
〈ポイント1〉蓄積データと「会社四季報」取材力が一覧できる

読者は就職活動生と投資家、その他がそれぞれ3分の1とみています。就活をするうえで必要な知識である業界内の企業の勢力図や関係図などを細かく解説し、業界全体の動向を天気予想の形で、快晴~大雨の6段階にわけて示しています。
最新の2026年版(2025年8月発売)は過去最多の194業界を収載。2026年版では、新たに注目を集める「データセンター」「IP(キャラクタービジネス)」「ドローン」「中国自動車」「欧州」「エレベーター」「スポーツイベント」「資産運用会社」といった業界を追加しました。これだけの情報量をコンパクトに見ることができる媒体は、ほかにはないと思います。
東洋経済新報社は日本で上場している全社の決算情報を網羅した投資雑誌『会社四季報』や、就活生向けの『就職四季報』といった出版物を刊行しています。ほかにも有力な非上場会社の情報を掲載している『会社四季報 未上場会社版』、アメリカの大手上場会社の決算にフォーカスした『米国会社四季報』などを作っています。そのため、主要会社や業界動向をウォッチしている記者を自社で抱えているほか、決算や平均年収といった情報をデータベースとして持っています。
業界地図を作るにあたっては、こうした記者やデータを活用することができるため、競合よりも多くの情報を掲載したり、毎年情報を更新したりできます。
〈ポイント2〉自分と会社とのマッチングに業界研究は欠かせない

就活では、自己分析から就活サイトの登録、筆記試験や面接対策などたくさんのことをしなければなりません。その中で、どうして業界や企業研究が必要なのか、という質問を多くいただきます。
業界地図編集部が考える就活とは、自分が求めると内容と、会社が求める人材を適切にマッチングすることです。相手である企業が求めている内容(ニーズ)をちゃんと理解し、自分と結びつけることできなければ、マッチングはうまくいきません。自分を知ることが自己分析とすれば、相手を知るための作業が、業界や企業研究となります。
例えば、就活生にとって自己PRが飲食店のアルバイトや小学校のボランティアを頑張ってきた、というものだったとしましょう。コミュニケーション能力やチームの中でやり抜く力、社会貢献などがアピールのポイントかもしれません。
一方で、相手が素材の研究開発を専門に行っている、研究開発型企業だったら、どうでしょうか。こうした企業は新しい素材を開発して、特許を取ったり、契約先にライセンスを提供したりすることで売上高を得ています。就活生のアピールポイントと、企業の事業内容が大きく異なっているため、このケースでは、お互いのニーズが合致しない可能性が高そうです。
では、この就活生が法学部の出身で特許法や知的財産の勉強をしてきた、とアピールしたのならどうでしょうか。特許を取ったり、ライセンスを提供したりするという企業の事業内容に合致するため、フィット率が上がります。
金融機関に就職したいが、東京や地元など特定の地域で長く働きたいと希望している場合ではどうでしょうか。日本全国、海外にも展開しているメガバンクに就職すると転勤の可能性が避けられません。この場合は、特定の地域に特化した地方銀行や、東京などに本社を置き、店舗を持たないインターネット専業の銀行といった選択肢を検討するとよいのかもしれません。このように就活生を対象に話をする際は、自分にあった、適切な就職先を選び、フィット率を上げるためにも、業界や企業研究は欠かせない、という話をしています。
〈ポイント3〉興味ある業界からチェック、業界動向から企業研究に入る
 業界研究といっても、「難しそう」と身構える必要はありません。まずはゲームでもお菓子でも、自分の興味のある商品やサービスを提供している業界を見て、やり方を学びましょう。
 最初に業界ページを開いたら、聞いたことのある企業を見てみましょう。その企業の業績や解説を見て、近くにある別の企業と比べてみます。業界地図では一般的に右上に一番規模の大きい企業や重要な会社が位置するように並べています。こうした気になる企業と、最大手の違いは何か。売上高や利益、提携関係など、どんな違いがあるのか。意識して読むとよいと思います。
 次にもう少し視線を引いて、業界構造を見るとよいでしょう。業界地図での並びが、自動車やシステム開発のように、規模が大きい企業を頂点とする序列を作っているのか、銀行のように法的な規制があって横並びなのか、それとも外食やソフトウェアのように自由競争で群雄割拠状態なのか、という点です。
 また伸びている業界なのか、成熟した業界なのか、という成長トレンド。人口減少や人手不足、脱炭素といった課題も把握しておくとよいでしょう。こうした業界トレンドを把握したうえで、気になる会社があったら、業績や競争力、採用人数、待遇といった具体的な企業研究をして、就活の対象企業を選定するという流れです。
〈ポイント4〉企業同士の関係も一目でわかるように

業界によって違いますが、企業グループや企業規模(大手、中堅中小、海外勢など)、細かな主力サービスの違いなどで掲載企業を大別し、色分けして一覧できるように載せています。掲載企業同士が出資関係にある場合は赤い矢印、協業などそれ以外の連携をしている場合は青い矢印でむすび、企業同士の関係性も一目でわかるようにしています。携帯電話業界の場合はNTTグループ、KDDIグループ、ソフトバンクグループ、楽天グループ、その他(MVNO)と大別しています。
特に携帯電話事業者は各社がポイント経済圏や通販を広げたり、ネット銀行や証券会社を設立したりして経済圏つくりでしのぎを削っているので、その動きがわかるような見せ方をしています。
個別企業については売上規模が大きな会社は大きく書くようにし、業界内売上順位などのデータも入れています。上場企業は社名の横に隅付きカッコ(【】)で証券コードを記載しており、そのほか部門利益はいくらになっているか、携帯電話であれば契約件数はどうか、PayPayなどの決済サービスなら会員数はどうかといった重要指標も記載しています。
このほか、四季報記者によるチェックポイントや、業界のビジネスモデルを解説したコラムも掲載しています。ここを読み込むことで業界や会社のことをより深く知り、自分とのマッチングを考える要素にすることもできるでしょう。
2026年版では、オープンワーク社の協力を得て、業界で働いている人の「クチコミ」も掲載するようになりました。業界地図からはなかなか見えてこない、働く人の本音を感じていただければと思います。
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