、普段読まない学生が新聞を読むと、語彙が一気に増えると思います」と話しています。
今から始めたら、数カ月で見違えるほど力がつきますよ。
親との会話も大切
読書や新聞については、「そりゃ、そうだろうな」という結果ではあります。おもしろいのは、言葉のアウトプットにも大きな効果があるという結果が出たことです。
【言葉のアウトプット】
◆親と話す
◆SNSやメールを使う
親と話す機会が「よくある」と答えた高校生・大学生の語彙力が高いのは、親との会話に時事
的なテーマが話題になったり、大人の言葉に触れる機会が多かったりするためでしょう。
斎藤さんはメールやSNSで「書く」機会が圧倒的に増えたことを指摘。「語彙力をつけるには言葉を知るだけではなく、アウトプットが大切です。自分で書くことで、語彙は定着しやすくなり、使いこなせる語彙も増えます」と話しています。
「阿漕」「イデオロギー」「忌憚」…の意味は?
私は長く新聞記者をしてきたので文章を書くのは仕事そのものですが、入社した30年前に比べると、社内外の連絡が基本的にメールになった1990年代後半以降、仕事で書く文章の量は飛躍的に増えました。最近はさらにフェイスブックやLINEで、私的な文章を書くことも多くなりました。
こうしたメールやSNSでのやりとりを当たり前にこなしてきたみなさんの世代は、基本的な語彙力や発信力はもともと優れている訳です。ただ、斎藤さんはこうも言います。
「SNSだけだと、同じような語彙力の人たちとのおしゃべりになりがちで、語彙が増えるのも限界があります。本や新聞など活字を読む週刊も身につけると、バランスが良くなります」
インプットとアウトプット、両方を意識して鍛えてください。
紙面に登場した「世代間ギャップの大きい言葉」(
表)のうち、「親世代の方が『知っている』言葉」は、「コトバンク」にリンクを張りました。知らない言葉をチェックして、この機会に覚えておきましょう。
阿漕(あこぎ)、
イデオロギー、
忌憚(きたん)、
見紛(みまが)う、
活路、
経団連、
骨子、
こきおろす、
風采、
量的緩和
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