ニュースのポイント
テニスの全米オープン男子シングルスで錦織(にしこり)圭選手が、大激戦の末ベスト4に進みました。日本男子ではなんと96年ぶり、テニスの4大大会でも81年ぶりの快挙です。この大活躍を「追い風」と喜んでいる日本企業があります。全米オープンを独占放送している有料放送WOWOWと、錦織選手とスポンサー契約を結んでいる衣料品大手ユニクロです。
今日取り上げるのは、経済面(9面)の「錦織の活躍 WOWOWに追い風」と、社会面(39面)の「次戦UNIQLO対決 ジョコビッチVS.錦織」です。
記事の内容は――錦織選手の活躍は、試合の放映権を国内でもつWOWOWにとって追い風だ。6日の準決勝に向け、加入の問い合わせが増え、通常の4大大会の倍ぐらいの加入件数になりそうだという。錦織選手が8強入りしてから加入申込が目立って増えた。女子ダブルスで4強入りしたクルム伊達公子選手の活躍も貢献している。
ユニクロは、準決勝で対決する錦織(世界ランク11位)、ジョコビッチ(世界ランク1位、セルビア)両選手とスポンサー契約を結ぶ。東京の銀座店は4日午後、ウエアを買い求める客でにぎわった。店によると「錦織モデル」の在庫は残り30枚程度。ジョコビッチはインタビューで「圭、そして日本におめでとうと言いたい。ユニクロのウエアを着て戦える」と宣伝した。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
私も錦織選手の活躍をライブで見たくて新聞のテレビ欄の地上波、BS放送を探しましたが見当たりません。同欄に「錦織圭 ベスト4進出なるか! BS9 WOWOW」の広告があるのに気づき納得しました。我が家はWOWOWに加入していません。今もこの原稿を書きながら、錦織選手の歴史的な一戦を生で見るためにWOWOWに加入するべきかどうか、奥村晶副編集長と話していたところです。
ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は2012年2月、「錦織圭モデル」記者発表の席で「後光が差している。必ず、世界一を狙える選手です」と、当時世界ランク20位だった錦織選手を紹介。錦織選手は「まだトップにいってないのにこうして売り出されるのはちょっと早い気も……。早くトップ10に入りたい」と照れましたが、2年余でトップを狙えるところまできました。柳井氏に先見の明があったということでしょうか。ユニクロはゴルフでも昨年、スポンサー契約を結んだアダム・スコット選手(豪)が契約直後にメジャー大会の米マスターズ・トーナメントで初優勝し「強運」ぶりが話題になりました。世界100カ国以上に、ポロシャツの胸にある赤い「UNIQLO」ロゴが中継され、広告価値は50億~100億円ともいわれます。
錦織選手の活躍は、テレビ局に限らずメディアにとって「ここでしか見られない、読めない」という魅力的なコンテンツがいかに大切なのかを、改めて教えてくれました。また、ユニクロのように消費者に直接商品を売り込むBtoC(Business to Consumer)企業にとっては、「あの人が使っているものを私も」と思わせるイメージキャラクターの効果は絶大です。エントリーシート(ES)では、テレビ局なら「あなたならどんな番組をつくりますか」、BtoC企業なら「わが社の商品を広める方法を考えてください」といった項目がよくあります。今回の錦織選手の活躍をヒントに、志望する業界・企業ならどうか、自分なりの企画を考えてみるときっと役に立ちますよ。
(写真は、2012年2月のユニクロ「錦織圭モデル」発表会見)
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