ニュースのポイント
行政機関や交通機関などがもつ情報を、誰でも使えるように公開する「オープンデータ」が進んでいます。情報を分析・加工することで、新しいビジネスにつなげる動きが広がっています。
今日取り上げるのは、経済面(4面)の「オープンデータ、1万種類を公開/政府がサイトに」です。
記事の内容は――内閣官房のIT総合戦略室は、国の省庁など21機関が持つデータ約9400種類を横断検索できるサイト「DATA.GO.JP」(http://www.data.go.jp/)の試行版を公開した。データは自由に利用できる。需要が多いとみられる5分野を中心に公開した。最も多いのは「予算・決算・調達情報(入札結果など)」の分野で、全体の3分の1を占める約3000種類。「白書」と「防災・減災情報」がそれぞれ約1500種類で続いた。海外の同様のサイトでは、米国や約9万セット、英国は約1万7000セットを公開している。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
オープンデータは、著作権や特許などの規制を受けずに誰でも自由に利用できる形で公開されたものです。政府はオープンデータの活用を成長戦略に盛り込み、6月に閣議決定した「世界最先端IT国家想像宣言」でも、公共データの民間開放を推進すると宣言しました。世界でも、オバマ米大統領が「開かれた政府」を掲げ、政府が持つ数値データや文書情報の公開を進めており、今年の主要国首脳会議(G8サミット)では、参加国が公開を進める「オープンデータ憲章」に合意しました。
12月19日の経済面の記事でも、オープンデータの活用例が紹介されています。
◇地図アプリ「つつじバスモニター」
福井県鯖江市が公開したバスの情報を応用して、バスがどこを走っているのかリアルタイムで分かる。同市のIT会社社長が開発した
◇サイト名「カーリル」
全国6400館以上の図書館の所蔵・貸し出し情報を検索できる。岐阜県中津川市の会社が運営
◇サイト名「税金はどこへ行った?」
自分の年収などを入力すると、払った税金が、何にいくら使われているのかが分かる。約60自治体で有志が運営
◇回転すしチェーン「あきんどスシロー」
気象や交通量の公開データと、社内に蓄積したデータをかけ合わせ、来店客数を予想。食材の無駄を防ぐ
◇農業保険会社「クライメート・コーポレーション」
米企業。連邦政府が公開する気象、土壌、農産物収穫量のデータを分析し、農家への所得補償保険の保険料を算定
「つつじバスモニター」を開発した福野泰介さんは、鯖江市長に「行政の片隅のデータから驚くようなアプリが生まれる」と訴えてデータの公開を実現させました。これまでに38種類のデータを公開した同市はオープンデータの先進地と言われ、公開データから約80のアプリが生まれました。
オープンデータは、ネット上の膨大な情報を組み合わせて分析、活用する「ビッグデータ」の活用例の一つですが、今後さまざまなビジネスに応用が広がりそうです。みなさんが志望する業界でも、こうしたデータの活用を考えている会社があるかもしれません。注目してください。
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