ニュースのポイント
夏の甲子園もいよいよ終盤。今日が準々決勝、予定どおり進めば週明けには全国の参加3917校の頂点が決まります。優勝メダルを首にかけられるのは18人だけ。栄冠をたたえましょう。一方で、負けても、レギュラーになれなくても、ベンチに入れなくても、それぞれの役回りで頑張った経験は、就活やその後の仕事に生きます。あたなにもそんな体験がきっとあります。
今日取り上げるのは、社会面(34面)の「第96回全国高校野球選手権大会/元主将、ベンチから鼓舞/聖光学院の記録員 遠藤君」です。
記事の内容は――聖光学院(福島)が4年ぶりに準々決勝進出を決めた陰には、元主将で記録員の遠藤和樹君(3年)がいる。背番号のないユニホーム姿でベンチから選手を鼓舞する。同校の部員数161人は今大会49代表で最多。新チーム発足当初、遠藤君は主将だったが、最後の夏はメンバーを外れ、監督から「全力でベンチの雰囲気づくりをしてほしい」と記録員を任された。甲子園入り後も洗濯や道具の管理など裏方に徹し、ベンチで声を張り上げる(写真中央)。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
グラウンドでのまぶしい活躍だけが高校野球ではありません。テレビでの試合中継には映らないドラマもたくさんあります。朝日新聞の社会面や、スポーツ面のコラム「はま風」では、試合に出られなかった控え選手、ベンチに入れなかった部員、記録員、マネジャー、ボールボーイなど、表舞台には立てなくても裏方としてチームを支える人たちの頑張りを紹介しています。
今春の採用選考で、金融、製薬など大手企業からいくつも内々定を得た先輩がいます。彼も高校球児でした。野球の強豪校に入ったもののレギュラーにはなれず、部内でいじめにあい、大けがも。甲子園のグラウンドには立てませんでしたが、先輩たちに直談判していじめをやめさせたことなど挫折を乗り越えた経験を、エントリーシート(ES)にたくさん書き、面接でアピールしたそうです。
学生は何か特別な体験や成功体験、成し遂げたことばかりをESに書きがちです。でも、たくさんのESを読む採用担当者に響くとは限りません。一方で、ESにはよく「今までで一番辛かったこと」「逆境をどう乗り越えたか」といった欄があり、面接でも失敗した経験について突っ込んで聞かれます。失敗や挫折から何を考え、どう行動して乗り越えたのか、そこから何を学び、どう成長したのか――。まったく失敗しない人はいません。仕事でも失敗することがあるでしょう。そのとき、どんな風に対応する人なのか。企業はみなさんの過去の体験から、働く姿を想像し対応力を推し量るわけです。失敗や挫折体験は、むしろアピールポイントになるのです。
別に高校野球に限った話ではありませんし、スポーツではなく文化系の活動でもOK。中高時代の部活動、いま取り組んでいるサークル活動、アルバイトなど何でも構いません。球児一人ひとりにドラマがあるように、アピールできる体験や失敗談は誰にでもあるはずです。「はま風」などの記事を参考にしながら、自分の体験を振り返ってみてください。
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