2023年10月30日

グーグル1強は「イノベーション阻害」 IT大手の「独占」切り崩せるか【週間ニュースまとめ10月23日~29日】 

テーマ:週間ニュースまとめ

 独占禁止法という法律があります。「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」というのが、正式な名称です。欧米や日本の社会は自由主義経済で成り立っています。供給者側は自分たちの技術や知恵を使って安くていいモノやサービスを供給しようとし、消費者側はその中から自分が欲しいモノやサービスを自由に選びます。こうした社会では、供給者側は競争に勝つためにより安くていいモノやサービスを供給しようとするようになり、消費者側はより満足度の高いモノやサービスを求めるようになります。こういう循環があれば、消費者の生活は向上し、経済は成長していきます。

 ただ、そのためには「公正で自由な競争」が必要です。それを阻害する大きな要因のひとつが「独占」です。市場を独り占めする供給者がいると競争が生まれず、供給者には安くていいモノやサービスを提供しようとする動機が生まれません。これでは消費者側の満足度は高まりませんし、経済成長にもマイナスになります。今、世界で独占の弊害が指摘されているのがグーグルアマゾンアップルといったIT大手企業です。欧米の政府はすでに規制に動き出していますが、日本でも独占禁止法の担当機関である公正取引委員会が動き始めました。独占をどこまで切り崩せるかはわかりませんが、成り行きが注目されるニュースです。先週の動きをチェックしてみてください。(ジャーナリスト・一色清)

【経済】グーグル1強「イノベーション阻害」 公取委、アプリ搭載要求を審査(10/23.Mon)

 公正取引委員会が、スマートフォンメーカーに自社アプリの優遇を不当に強いた疑いがあるとして、米グーグルの審査に着手した。世界のネット検索市場で圧倒的なシェアを持つ巨大IT企業に厳しい姿勢で臨む欧米の規制当局の動きを受け、日本も一歩を踏み出した。公取委が23日に開いた記者会見によると、グーグルはアンドロイドOSを搭載する端末メーカーとの間で、自社の検索アプリを初期設定で画面上の目立つ位置に配置する契約を締結。競合他社の検索アプリを搭載しないことを条件に広告収益の一部をメーカーに分配する契約も結んでいる。

【経済】楽天モバイルにプラチナバンド割り当て決定 屋内でもつながりやすく(10/23.Mon)

 楽天モバイルが希望していた屋内でも携帯電話がつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」の割り当てについて、総務省は23日、同社への割り当てを決めた。この日、同省の審議会が同社への割り当てが「適当」と答申した。「第4のキャリア」として2020年に本格参入した楽天は大手4社のなかで唯一プラチナバンドを持たず、通信品質が課題となっている。楽天は早ければ来年中にもプラチナバンドの電波の利用を始める予定だ。プラチナバンドは700~900メガヘルツの周波数帯で、障害物を回り込んで届く特性から、屋内や地下でもつながりやすいとされる。

【国際】中国、李尚福国防相を解任 消息絶ち2カ月、秦剛外相に続く異例事態(10/24.Tue)

 中国の習近平(シーチンピン)国家主席は24日、李尚福(リーシャンフー)国務委員兼国防相(65)の職を解くとの主席令を出した。7月に外相職を解任された秦剛(チンカン)氏の国務委員の職も解いた。中国の外交・防衛で「顔役」の重責を担う両省のトップが相次いで解任される極めて異例の事態となった。解任理由は発表されていないが、ロイター通信は9月、李氏が昨年までトップを務めた軍の調達部門による装備品の購入にからむ疑惑で捜査を受けていると報じた。李氏は今年3月に国防相に就任してから、わずか半年余りでの解任となる。

【社会】トランスジェンダー性別変更、生殖不能の手術要件は「違憲」 最高裁(10/25.Wed)

 トランスジェンダーが戸籍上の性別を変えるのに、生殖能力を失わせる手術を必要とする「性同一性障害 特例法」の要件が、憲法に違反するかが問われた家事審判で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は25日、要件は「違憲」とする決定を出した。最高裁の裁判官15人の全員一致の判断。最高裁が法令を違憲としたのは12件目。最高裁は、この要件が「強度の身体的侵襲である手術を受けるか、性自認に従った法令上の取り扱いを受ける重要な法的利益を放棄するかという、過酷な二者択一を迫っている」と指摘。特例法制定以降の社会の変化、医学的知見の進展なども踏まえ、要件は「意に反して身体への侵襲を受けない自由を侵害し、憲法13条に違反して無効」と述べた。

【経済】未来の乗り物とEVが彩る「モビリティショー」、あるべき姿を模索中 (10/25.Wed)

 「東京モーターショー」から名称を改めた「ジャパンモビリティショー」(JMS)が26日、東京・有明のビッグサイトで始まる。国内の自動車市場が縮小傾向にあるなか、車の枠を超えたモビリティー(移動手段)全般をアピールする場への脱皮を模索している。25日にあった報道陣向けの事前公開で、ホンダの三部敏宏社長は「モーターショーからJMSへの進化を踏まえ、ホンダの考えるモビリティーの現在、未来を展示する」と切り出した。舞台には2026年に無人タクシーとして運行予定の車両「クルーズ・オリジン」や、いす型小型モビリティー「ユニワン」などが並んだ。これまでは、主に一般向けに販売する新車の発表の場としてとらえてきたが、今回は意図的にほかの展示を増やしたという。スバルも電気自動車(EV)とともに、空を移動できる「エア・モビリティ・コンセプト」を目玉に据えた。

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