2015年07月06日

統計にみる分裂と格差(ニュース★あらもーど 6月29日~7月5日)

テーマ:週間ニュースまとめ

 サッカー女子ワールドカップ、なでしこジャパンは決勝こそ大量点を許しましたが、それでも見事な準優勝でした。必ずしも順風ではなかったのに決勝まで来られたのは、「一度通ったことがある道」を知っているのがとても大きいように思います。これが次世代にも伝わっていくと「伝統」といってもいいものになっていくのでしょう。
 今回ピックアップした記事に統計・調査ものが3本あります。「家計の株、100兆円回復」「人口減、6年連続」「生活苦しい、6割」。これらをながめると、一見対立しているような結果もありますが、社会の中で大きな分裂や格差が生まれていると考えればおかしくありません。記事1本1本は、全体として何が起こっているのかを解説してはくれませんので、関心をもったらぜひ自分で調べたり本を読むことをお勧めします。本当の力はそういうところからついていくのです。

 写真は1日付朝日新聞朝刊「御殿場プレミアム・アウトレット15周年」の全面広告を使ったバッグです。背景の少女は壁画です。
 毎週月曜は1週間のニュースのうち、みなさんと共有したい話題をお届けする「ニュース★あらもーど」の日。火曜~金曜日の「今日の朝刊」通常版とともに、ご活用ください。(朝日新聞教育総合本部ディレクター・真下 聡)

ニュースダイジェスト

【株高】家計の株、100兆円回復 8年ぶり(6/29.Mon) 

 日本銀行が発表した1~3月の資金循環統計(速報)によると、3月末で家計が持つ株式の残高は、前年3月末比20%増の100兆円となった。100兆円台回復はリーマン・ショック前の2007年6月末以来、約8年ぶり。株高で評価額が上がった。
 個人が持つ預金や株式などの金融資産の3月末の残高は、前年比5.2%増の1708兆円。2014年12月末時点に続き過去最高だった。うち個人の金融資産の半分以上を占める「現預金」は2.2%増の883兆円だった。

【日本人】人口減、6年連続 増加は6都県(7/1.Wed)

 住民基本台帳(今年1月1日時点)に基づく日本人の人口は1億2616万人で、6年連続で減ったことが総務省の人口調査でわかった。前年より人口が増えたのは東京、沖縄、埼玉、神奈川、愛知、千葉の6都県に限られ、人口減と都市部への一極集中がより進んでいる。
 日本人の人口推移をみると、前年から27万1058人減り、年単位の減少数は1968年に現行調査が始まってから最大となった。
 総人口に占める65歳以上の割合は25.90%で初めて4分の1を超し、過去最高を更新した。

【ゆう活】霞が関、「朝型勤務」スタート (7/1.Wed)

 長時間労働を減らそうと、いつもより早く仕事を始めて早めに帰る「朝型勤務」が、東京・霞が関の中央省庁で始まった。政府は「ゆうやけ時間活動推進」、略して「ゆう活」と名づけている。7~8月の2カ月間は出勤時間を通常の9時半より1~2時間早める。夕方の会議はなるべく減らす。対象は、地方の出先機関を含めて約51万人のすべての国家公務員で、霞が関では約4万人のうち約3万人が参加する見通しだ。
 「悩みの種」は、国会の対応。前日夜に議員から質問の通告を受け、答弁の用意に深夜や未明までかかることは珍しくない。今年は9月27日まで、戦後最長の95日間も延長される。朝早く来たのに残業して、かえって働く時間が長くなる可能性もある。

【調査】「生活苦しい」感じる世帯、6割台に(7/2.Thu)

 「生活が苦しい」と感じている世帯が62.4%に上ることが、厚生労働省が公表した2014年の国民生活基礎調査でわかった。前年より2.5ポイントの増加で、上昇したのは3年ぶり。1986年の調査開始から最も高かった。
 子どものいる世帯で「苦しい」と答えたのは過去2番目に高い67.4%に上り、高齢者世帯は58.8%で過去最高だった。また、2013年の世帯ごとの平均所得(税金と社会保険料の差し引き前)は528万9000円で、前年から8万3000円減った。ピークの1994年(664万2000円)の8割ほどの水準だ。高齢者や非正規社員が増えていることが影響しているとみられるという。

【世界遺産】明治の産業遺産、登録決定 「徴用工」表現、日韓合意(7/5.Sun)

 ドイツ・ボンで開かれているユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会は、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」を全会一致で世界文化遺産に登録することを決めた。一部の炭鉱などで植民地時代に朝鮮半島出身者が動員された「徴用工」の説明をめぐって日韓が対立していたが、合意にこぎつけた。

 審議では、日韓それぞれが英語で発言。日本側は徴用工について、1940年代に「その意思に反して(against their will)」一部資産に連れて来られ、「厳しい環境で働かされた(forced to work under harsh conditions)」と言及。「犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を説明戦略に盛り込む」と表明した。

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