2016年07月07日

参院選きほんのき④ 今さら聞けない…どんな制度?

テーマ:政治

ニュースのポイント

 今日の朝刊にも、参院選関連の記事がたくさん載っています。いよいよ次の日曜日は投票日。でも、そもそも衆院選と参院選ってどう違うんだっけ、選挙区と比例区の2票ってどう使うの? 制度の「きほんのき」をおさらいします。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、スポーツ面(17面)の「投票 若きアスリートも」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。

オコエも投票「難しくない」

 スポーツ面の記事は、プロ野球楽天のオコエ瑠偉選手(18)、サッカー19歳以下日本代表でJ1川崎に所属するMF三好康児選手(19)、同じ川崎のDF板倉滉選手(19)が6日、参院選の期日前投票をしたことを紹介しました。オコエ選手は「正直、最初は『選挙なんて分からねえよ』って思っていたんですけど。ちょっと親から話を聞くだけでも、分かるもんだなと。そんなに難しいものではなかった」と語っています(写真)。
 オピニオン面(12面)の「声」欄では、北海道の高校教員が東京で学ぶ18歳の娘にあてて「奨学金が必要となるような大学の学費問題、非正規雇用ばかりが増える就職問題、そして平和の問題。それらと向き合い、政治に参加していくことが、世の中を動かし、変えていく力となる」と呼びかけました。
 生活面(33面)の投稿欄「ひととき」でも、さいたま市の主婦が大学生の息子を誘って参院選の街頭演説に行ったら、感想をきちんと話し、自分より深く理解して判断を下している息子に感動したと書いています。みなさんも、選挙についてお父さん、お母さんと話してみてください。

参院って、衆院とどう違うんだっけ?

 国会には衆議院(衆院)と参議院(参院)がありますね。衆院は定数475人で任期4年ですが、途中で首相が解散することもできます。参院より任期が短くて解散もあるため、国民の考えを反映しやすく、国の予算の決定や首相選びで両院の意見が違ったときには、衆院の意見を国会の意見とする「衆院の優越」が憲法に定められています。
 参院は定数242人、任期6年で、3年ごとに半数の議員を選ぶ選挙が行われます。解散がないため、長期的な視点で議論できる面があります。
 首相をどの党から出すかを選ぶ衆院選は「政権選択選挙」とも言われますが、3年ごとに議員の半数を選び直す参院選は政権の「中間テスト」の意味合いがあります。ただ過去には、参院選で大敗して退陣した首相もいます。

比例区の「非拘束名簿式」がややこしい

 衆院選、参院選ともに選挙区と比例区がありますが、すべて異なる4通りの仕組みで行われます。
 衆院選は、全国を295に分けて1人だけ当選する小選挙区と、全国を東北や近畿など11のブロックに分けて行う比例代表(比例区)を合わせた「小選挙区比例代表並立制」です。比例区では有権者は政党名を書いて投票。各党は事前に候補者に順位をつけた名簿を出していて、党の得票数に応じて名簿の上位の人から当選します。

 参院選は、選挙区と全国一つの比例区で行われます。選挙区はこれまでは都道府県ごとでしたが、「一票の格差」を正すため今回、鳥取と島根、徳島と高知がそれぞれ合体して「合区(ごうく)」になりました。今回の改選議席の数は人口の少ない県(合区も)は1、最多の東京は6と、選挙区によって異なります。
 ややこしいのが参院選の比例区。各党の候補者名簿には順位がありません。みなさんは投票用紙に党名を書いても、候補者名を書いてもいい。まず候補者名も所属する党の得票として数えて各党の議席数を決め、次に個人名が多い順に当選者が決まります。「非拘束名簿式比例代表制」といいます。
 1人しか当選しない衆院選の小選挙区は大きな政党に有利で、死票(しひょう、しにひょう)が多い制度です。一方、参院選の比例区は全国が一つの選挙区なので小さな政党でも当選者を出しやすい仕組みです。違う制度にして、多様な人を国会に送ろうという考えの表れでもあります。

 これだけ分かれば投票の意味も理解したうえで投票できますね。安倍政権の中間テストにぜひ参加してください。

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