2015年11月26日

金融とIT志望者必見!「フィンテック」は銀行の敵か味方か?

テーマ:経済

ニュースのポイント

 「フィンテック」を知っていますか? ファイナンス(finance=金融)とテクノロジー(technology=技術)を組み合わせた造語です。ITを使った新しいタイプの金融ビジネスのことで、担い手はベンチャー企業。欧米を中心に急成長しており、これまで銀行が築いてきた金融の仕組みを変える可能性もあります。日本でも、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)がベンチャー企業の育成に乗り出します。今日は、フィンテックをやさしく解説します。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、経済面(9面)の「三菱UFJ、ベンチャー育成/邦銀初/金融ITフィンテック」です。
 記事の内容は――三菱UFJFGは、フィンテックに取り組むベンチャー企業の育成に乗り出す。同社の人材やノウハウを使い、短期間での事業化を後押しする。同社は「邦銀初の試み」としており、競争が激しいフィンテックで欧米の金融機関に追随する。お金の支払いや資産管理などの金融事業で、先進的な技術や新しいアイデアを持つベンチャー企業が対象。5社程度を選抜し2016年春から約4カ月間での事業化を目指す。三菱UFJが支援を始めるのは、フィンテックが銀行のビジネスを脅かしつつあるから。銀行を介さないで送金したり、支払いをしたりするサービスが続々と生まれている。日本の金融規制では、銀行は異業種の経営や買収が制限されているため、有望なベンチャーとの関係を築き、社外の革新的な技術を取り込む狙い。同様の支援の仕組みでは欧米の銀行が先行している。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 この記事を読んでも、フィンテックが何なのかちょっとピンと来ませんね。11月1日の朝刊経済面に「フィンテック/金融×IT=生活変える?/指紋決済や資産管理…ベンチャー続々」というわかりやすい記事が載っていたので、これをもとに説明します(上の図も見てください)。

 記事の内容――長崎県佐世保市のハウステンボス内の土産物店では、レジカウンターの端末に人さし指を置くだけで支払いが完了する。年間パスポートを持つ会員5万人が対象で、入場者は園の受付で事前に指紋を登録。現金をチャージ(入金)すると園内の30店で利用できる。開発したのは社員11人のベンチャー企業「リキッド」(東京)。ほかにも、複数の銀行や証券会社に預けるお金から飲食店でもらうポイントまで、スマホのアプリで一括管理できるサービスを提供する「マネーフォワード」(同)など、新技術やベンチャー企業が続々と生まれている。
 決済や送金、融資といった金融サービスは長年、銀行などがほぼ独占してきた。多くの顧客に均一のサービスを安定して提供するには、巨額の費用で多くの人手と大型のコンピューターシステムをもつ必要があったからだ。ところがITの進歩やスマホの普及で、ベンチャー企業でも少ない投資で大量のデータを集めて分析したり、サービスを提供したりできるようになった。「効率的なITが、銀行が築き上げた装置に取って代わろうとしている。金融業界のコスト革命だ」(フィンテックに詳しい増島雅和弁護士)。そこでメガバンクはフィンテックを自社に取り込もうと動き始めた。
 金融庁の審議会では、銀行がIT企業などを傘下に置けるようにする規制緩和の議論も始まった。ただ、フィンテックには、預金口座などの個人情報がネット上に流出したり、第三者に転用されたりする懸念もあり、信頼性を高めることが課題だ。

 どうですか? フィンテックの具体的なイメージが伝わったと思います。大手コンサルティング会社アクセンチュアの調査では、2014年にフィンテック関連のベンチャー企業に投資された金額は世界で120億ドル(1兆4677億円)超と前年の3倍以上に伸びました。他の大手銀行も、指をくわえて見ているわけにはいかないでしょう。

 就活生のみなさんは、「フィンテック」のような業界の新しい動きや言葉には敏感でいなければなりません。そこで働く人たちにとっては「常識」ですし、学生は知っているだけでポイントアップになることもあります。また、ITを活用した新しいビジネスは日進月歩。金融以外の志望者も、自分の志望業界にITがどう影響し、どんな変化が起きいるのかについて常に気にしておく必要があります。ニュースで最新情報をキャッチしましょう。

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