2023年11月06日

トヨタ自動車が業績好調 要因のひとつは円安【週間ニュースまとめ10月30日~11月5日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 トヨタ自動車の業績が好調です。トヨタは2024年3月期の業績予想を上方修正し、最終的なもうけを示す純利益が3兆9500億円になると発表しました。これは日本の製造業として過去最高の金額です。日本の自動車メーカーの業績が好調なのはうれしいことですが、注意しなければならないのはこの好業績は円安の追い風をうけていることです。トヨタ自動車は国内で製造した自動車をたくさん輸出していて、輸出車の売れた金額はドルベースで同じでも円安によって円ベースの利益が大きくなります。好調の要因のひとつには円安があるのです。

 一方、日本の国内総生産(GDP)が世界3位からドイツに抜かれて4位になりそうだというニュースが先日ありました。こちらは日本の経済力が世界の中で落ちていることを示すうれしくないニュースですが、こちらも円安が影響しています。世界で比較するのはドルベースの金額なので、円ベースでは同じ金額の国内総生産でも円安によってドルベースでは小さな金額になります。4位転落の予想は為替水準のいたずらの面があります。そういえばこの週には日本銀行長期金利の1%超えを容認するというニュースもありました。今の円安は日米の金利差が大きくなっているために起こっていますが、日本の金利が上がると金利差が縮まって円安の流れが変わるかもしれません。為替水準によって企業の業績や国の経済力も数字上は変わってくるので、注意して見るようにしましょう。(ジャーナリスト・一色清)

(写真・ジャパンモビリティーショー2023、トヨタ自動車の出展ブース=2023年10月25日、東京都)

【経済】日銀、金利上限を再び修正 長期金利1%超え容認 市場の動き受け(10/31.Tue)

 日本銀行は10月31日、金融政策決定会合を開き、緩和策の柱の一つで、長期金利を低く抑え込む長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を修正すると決めた。事実上の上限としてきた年1.0%を「目途」と改め、それを超すことも一定程度容認する。市場では長期金利が1%に迫っており、日銀が国債の大量買いを迫られる事態を回避するなどの狙いがあるとみられる。YCCの枠組み自体は変えず、マイナス金利政策や上場投資信託(ETF)などの資産買い入れの方針も維持。大規模な金融緩和は続ける。

【国際】イスラエル、難民キャンプに連日の空爆 OHCHR「戦争犯罪懸念」(11/1.Wed)

 イスラエル軍は11月1日、パレスチナ自治区ガザ地区のジャバリヤ難民キャンプを空爆した。同キャンプへの空爆は10月31日に続き2日連続。米CNNは地元の病院関係者の話として、1日の空爆で約80人が死亡したと報じた。報道によると、現地の医師が取材に、1日の空爆後、少なくとも80人の遺体が病院へ運び込まれたほか、がれきの下から多くの遺体が見つかったと答えた。死傷者の多くが女性と子どもだという。CNNが伝えた現地の映像では、一面がれきの山となったキャンプで人々が救出活動を続けているほか、家族の行方が分からないという男性が「ここにいるのは無実の人ばかりだ」と訴えた。

【経済】トヨタ、営業利益4兆5千億円へ 日本初の3兆円予想を大幅引き上げ(11/1.Wed)

 トヨタ自動車は11月1日、2024年3月期の業績予想(国際会計基準)を上方修正し、本業のもうけを示す営業利益 が4兆5千億円(前年同期比65,1%増)になるとの見通しを発表した。世界生産、販売が過去最高の水準で推移していることに加え、想定を上回る円安が利益を押し上げるといい、実現すれば日本企業初となる3兆円の当初の予想から大幅に引き上げた。売上高は43兆円(同15.7%増)、最終的なもうけを示す純利益は3兆9500億円(同61.1%増)に上方修正した。日本企業のこれまでの営業利益の最高額は、同じトヨタの2兆9956億円(2022年3月期)。

【国際】AI安全サミット始まる 「人類の創造物」のリスク、軽減する道は (11/1.Wed)

英ロンドン近郊のブレッチリーで11月1日、最先端の人工知能(AI)のリスクを議論する「AI安全サミット」が始まり、日本を含む28カ国と欧州連合(EU)が合意の上で「ブレッチリー宣言」を発表した。宣言ではAIについて、「安全で人間中心で、信頼でき、責任ある方法によって設計、開発、配備、使用されるべきだ」と指摘。透明性や説明責任、人権やデータの保護といった分野で国際的に協力する必要性と緊急性に触れ、「破滅的な被害」を防ぐよう訴えた。合意したのは主要7カ国(G7)のほか、中国や韓国、イスラエルやサウジアラビア、トルコやウクライナなど。

【政治】首相、1人4万円の減税実施を表明 来年6月のボーナスに合わせ(11/2.Thu)

 政府は11月2日の臨時閣議で、来年6月に始める1人4万円の定額減税や、住民税非課税世帯への7万円の給付などを盛り込んだ総合経済対策を決定した。これを受け、岸田文雄首相は同日夜に首相官邸で記者会見に臨んだ。首相は会見冒頭に「足元における最大の課題は、賃上げが物価上昇に追いついていないということだ」と述べた。そのうえで、来年6月のボーナス支給に合わせ「本人、扶養家族を問わず、1人当たり計4万円、約9千万人を対象に総計3兆円台半ばの規模で、所得税住民税の定額減税を行いたい」と表明した。「国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実に作りたい。そうすれば、デフレ脱却が見えてくる」と語った。

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