2022年08月29日

原発の新増設検討へ 大事故リスクと安定電力確保…考えよう【週間ニュースまとめ8月22日~28日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 岸田首相が原子力発電所の新増設を検討する考えを示しました。2011年の東日本大震災の津波による東京電力福島第一原子力発電所事故で日本の原発建設は止まりました。原発の運転期間は原則40年で、安全性が確かめられれば60年まで延長できます。今ある原発で運転開始時期がもっとも新しいのは2009年です。つまり、新増設がなければ日本の原発は徐々に減っていき、遅くとも2069年にはゼロになります。政府はそのことを前提に風力や太陽光で発電する再生可能エネルギー液化天然ガス(LNG)による火力発電を増やすことなどで対応することにしていました。しかし、再生可能エネルギーは発電量が一定しないことや適地が限られることなどから、火力発電は地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出することなどから、原発を使い続けたいという声は経済産業省や産業界に根強くありました。電力不足が表面化した今、その声が表舞台に出てきた感じです。ただ、日本は地震などの「災害大国」です。原発は高レベル放射性廃棄物処理のめどが立っていないことや戦争、テロ、災害などで大事故を起こすリスクがあることなど、問題がなくなったわけではありません。いったん建設されれば比較的安いコストで一定の電力を安定的に発電し続けることができるというメリットとどちらを重く考えるかということになります。発電方法は、コスト、環境、安全などがからみあう複雑で難しい問題です。電気は暮らしに欠かせないだけでなく、どの企業も使うものですから、どうあるべきかを今のうちから考えておくといいと思います。 (ジャーナリスト・一色清)

(写真は、関西電力の美浜原発=2021年6月20日、福井県美浜町、朝日放送テレビヘリから)

【スポーツ】仙台育英、東北勢初の夏の甲子園優勝 下関国際を8-1で破る(8/22.Mon)

 第104回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社・日本高校野球連盟主催、毎日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)第14日は22日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で決勝があり、仙台育英(宮城)が8―1で下関国際(山口)を破り、29回目の出場で初の全国制覇を果たした。東北勢として悲願の初優勝になった。東北勢が決勝に臨むのは4年ぶりで、仙台育英の3回を含めて10回目だが、いずれも準優勝止まりだった。

【社会】日野自動車、別のエンジンでも不正 国内向け全車種の出荷停止に (8/22.Mon)

 トラック大手の日野自動車は22日、エンジンの排ガスや燃費の性能を偽っていた問題で、小型トラック用のエンジンでも排ガス試験で不正があったと発表した。日野に立ち入り調査した国土交通省が見つけた。日野は、このエンジンを搭載した小型トラックの出荷を停止した。すでに出荷を止めている大・中型トラックを含め、日野製エンジンを積んだ国内向けの全車種に出荷停止が広がる事態となった。不正があったのは小型トラック「日野デュトロ」に搭載する小型エンジン。排ガス性能の耐久試験で、排ガス測定を2回しなければならないところで1回しか測定せずにデータを算出し、国交省に提出していたという。この不正の対象のエンジンは、今年7月末時点で7万6694台にのぼる。

【政治】岸田首相、原発の新増設の検討を指示 正式決定なら国策の大転換(8/24.Wed)

 岸田文雄首相は24日、原発の新増設について検討を進める考えを示した。脱炭素の実現について議論するGX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議で表明した。実際に新増設する政府方針が決まれば、2011年の東京電力福島第一原発事故以来の大きな政策転換となる。岸田首相は会議の終わりに「次世代革新炉の開発・建設など政治判断を必要とする項目が示された。あらゆる方策について年末に具体的な結論を出せるよう検討を加速してください」と発言した。原発事故以降、歴代政権は原子力への依存度を低減する方針を掲げてきた。岸田首相も、これまで原発の再稼働を進める一方、新増設や建て替え(リプレース)について「現時点で想定していない」としてきた。新しく原発をつくる政府方針が固まれば、将来も長期にわたって原発に頼ることを意味する。GX実行会議は、2050年の脱炭素社会の実現に向けた取り組みを議論する。今後10年間で優先して取り組むべき分野などについて整理していく。年末に向けて検討を重ね、成果文書が示されるとみられる。

【社会】「阻止できた可能性高い」 安倍氏銃撃事件、警察庁が検証結果公表(8/25.Thu)

 安倍晋三元首相が奈良市で銃撃、殺害された事件で、警察庁は25日、当時の警護警備の問題点の検証結果と再発防止のための改善策を報告書にまとめ、発表した。過去の警護計画を安易に踏襲したため安倍氏の演説の際の計画に不備が生じ、組織的な対応も欠いていた結果、事件を招いたと指摘。必要な対応措置をとっていれば「結果を阻止できた可能性が高い」とした。検証の結果を受け、これまで都道府県警任せにしてきた要人警護の運用を抜本的に見直し、計画を事前に審査するなど警察庁の関与を強める。
 警察庁の中村格(いたる)長官が25日、辞任する考えを明らかにした。安倍元首相が銃撃され死亡した事件は警察の対応の不備が招いたもので、過去に例のない警察の大失態だ。中村長官は「人心一新」を理由に挙げたが、警察トップとして責任を取る引責辞任と言える。
 安倍元首相が奈良市で銃撃され死亡した事件で、国家公安委員会と奈良県警は25日、鬼塚友章本部長ら6人を減給、戒告の懲戒処分に、3人を内規に基づく処分とした。鬼塚本部長と松浦克仁警備部長、警備部参事官の3人は近く辞職する。
 
【国際】NPT会議、再び決裂 ロシアが不合意で最終文書を採択できず(8/26.Fri)

 核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用を3本柱とする「核不拡散条約」(NPT)の再検討会議は26日午後(日本時間27日未明)、米ニューヨークの国連本部で最終日を迎えた。コンセンサス(意見の一致)による「最終文書」の採択をめざしていたが、ロシアが同意せず、決裂した。会議は5年に1度開かれ、当初は2020年春の予定だった。だが、新型コロナウイルスの感染拡大によって4度にわたって延期。今月1日、4週間の日程で始まった。前回2015年の会議では中東非核地帯構想をめぐって交渉が決裂し、最終文書を採択できなかった。2回連続で決裂したことにより、NPT体制への信頼は揺らぐことになる。26日の最後の全体会合は予定から4時間以上遅れて始まった。軍縮外交筋によると、ロシアがウクライナに関する部分の記述を削除するよう求め、交渉がまとまらなかったという。

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