ニュースのポイント
ゴールデンウィークが明け、いよいよ就活が本格化します。休み中にリフレッシュした人、この間に企業研究や自己分析を深めた人……それぞれだと思いますが、気持ちも新たに取り組んでください。
今日は朝刊がお休みです。5月3日は憲法記念日だったので、連休中には日本国憲法に関する記事がたくさん載りました。今日は憲法のイロハを学びましょう。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、3日の特集面(16、17面)「憲法を学ぼう・『こんな国に』理念を形に/憲法を知ろう・言い合うことが民主主義」、同日の「文化の扉」面(28面)「はじめての憲法」などの記事です。
「憲法を学ぼう」は、AKB48メンバーで憲法全文の暗唱という特技をもつ内山奈月さん(慶応大経済学部2年)=写真右=が、憲法学者の木村草太さん(首都大学東京准教授)=写真左=と一緒に「そもそも憲法はなぜ作られたのか」を考えた対談です。朝日新聞デジタルで、対談の動画も見ることができます。
「はじめての憲法」は、憲法の意義や世界と日本の憲法の歴史などを解説しています。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
国会では、憲法審査会を舞台に憲法論議が本格化します。自民党は、災害対応を規定する「緊急事態条項」など与野党で合意しやすい項目で改正案をまとめ、来夏の参院選後にも改正をめざす考えです。安倍首相の持論である「9条改正」は次の段階で行うことを視野に入れています。憲法改正の是非やその内容が今後大きな議論になりますから、みなさんの就活でもどこかで憲法が話題に出ないとは限りません。そのとき何も語れないと恥をかきかねませんよ。
今日はまず「基本のき」。憲法をめぐる論議でよく登場する「立憲主義」を押さえましょう。立憲主義の考え方は次の三つに整理できます。
①憲法で国家権力を縛る
歴史的に見ると、権力者(王様や大統領、首相など)は、ときには国民を恣意的に逮捕したり、財産を没収したりして、自由に暮らす権利をないがしろにしてきた。権力者が自分に都合のいい法律をつくって国を治め、裁判の判決も左右できてしまうなら、国民は身の安全すら守れない。そこで国のあり方を定める憲法をつくって権力者を縛り、そのルールに従って国を治めさせるのが立憲主義の基本的な考え方。
②権力の分立、人権を守る
日本国憲法にも定められている「権力(三権)の分立」は、権力を行政(政府)、司法(裁判所)、立法(議会)の三つに分けて国家権力を集中させないようにし、人が生まれながらにして持っている、自由に幸福に暮らす権利「基本的人権」を守る仕組みだ。
③多数派の横暴を防ぐ
多数決を原則に物事を決める民主主義だけでは人権が守られない。憲法は、多数派が数の力で少数派の意見を無視したり、追い詰めたりしようとするのを防ぐルールでもある。個人の人権や思想・信条の自由などが侵害されたら、裁判所がストップをかける。国会で過半数の賛成を得てつくられた法律でも、憲法に反していると判断されれば無効にできる「違憲立法審査権」を有する。
憲法は、勤労・納税・教育など国民の義務も定めていますが、99条で憲法を尊重する義務は、国民の側ではなく、大臣、国会議員、公務員など政府側にあると定めているのです。
一方で、自民党が2012年にまとめた憲法改正草案は、憲法尊重義務を国民の側にも負わせ、国旗・国歌の尊重や「家族の助け合い」など国民の義務を増やす内容です。「生命、自由および幸福追求」や「表現の自由」などの国民の権利には、「公益および公の秩序」に反しない限りという条件がつけられており、立憲主義や基本的人権の観点から問題視する声が上がっています。集団的自衛権を認め、自衛隊を「国防軍」と改める9条改正とともに、今後議論になりそうです。
「憲法を学ぼう」では、自衛隊を海外派遣する際の国会承認、米軍の普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古(同県名護市)への移設問題、同性婚、18歳選挙権など今論争になっているテーマと憲法との関わりについても論じています。日々のニュースを憲法に結びつけて考えるヒントになりますよ。
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