ニュースのポイント
そろそろエントリーシート(ES)の準備を進めている人が多いと思います。WEBエントリー全盛の時代ですが、ESは手書きにこだわる会社が多くあります。あえて高いハードルを課すことで、みなさんの本気度をはかるのです。字の上手下手は問われません。どれだけ熱意を込めて丁寧に書けるかがポイントです。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、生活面(30面)の「ひととき・心伝わる手書きの力」です。
札幌市の主婦からの投稿の概要は――食料品の配達員でシングルマザーの女性に励ましの手紙を書いたところ「あんなにうれしい手紙をもらったのは人生で初めて」とお礼を言われ、娘がアルバイト先の男性従業員一人ひとりに手書きのカードをそえてチョコをプレゼントしたらとても喜ばれた。若い人は心のこもった言葉を文字にして受け取ったことがあまりないのかもしれないと思った。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
昨日、「人事のホンネ」の取材で、講談社の採用を担当している総務局人事部副部長の山崎英文さんにインタビューし、みなさんの参考になるお話をたくさん聞いてきました(「人事のホンネ」掲載は少し先になります)。その講談社のESはA4用紙4枚もあります。すべて手書きです。
「手書き4枚は大変だと学生からも言われますが、そのハードルを乗り越えてくれるかどうかで志望度の高さがわかります。ぜひ楽しみながら書いてほしい」
あえて手書きにすることで、単なる憧れ受験を排し、本気の学生だけ受けてほしいという思いがあるそうです。
学情の最新の企業アンケートでESの提出方法について尋ねたところ、今年の採用選考で「手書きのものを郵送」させる企業は23.8%にのぼりました。前年の25%より少し減りましたが、「事前に書いたものをセミナーで回収」が15.1%、「セミナーで渡し当日回収」も24.3%でした。「WEBで提出」は34.2%でしたから、ESを課す企業の半数以上が今でも手書きということになります(1269社回答、複数回答可)。
これまで「人事のホンネ」に掲載した企業にも、手書きESの会社があります。手書きにこだわる理由を聞きました。
◆カゴメ人事部の堀江建一さん「エントリーした学生の思いや熱意は、手書きだからこそ伝わるものがある。字のうまい下手ではなく、カゴメに対してどんな思い、どんな熱意をもって書いているかが伝わってくる気がします」
◆JR東海の小峰宏夫さん「字がうまい下手というより、丁寧か雑かで本人の熱意、志望度がよくわかるので、あえて手書きにしています」
◆選考段階によってWEBのESと手書きの場合があるという阪急阪神百貨店の上田昌平さん「手書きの場合は特に、読みやすいかどうか、読む人のことを考えてくれているかどうか。あまりに小さい字で書いてあったら、読む側も人間ですからかなりツライです。読む人のことを考えて書いているかどうかというのは、我々のようなサービス業に限らず、ビジネス全般において基本でありとても大切なことだと思います」
このほか全日空(ANA)、日本航空(JAL)、サントリー、バンダイ、凸版印刷、朝日新聞社も手書きです。「手書きES対策!天声人語ノートもオススメ」(2014年9月17日の今日の朝刊)も読んでみてください。
こんな手書きESに、どう対応すればいいのでしょう? 「就活体験リポート」「教えて!先輩」を見てみましょう。
◆「手書きのESの際には、どのようにすれば相手が興味を持ってくれるのだろうと常に考えました」「『見やすいES』にするために、1枚のESの中で3本の太さの違うボールペンを使い分けていました。名前や特に伝えたい箇所には最も太いペンを使い、線を引きたい箇所には細いペンを使い書き上げていました。これは面接でも読みやすいと褒められたのでおススメです」(大手新聞社ビジネス部門に入社した先輩)
◆「ESをコピーして何文字入るかチェックしてから、その文字数に応じたものをワードで打ち、それから手書きする」(大手信託銀行に内定した先輩)
企業がもっとも嫌がるESはコピペやマニュアル本の丸写しのような中身のないものですが、見た目も大事です。雑なもの、空欄の多いものは読んでももらえません。みなさんも、読みやすいESにするためにそれぞれ工夫してみてください。
朝日新聞社が開いている「朝日学生キャリア塾」では、新聞記者経験者がESの書き方や面接での対応を徹底的に個別指導します。いま3月17、18両日の3月講座の申し込みを受け付け中です。有料講座ですが、興味のある方はぜひ申し込んでください。
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