2016年06月22日

参院選きほんのき① 「18歳選挙権」で何が変わるの?

テーマ:政治

ニュースのポイント

 参院選が公示されました。今日からときどき、参院選の「きほんのき」をやさしく解説します。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから初めての国政選挙。最初の話題は「18歳選挙権」です。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、社会面(39面)の「2016参院選/『高校生の1票』考える授業/棄権できる模擬選挙・手作り政見放送」です。
 記事の内容は――「18歳選挙権」が全国で導入される参院選に向け、各地の高校で、選挙の知識を教えるだけでなく、投票について深く考えさせる授業が広がっている。投票をしない「棄権」について話し合ったり、架空の政見放送を活用したり。試行錯誤が続く。
 文部科学省は選挙権年齢の引き下げが決まってから高校教員の政治的中立を保つよう求めてきた。3年生向けに昨年度、選挙や政治を学ぶ教育を行った国公私立の高校は全国で94%。このうち実際の政策や政治家の活動について議論させた学校は21%にとどまる。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

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 大学1年生には18歳の人もいますから、みなさんの中にも今回初めて投票する人がいると思います。まずは、なぜ選挙権が18歳に引き下げられたのか、復習です。

◆70年ぶりの拡大
 投票できる年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げるよう昨年、公職選挙法が改正された。太平洋戦争が終わった1945年に女性にも選挙権が認められ、20歳以上の男女と決められて以来、70年ぶりの選挙権拡大。

◆そもそもなぜ18歳
 日本の将来を担う若い人の意見を政治に反映させるねらい。憲法を改正するときに行う国民投票法改正で投票できる年齢が20歳以上から18歳以上に変わったとき、選挙権も18歳以上にすると決めていた。国際的には18歳選挙権は当たり前で、世界の国・地域の9割にのぼる。欧米の先進国は1970年前後に相次いで引き下げていた。

◆何が変わるの
 選挙権は誕生日の前日の午前0時に取得するため、今回投票できるのは、投開票日翌日の7月11日までに18歳の誕生日を迎える人。18、19歳の約240万人が投票できるようになる。18歳以上なら選挙運動への参加も認められ、デモや集会などへの政治活動にも参加できる。(候補者や政党以外の人が)電子メールで候補者への投票をお願いする、投票してもらうかわりにジュースをおごるといった選挙違反をすれば、原則として成人と同じように刑事裁判の対象となる。

 若い世代の投票率は中高年世代に比べて極端に低く、2014年の衆院選では60代の68.28%に対し20代は32.58%。2013年の参院選は60代は67.56%で20代が33.37%。いずれも20代は60代の半分以下でした。昨日の朝日新聞の社説「参院選/若者よ黙ってないで」では、こうした状況に危機感を訴えています。
 いまや国民の4人に1人が65歳超。人口が多いうえに投票率が高いのだから、選挙結果を左右する力が大きいのは圧倒的にお年寄りということで高齢者重視の「シルバー民主主義」ともいわれる。高齢者向けの予算配分は多く、2013年度の政府支出は年金や介護など高齢者向けが54兆円余、保育所建設や児童手当など子育て向けは約6兆円(国立社会保障・人口問題研究所調べ)。子育て、教育、雇用対策など若い世代向けの政策の充実強化を政治家に迫る近道は、若者が選挙公約に目をこらし、投票に行き、意思表示することだ――といった主張です。

 投票は、社会の一員としての大事な行動です。これから参院選関連のニュースがたくさん流れます。朝日新聞デジタルの特集「18歳選挙権」も参考にして、ぜひ関心をもって接してください。

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