2024年09月18日

【業界研究のための「業界地図」徹底活用法2】業界研究深めて、面接で大きな差をつける

テーマ:業界研究

 就職活動をするうえで欠かせない「業界研究」。その教科書としてぜひ活用したいのが「業界図鑑」といわれる書籍です。類書の中でも一番の売れ行きを誇る東洋経済新報社『会社四季報 業界地図』の許斐健太編集長は、「業界研究をしないで臨む面接と、して臨む面接とでは大きな差が出る」と強調します。前回に引き続き、「業界地図」をつかってどのように業界研究を進めたらいいか、許斐編集長にうかがってきました。(全3回の2回目)
(編集部・福井洋平)

業界研究の一歩目

 業界研究はまずどういうところからスタートするといいでしょうか。許斐編集長は、「身の回りを見回して、どんな業界があるかを探してみることです」といいます。たとえば、上の写真をご覧ください。少し昔の東京・高田馬場駅前の写真です。この写真のなかから、いくつ業界を見つけることができるでしょうか。(資料は許斐さん提供)

 ざっと見ただけでも、携帯電話、外食、アパレル、自転車、ドラッグストアなど、さまざまな業界を見て取ることができます。

 見慣れた街の看板や風景でも、「どんなビジネス・業界があるか」という観点でよく観察することで、それまで意識していなかった業界が見えてくると許斐編集長は語ります。

頭から何度も読んで志望業種絞る

たとえば化粧品に興味があるならば、前後のトイレタリー業界や、異業種から参入している企業をチェックしてその企業について調べることで、興味の幅が広がっていきます。前回で紹介したように業界は大きなカテゴリーごとにまとめて掲載されているため、前後のページをチェックすることで少しずつ関心の幅を広げていくことができます。

 過去、就活ニュースペーパーでは、「業界地図」の全ページをチェックすることで、業界研究を深めていった学生に取材したことがあります。300ページ程度ですので、頭から終わりまで全部読んでも数日でチェックできます。

 頭から読んで行くのですが、興味を持った業界には付箋をはり、さらに「興味がない」と感じた業界にも別に付箋を貼っておきます。「興味がない」という気づきも、自分の志望を固めていくうえで重要な情報になるためです。就職活動が進んだ段階で、再び「業界地図」を通読し、付箋を貼り直す作業を続けていく。こうすることで、自分の興味や関心の軸を「見える化」していき、満足のいく就活に結びつけたそうです。

なぜ業界研究をするのか

 業界研究をすることで、面接ではほぼ必ず聞かれる「志望動機」のレベルを上げることができると許斐編集長は語ります。

「学生からただ『御社でこういうことをやりたいです』といわれても、なぜそれをうちの会社でやるのか、本気でそう思っているのか、面接官は判断ができません。ただ、業界や会社の特徴、とくに同業他社との比較ポイントを調べて『御社は他社と比べてこういう特徴があり、私がやりたいこととこういう点で一致しているので、入社を希望します』というふうに言えると、面接官に本気度が伝わりますし、そこまで会社を理解して入社を希望してくれれば入社後のミスマッチも防げそう、とも判断できます」(許斐編集長)

 また、転職がごく一般的になってきたいま、業界研究は就活時にだけ必要なのではなく「一生必要なスキル」になっているといいます。

「最初に入った企業にずっと勤めることはなく、つねに人生の段階に応じて自分のやりたいことを問い続けていかないといけない。それはまさに自分の『志望動機』を時に応じて作り続けていくことになります」(許斐編集長)
 転職を視野に入れるためには、幅広い業界の知識は欠かせません。『業界地図』によく目を通すことで、そういった知識も得ることができるのです。

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