2015年06月24日

6・23は「慰霊の日」 沖縄戦を知っていますか?

テーマ:社会

ニュースのポイント

 きのう6月23日は、太平洋戦争末期の沖縄戦の犠牲者らを悼む「慰霊の日」でした。戦争中に国内で唯一、大勢の民間人を巻き込んだ地上戦があった沖縄で組織的戦闘が終わったとされる日です。過ぎ去った話ではけっしてなく、今の米軍基地問題の根幹もここにあります。歴史を知って、今を考えましょう。(編集長・木之本敬介)(写真は、沖縄戦の犠牲者ら24万人以上の名が刻まれている「平和の礎(いしじ)」=23日、沖縄県糸満市の平和祈念公園)

 今日取り上げるのは、社会面(39面)の「続く不条理 もっと知って/沖縄タイムス編集局長に聞く」です。1面トップに「沖縄戦70年 溝深い追悼式」、総合面(3面)に翁長知事の平和宣言/安倍首相のあいさつ」、オピニオン面(16面)に「社説・辺野古やめ沖縄に未来を」、社会面に「非戦 おきなわの誓い」が載っています。

 沖縄タイムスの武富和彦編集局長(53)のインタビューの概要は――第2次大戦をめぐり、天皇陛下はかつて「四つの日」を「記憶しなければならない」と表現した。終戦の日の8・15と広島、長崎に原爆が投下された8・6、8・9は広く知られるが、6・23は全国的には知名度が低い。原因の一端は「東京メディア」にあり沖縄戦への「ひとごと感」がないだろうか。しかし沖縄戦は、米軍の本土侵攻を遅らせるために日本軍が沖縄を「捨て石」にする作戦を取ったために起きた。沖縄戦への無理解は現在の米軍基地問題にも通じる。本土の人たちには、いまの基地問題が沖縄戦の延長線上にあることを知ってほしい。70年前の住民を巻き込んだ戦闘を起点に不条理な現実が続いてきた。土地が奪われて基地が造られ、米軍機が好き放題に頭上を飛び交い、事件や事故が続く。歴史的経緯を多くの人に知ってほしい。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 先日、同僚がある大学で講義をしたとき「沖縄で地上戦があったことを知っている人?」と問いかけたところ、約100人のうち手を挙げたのは1人だけだったそうです。知っていても手を挙げなかった人もいるでしょうが、沖縄戦を知らない学生は増えているようです。

 学校で習わなかったかもしれませんし、メディアの伝え方に原因があるかもしれません。ただ、記事に出てくる天皇陛下の言葉にもあるように、日本人として知っておかなければならないことがあります。70年も前のことですが、今の日本、あるいは私たちの日々の暮らしは過去の歴史の上に成り立っています。自ら学んでほしいですし、少なくとも「自分には関係ないから、知らなくていい」という問題ではないと思います。

 沖縄戦は1945年3月末に始まりました。4月1日に沖縄本島に上陸した米軍は、中部、北部を順次制圧。日本軍は本土侵攻を少しでも遅らせるため、首里(現・那覇市)に司令部を置き、本島中南部の地下壕(ごう)に立てこもって持久戦を展開しましたが、5月末には多くの避難民がいる南部へ撤退。軍人と住民が入り乱れ、「鉄の暴風」と例えられた砲弾の下にさらされました。「米軍に捕まると殺される」といった情報も流布され、追い込まれた住民たちは、刃物で首を切ったり、身を寄せ合って手投げ弾を爆発させたりして、少なくとも1000人が「集団自決」したといわれています。

 沖縄戦での死者数は、県によると米兵約1万2500人を含めて約20万人。このうち沖縄県民の犠牲者は12万人超に上りました。県民の4人に1人が亡くなったことになります。もし今自分の周りで同じことが起きたら……と想像してみてください。ひめゆり平和祈念資料館の集計では、今のみなさんよりも若い14~19歳の学生や生徒も、約2000人が戦闘員や看護要員として「鉄血勤皇隊」「ひめゆり学徒隊」などに動員され、半数が命を落としたといいます。

 さらに戦後、米軍は「銃剣とブルドーザー」と呼ばれる武力をともなった土地接収をし、本土にいた部隊の沖縄への移駐も進み、1972年の本土復帰後も負担が集中しました。現在、在日米軍専用施設の74%が沖縄にあり、沖縄本島に占める米軍基地面積は18%にのぼります。

 記事で武富さんが強調しているのが、「歴史的経緯を知ってほしい」ということです。沖縄への米軍基地集中も、いま政府が進めようとしている米軍普天間飛行場(宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設も、70年前からつながっているのです。今日の記事を、沖縄や米軍基地問題を考えるきかっけにしてください。朝日新聞デジタルの沖縄特集「沖縄はいま」には、沖縄戦に関する話がたくさん載っています。こちらもぜひご覧ください。

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