今日の朝刊 朝日新聞の木之本・あさがくナビ編集長が毎日の朝刊から注目記事をピックアップ! 略歴

2017年03月09日

「グーグルVS.検索上位狙う企業」 何が起きてるの?

テーマ:経済

ニュースのポイント

 みなさん、毎日ググっていますよね? そのネット検索大手の米グーグルと、検索結果で上位に表示されることを狙う企業の攻防が激しくなっています。不適切な手法で検索結果の表示順位を引き上げたサイトに対し、グーグルが順位を強制的に下げるペナルティーを相次いで科していたことがわかりました。多くの検索システムがありますが、世界でも日本でも9割のシェアを占めるグーグルは、IT業界で「検索世界の神」「法を超えた存在」とも呼ばれ、その影響力は測り知れません。利用者としても気になる話ですが、検索結果の表示順位はいまや企業にとって業績を左右する重大問題です。何が起きているのかを整理します。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、1面トップの「検索順位 強制下げ続々/グーグル 不適切な手法横行で」と、総合面(2面)の「時時刻刻・検索順位操作 いたちごっこ/あげたい企業 加熱VS.グーグル制裁/リンク・記事水増し 他サイト無断転載/『手順知りたい』市場規模500億円/外部評価より内容重視 何度も方針を変更」です(いずれも東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)。

「就活ニュース」で検索すると…

 私はこのコラムを書くためだけでも、毎日いろいろな言葉をグーグルやヤフーで検索します。検索結果のトップに出たサイトはまず開いてみますが、2ページ目まで開くことはあまりありません。
 いま「就活ニュース」でググってみます。検索結果のトップには、広告と「トップニュース」の後に、このサイト「就活ニュースペーパーby朝日新聞-就職サイト あさがくナビ」が表示されました。この検索ワードに引っかかったサイト数は、なんと989万件! 当然ながら上位から見ていくことになります。

「検索1位と5位で天と地の差」

 グーグルの全世界での年間検索数は2兆回超、1日あたり55億回。検索で上位に出れば消費者の注目を集め、売り上げ増やお客さんの獲得に直結します。今日の記事でサイトの運営会社は「検索順位で1ページ目の1番目と5番目でもアクセス数は天と地の差がある。2ページ目ではユーザーの目にとまらず、サイトの存在に関わる」と言っています。

順位の決め方は秘密

 では、どんな仕組みで順位を決めているのでしょう。グーグルは、ネット上の情報を常時巡回して読み取り、サーバーにデータを保存。200以上の要素で構成されるアルゴリズム(情報処理手順)に沿って順位を決めています。検索技術を開発したグーグル創業者のラリー・ペイジ氏は検索で上位表示される条件について「多くの良質なページからリンクされているページは、やはり良質なページである」と示しています。しかし、アルゴリズムの詳細は秘密です。

DeNAサイト閉鎖問題も

 自社のサイトを上位に表示させる「検索エンジン最適化」(SEO=Search Engine Optimization)という技術を駆使し、ときには不適切な手法で上位を狙う企業間の競争が激しくなっています。不正確な情報掲載で批判を浴びて閉鎖に追い込まれたIT大手「DeNA」の医療サイト「WELQ(ウェルク)」のような利用者不在の手法も横行しています(「 DeNAのサイト公開中止…信頼できるメディアで情報収集を」2016年12月2日今日の朝刊参照)。WELQ問題を受け、グーグル日本法人は2月3日、アルゴリズムの変更を発表。検索順位が大きく変動しました。

続くいたちごっこ

 グーグルは、企業などのサイトに、「コンテンツの無断複製」や「ウイルスのインストールをともなうページ作成」などを禁じるガイドラインを守るように要求。「違反」すればペナルティーを科してきました。今日の記事によると、朝日新聞が2月に実施した上場100社アンケートで、23社が最近5年間にペナルティーを受けたと認めました。内訳は保険9社、金融5社、IT・サービス4社、運輸2社、自動車販売2社、教育1社。ただグーグルは、ペナルティーを科す理由はもちろん、ペナルティーの存在自体を認めていません。

 企業はSEO向上で検索結果上位を目指し、グーグルはペナルティーを科したり、アルゴリズムを変更したり……いたちごっこが続きそうです。IT・コンサルティング会社「クロスフェニティ」によると、検索対策を専門会社などに外注する市場規模は2018年の予測で約500億円にのぼります。

 グーグル検索の上位争いは、サイトでビジネスを展開しているあらゆる業界・企業に関わる課題です。何が起きているのか、「ビジネス目線」で捉えるようにしてください。

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